2022年 一口1年目の新人YGGおじさんによる出資馬回顧録~ブエラフェルテ編~
はじめに~御礼~
みなさま、新年あけましておめでとうございます。
新年早々、馬券が川崎に散りました。南ヴィグラスと申します。
年末にあげた2本の出資馬回顧録をたくさんの方にご覧いただき、ありがとうございます。お褒めの言葉もいただき、恐縮しっぱなしでございます…。
20年生まれ世代の出資馬3頭のトリを飾りますのは、
唯一の地方所属馬にして、私の出資馬きってのやんちゃ坊主【ブエラフェルテ号】でございます。
今年1年、出資馬3頭には右に左に感情を動かされてきましたが、この子ほどその振り幅が大きかった子はいませんw
出資前の印象からのサプライズという意味ではトレブランシュが一番なのですが、出資後の過程を見た上で言うならば、間違いなくこのブエラフェルテが今年一番のサプライズだったと思っています。
そんなブエラフェルテとの1年を振り返っていきたと思います。
※ブエラフェルテは門別デビューの地方所属馬ということもあり、出走数は既に10回を数え、他2頭と比較して多く出走しております。
そのため、他2頭のように出走レースを1つずつ振り返るととんでもない文章量になってしまいますので、かなり割愛しながら振り返っていきます。
あらかじめご了承ください。
ブエラフェルテ
父:ノボジャック/母:ブエラ(母父:メイショウサムソン)
生年月日:2020年4月29日
生産:サンバマウンテンファーム
厩舎:佐々木国明厩舎(道営・22年28勝)→保利良平厩舎(園田・22年85勝)
募集額:1口11,000円(総額550万円)
戦績:10戦2勝[2-0-0-8]
クラス:3歳C1級(間違っているかも…)
獲得賞金:380万円
~出資のキッカケ~
私がダート短距離好きなことは、先日投稿したバークエムの回顧録でお話をしておりましたが、ブエラフェルテに関しても、父親がノボジャックであるということが出資に踏み切った理由のひとつはあります。
加えて、地方所属、しかもデビューが早い門別所属。これも面白いと思いました。門別馬の地方ダート戦線での活躍はこの時点で知っていましたし、父が晩成タイプでしたので、早めのデビューから息長く走ってくれそう(長く一口を楽しめそう)なこともプラス要素でした。
半姉のブエラプーラも門別で勝ち上がって川崎で好成績を残していたこともあり、母ブエラの繁殖能力も高そうでしたね。
他にも、最初に申し込んだバークエムが牝馬だったこともあり、牡馬がほしかったのもあります。この子の場合、500口募集で1口11,000円と募集額も抑えられていたので、キャンペーンのポイントプレゼントを使って手が出しやすかったです。
当初はトレブランシュに出資するつもりがなく、初年度は2頭体制でいこうと思っていたので、中央1頭地方1頭で違った楽しみ方をしたかったので、あまり迷いなく出資をポチッた記憶があります。
~デビュー前~
まず出資前の近況報告を見た時点で、「なかなかヤンチャそうだな」という印象はありました。ただこの子が初出資なので、どの程度なのかは分からず、1歳馬はこんなものかなぁと楽観的に構えていたのも事実です。
佐々木師から「姉(ブエラプーラ)よりは手がかからない」というコメントもあったり、基本的に順調そうな経過具合だと認識していました(一応2月に飼葉食いが悪くなったのですが、一週間ほどで回復しています)。
そして、3月24日に地方競馬ならではの試験、【競走能力・発走調教検査(通称:能検)】を迎えます。
ゲートの出、道中の走りっぷり、現状のタイム、合格不合格など、色々と心配で職場でソワソワしながら結果を待っていたのですが、無事51.3秒と言う結果で合格!ほっと胸をなでおろします。姉のタイムが51.1秒だったので、比較してもまぁ悪くはないタイム。
で、肝心の映像を見たんですが…(下記リンク先の3Rの1番)
・ゲート出るも、騎手がグイグイ押しても追走しない(最後方)
・コーナー立ち上がって外に出すも、直線でめっちゃよそ見する
