東京に住む龍 第四話 龍の片想い⑤
もう脱力の日々で有るかと思ったら、大学の課題を真面目にやろういう気が盛り上がってきた。遠慮なく指導教員の自宅レッスンに通い、自宅では篳篥とピアノ練習を熱心にした。
それでもこの若さで、他の男との恋愛を夢見ることが出来なくなった事、自立して生きていく事、仕事をばりばりする事、全部が終わってしまったのだ。それは同年代の他の女性にはあって、理不尽にも辰麿に奪われてしまった。
橋を渡るとき、何本もの線路が通る陸橋の上、或るいはちょっとした高さのある所に来ると、ここから飛び降りれ