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コミュニティ放送 開局への散歩道☆彡⑩

コミュニティ放送 開局への散歩道☆彡
010〔放送区域内の電波〕

 指定電界の考え方は、人口が多いところでは、雑音が多く、人口の少ないところでは、雑音が低いということから、1950年(昭和25年)に設定された指定電界の数値を使って放送区域の選定を行っています。

 電波は、送信する位置から離れると離れるほど、電波の強さは弱くなっていきます。
 ステレオフォニック(ステレオ)で受信できる下限値は、48dB。
 モノフォニック(モノラル)での受信できる下限値は、30dBといわれています。

 放送区域について、国際電気通信連合(ITU)基準による「時間率50%」、「場所率50%」は、「送信場所から発射された電波が、当該放送区域を示す等電界強度の線の値となるまで、連続する放送区域内全域で当該電界強度値が得られるものではない。」としています。

 いわゆるFM放送の制度発足時点(1961年)の郵政省(現総務省)では、受信者が、受信用アンテナを建柱する「固定受信」が前提でした。
 現在、電子機器の発達による都市雑音の増加、聴取者の受信実態が大きく変わることで、受信環境も変化しています。

 例えば、周波数は、85.0MHzで、使用できる電波の幅は最大200kHz(0.2MHz)であることから、85.0MHzを中心に(±)0.1MHzとなる84.9から85.1MHzまでの周波数の幅の内側を、実際には使用しています。

場所率と時間率は、
 ① 場所を中心に考えると、その場所における時間の流れ「固定受信」、
 ② 時間を中心に考えると。その時間における場所の流れ「移動受信」、
ということになります。

同じ受信機、同じアンテナでも、
 ① 固定受信では、道路や周辺環境(昼夜の違いなど)等の人工雑音、晴天や豪雨、雷など天候による自然雑音の発生により、

 ② 移動受信では、道路等の高低差や自然地形・人工物等による、受信位置の変動により、

結果、放送区域内における「時間率50%」、「場所率50%」ということになります。

 これに加えて、放送区域内であっても、自然現象となる電波伝搬の状況(スポラディックE層、田んぼなどの水位変化等)のほか、同一周波数(85.0MHzと近接周波数(84.9MHz、または85.1MHz)で使用している他の放送局があったとき、いずれも混信、どちらか一方のみの電波の存在を確認、まったく電波を確認できない地点が発生することを含めて「時間率50%」、「場所率50%」の対象となります。(影響の範囲となります。)

 受信環境は大きく変化しているものの、法令規定の根幹は、当時の基準のまま現在に至っているので、同一の受信機、同一のアンテナを使用しても、放送区域全域で法令規定による当該電界強度値が測定できる比率は、「時間率50%」、「場所率50%」です。

 現在でも、
エフエム放送の受信は、

受信者が
エフエム用アンテナを建柱する固定受信が前提

と(個人的には)思っています。

 次に、誤解しないために、「聴こえる」、「聴こえない」との表現は、ここでは、一切使用していません。電波が存在するか、しないかです。

 ただし、「聴こえる」、「聴こえない」という評価ではありませんが、総務省の審議会における実証実験等で、法令規定による諸元、電界強度、信号対雑音(S/N)比、ひずみ率、与干渉・被干渉(DU比)などを併記した上で、稀に「音質の評価基準」(ITU-T勧告P800)及び「NHKのラジオ評価基準」による評価を併記することがあります。

 最後に、放送区域とは別に、法令規定の用語にはない「可聴域」(放送区域外受信、放送対象地域外受信、聴取可能区域受信等)という言葉は確かにありますが、放送区域外からの受信が可能であれば、是非、当該放送局に受信報告書を提出するのもよいと思います。

次回は、〔放送を行う法人と放送する無線局〕です。

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