・よそ見してない時は良い脚で伸びるのに、よそ見すると失速
すっごいヤンチャ坊主でした…()
ただ、これだけめちゃくちゃをやっても最先着馬に1.2秒しか離されていないので、ポテンシャルの高さを感じることができ、この時は「まぁこの時期の2歳のなんてこんなもんやろ」と楽観的でした。
その後、デビューに向けて調教を重ねていくのですが、「姉(ブエラプーラ)ほどの前向きさはないので、現状先行する競馬は難しい」「前が止まって、後ろからスパッと差し切る競馬になるんじゃないか」という見解が佐々木師からありました。
この時期から、馬体重があまり増えなくなり、牡馬なのに420kg台とちょっと寂しい感じに…。
馬体のことや競馬での前向きさのことも含め、使ってよくなるタイプかなぁということで、ひとまず1200mのJRA認定新馬戦に挑むことになります。
~デビューから3戦目まで~
迎えたデビュー戦の5月18日(水)、この時期の門別ということもあり、やはり実力がありそうな馬が揃った印象。
ブエラフェルテは3枠3番、亀井洋司騎手でデビューとなりました。
馬体重は416kgとかなり落としてしまいます…。
結果は、4着。
正直、着順だけで言えば善戦したなという感じでした。
思っていたより前で競馬が出来て、やはり最後の直線で遊ぶというか、全然真面目に走っていないんですけど、それでこの着順なら悪くないなぁという印象でした。初勝利もそんなに遠くないかも?くらいの気持ちでしたかね…。…まぁ、亀井騎手がコメントで「誘導馬に乗りかかろうとした」と2回も言うくらい、滅茶苦茶をやっていたようなんですが…。
(調べると、このレースで勝ったフクノユリデイズは2走目が除外→去勢→3走目の道営OPクラスで2着を7馬身ちぎって圧勝しています…)
…まさか、この「4着」が道営での最高着順になるとは、思いもしなかったわけです。
続く2戦目は5月31日(火)。1200mの同じくJRA認定競争。
鞍上は継続、馬体重はさらに落として414kg、かつ最内の1枠1番というのが気がかりだったのですが…
案の定、発馬後に内側に飛び込もうとする動作を見せたこともあり、ポジションを落としてしまい、早々にゲームセット…。2戦目は8着。
調教中に牝馬にムラムラし始めるなど元気が有り余り始めたものの、継続して6月15日(水)に3戦目のJRA認定の1200m戦へ。鞍上は亀井Jで継続。
このレースは12頭立ての5枠5番で、できればもっと外枠がほしかったのですが、致し方なし。馬体重は+10して424kgと回復気味。
レースは、ゲートは出たものの二の足が付かずにしんがりへ…。
なんとか3コーナーあたりでロングスパートをかけて、激しい先団争いから落ちていった馬をかわしたものの、離れた5着に上がるのが精いっぱい。
良い脚は持っているものの、ダートの短距離で先団についていけないのは致命的で、なかなか苦しいデビューからの3戦となってしまいました。
現状の距離だと厳しいと感じたか、次走は内回り1600m戦を使う予定でしたが、肩を痛めてしまい歩様がよくなかったため、しばしの療養期間に入ります。
~4戦目から8戦目まで~
怪我も癒え、4戦目は7月27日(水)の1200m戦へ(ここからJRA認定は外れます)。
このレースではお笑いトリオジャングルポケットの斉藤慎二氏が所有することで話題になったオマタセシマシタ号とかち合います。
…が、ここも追走でついていけず6着。
もう一度、1200m戦をということで5戦目は8月11日(木)のレースへ。ここにもオマタセシマシタ号が。
レースは前走と同じく、二の足つかず追走できずで6着(さらっとオマタセシマシタ号に先着を許しています)。
療養で休ませてから、元々よくなかったブエラフェルテの気性がさらに悪くなり、調教で悪さをしたりとグレはじめます…。
1200mでは活路が見えないということもあり、1600mを試すことに。
6戦目、8月25日(木)に上記条件のレースに出走すると、なんと最高順位タイの4着!
