東京に住む龍 第十話 千客万来④
馬場君のお爺さんが龍神社に、鯉幟のぼりの棹を立てくれた。辰麿は早速鯉のぼりを揚げた。棹の上の矢車と玉が勢いよく回っている。長い竿には吹き流しに、真鯉緋鯉に青とピンクの子供の鯉が揚がっている。それを嬉しそうに見上げている青龍だった。いよいよゴールデンウイーク直前だ。社務所の木の引き戸を開けて小手毬が出て来た。
「鯉のぼりが揚がっているー。今日は天気だね」
「小手毬、これから大学」
「今日は履修届を出しに行かなきゃ」
目いっぱいスケジュールを入れた 、履修届を見た辰麿