砂を被った際に見て分かるほど嫌がるそぶりを見せたりと、根本的な問題は解決していないのですが、伸ばした方がいいのではという目途が立ったので久しぶりにポジティブな結果。
これぐらいの距離がいいのね、ということで7戦目は9月8日の1500m戦。
前走そこそこ好走したことで4番人気くらいになり、パドックでも解説者に褒められていた記憶があるのですが、レースはいつもの砂被りを嫌がってスタート後から向こう正面までまったく進まず、7着。
8戦目、これまでで最長の1700mを使うことに。
ここで初めて騎手が替わり、後に園田への移籍が発表される山本咲希到騎手へ乗り替わります。
新コンビで挑んだ9月29日(木)の1700m戦は、砂を被るとダメということを考慮して、前につける競馬に挑戦しました。
やはり二の足がつかないので、山本騎手が押して押して暴走気味になるくらい追ってやっと先行できたのですが、さすがに飛ばしすぎてしまい、後半バテて7着。
ただ、今まで後ろから外を回ってくることしかできなかったブエラフェルテが、気合をつけられて強引にでも先行したのは今後に活きそうという見解でした。
このレース後、門別ではこれ以上新味が出ないと踏んだのか、園田競馬への移籍が発表されました。
移籍先は、この年の園田、そしてNAR全体のリーディングトレーナーとなる保利良平厩舎。移籍先としてはこれ以上を望めない厩舎です。
移籍までは、馬運車が埋まっていてすぐに移動できないなどもあり、門別の坂路で調教をしながら順番を待ち、10月12日に園田へ向けて出発をしたのでした。
~門別時代を回顧~
8戦0勝[0-0-0-8]、最高着順は4着(2回)。
一度も3着以内に入らず、8戦ほとんどが競馬にならなかったという、まさか新馬戦の段階でこんなことになるとは思ってもいなかったというのが正直なところです。
二の足がつかないから好位で競馬ができない。
砂が嫌だから馬群に突っ込めない(外を回るしかない)。
最後の直線以外は真面目に走らない。
正直競馬以前の問題で、「これは勝ちあがるまでどれだけ時間かかるんだ…?」とかなり凹んでいました。というか、勝ち上がれないんじゃないかとすら思い始めていました…。
大げさに思えるかもしれませんが、本当にレース内容がどうだの、騎手がどうだのを語る以前の問題だったのです。
この時期、中央はトレブランシュが新馬戦を走ったばかり(9月11日)で、それもブエラフェルテが7戦走った頃なので、それまでポジティブな要素がほとんどない辛い時期ではありました。
半姉のブエラプーラは門別で勝ち上がって川崎で活躍していましたし、そことの比較でも、1年目の新人一口馬主としてはちょっとしんどかったですね…。
↑こんなことを語り始めるような状態でした()
~新天地・園田へ~
10月13日、無事ヒョーゴスラビア園田へ到着。
さっそく血液検査をしたところ、驚きのコメントが。
「ボロ検査で寄生虫が出た」
ブエラフェルテ号、まさかの寄生虫にタダ乗りされていた。
保利師の見立てでは、これの影響で馬体が増えにくかったのではないかと…(そういえばこの件続報がないけど、放置することはないだろうから虫下しして解決したのかな?)。
さらに、
「2歳なのでまだハミ受けや体のバランス悪い」
「人間の指示どおりに言うことを聞かない」
「やりたい放題」←これ個人的に一番すき
「身がついてないからパワーが出ない」
と率直なコメント…思わず笑ってしまう。
ただ、「走りそうな雰囲気はある、馬は良い」とフォローもされており、これがリップサービスなのか本音なのかはさておき、1回走ってみてどうかなぁということで1230mの2歳未勝利戦に出走することになります。
なお、その後放牧に出すのが既定路線でした。
~9戦目・10戦目~
10月25日(火)、園田での初戦は1230mの2歳未勝利戦。
鞍上は園田のトップジョッキー吉村智洋騎手。「え、吉村J乗ってくれるの!?」と驚いた記憶…。
ただ、鞍上吉村Jにも関わらず、道営での戦績が芳しくないからか、3番人気(4.2倍)に落ち着きます。
枠は12頭立ての8枠11番!外枠はこの子にとってプラスです。
…が、道営での8戦を見ていたので、正直ここを勝てるとは思っておらず。
「せめて次につながる内容になればなぁ…」という感じでした。
ド平日で、かつ仕事が忙しい時間だったので、リアタイはできず…。
レース後、昼休憩中に恐る恐るnetkeibaの結果を見ると…
1着 8枠 11番 ブエラフェルテ
道中、外から強めに押し出して番手につけると(!?)、勝負所でハナを切った馬を置き去りにし、後続を寄せ付けず完勝…。
普通に強い競馬で、順当に勝っちゃいました。
しかも、吉村J曰く「JRA認定でも勝負になりそう」とのこと。
この言葉もあり、もう1戦認定競争を使って、放牧に入ることになりました。
そして、迎えた2戦目は11月9日(水)JRA認定アッパートライ2歳特別。
前走に近い距離のレースがないため、なんと1700mを使うことに。
鞍上も、吉村Jに先約があるため、イケメン鴨宮祥行騎手に。
このレース、8頭立ての少頭数だったんですが、出走馬のほとんどが2歳重賞を使っている世代上位の馬ばかりで、前走が初勝利だったブエラフェルテは実績面もあって6番人気(単勝15.6倍)。8枠4番とど真ん中。
距離も長いし、相手強化だし、これこそ本当に試金石の様子見のレースだと思っていたので、心の準備とか何もしていませんでした()。
で、今度は仕事の休憩中にレースを振り返りで視聴…。
レースは上位人気3頭含む先団が向こう正面のゲートから勢いよく出る中、ブエラフェルテは少し二の足がつかなかったのか、最後方でレースを進めることに。鴨宮Jが内に入れても嫌がることなく走っていたあたりで「…あれ?普通に追走してないか?」とザワザワ。
道中スローに落とした先団も、再び向こう正面に入るとペースを上げはじめ、ここから最後方のブエラフェルテも鴨宮Jの腕がガシガシ動き始める。
前が速いので中々差が縮まらない、これはダメだ―――
…あれ?コーナーでどんどん差を詰めてない?
あれ??最終直線のど真ん中、割ってきてない??
あれ???手ごたえ抜群すぎない????
ちょうど、先頭に立った馬を差し切ったところがゴール板。
まさか、まさかの、2連勝…しかもJRA認定競争。1700m。
道営では最後まで届かなかった末脚が届いた。
鴨宮Jも「びっくりするぐらい走る」と大絶賛で、保利師の口から「(前行っても後ろからでも)どこからでも競馬ができる」「来年が楽しみ」という言葉まで。
道中も、ブリンカーが効いたのか砂を被っても頭を上げず、集中して走ることができて、別馬のように変わったブエラフェルテに、感動よりも先に驚きがきてしまった出資者の方も多かったのではないでしょうか…。
…まぁ、家に帰ってじっくり映像をみて、やっぱり感動するんですけどね。
最近もよく見返しています。
~今後の予定~
保利師の口から、「来年は平場を叩いて兵庫ユースカップ、そして菊水賞(S1)」のルートから、「兵庫ダービーを目指したい」という言葉まで出ており、来年の園田3歳の王道路線へ殴り込みをかけることになりました。
現在は、名張ホースランドパークさんにて放牧中で、馬体を増やしつつ気性の幼いところを調教している…のですが…
この暴れっぷりです。
厩務員さんの気苦労、察するに余りあります()
ただ、馬体も少しずつ増えてきていて、1月からは本格的に入厩に向けた調整をしていくとのことで、しっかりとレベルアップして今年の園田クラシック戦線に名乗りを上げてほしいですね。
~総括~
門別時代の苦戦と、園田移籍後の活躍の高低差が激しすぎて、耳がキーンってなります。佐々木調教師も、保利調教師も、「走りは良い」「気性は幼い」という認識で一致しており、まさにヤンチャ坊主。
ただ、門別で坂路を中心に体を鍛えたことが、園田で通用する下地になったでしょうし、あの8戦は無意味じゃなかったと思っています。
兵庫ダービーの話は、移籍当初は正直望むべくもない話であって、もしそんなことになろうものならお祭り騒ぎです。
ただ、気性の幼さもさることながら、馬体もまだまだ細いですし、出来上がっている感じは一切ありません。今後、この子が心身ともに成長したとき、どんな馬になってくれるのかという楽しみは、今から尽きないですね。
個人的には、せっかく私の住んでいるエリアから行きやすい園田にきてくれたので、今年はブエラフェルテのレースを生で観に行きたいと思っております。
「手のかかる子ほどかわいい」とは言いますが、
なるほど、トレブランシュやバークエムとは違った愛着とかわいさがあるなと、実感する今日この頃です。
※本文書き上げるのに体力使いすぎたんで、余談はまた後日追記できそうならします。