死者を語るということ
書きながら震えるタイトルだ。
自分には「なぜ生き永らえているのか」という疑問と、漠然と消すことのできない罪悪感がずっとまとわりついている。彼が急逝した2009年からずっと。
その点、清春氏は肝がすわっている。
「だってこのメンツが集まったら『東條さんを想う会』でしょ」。
それはその通りで、わたしも、秋田さんもいつも想っているし、だからこそ彼(東條雅人氏、編集者であり執筆者)の写っている写真を見つけたらうれしくなる。関連した書籍をみれば感慨にふけってしまう。
筆者は、自身2度目のトークイベントEditors talk[page 2]を立案、清春氏にゲスト出演を快諾してもらい、きたる7月7日に開催の運びとなった。
先出の秋田和徳氏(グラフィックデザイナー)も2度目の登壇となる。
わたしはイベントを行うにあたり、「お客さんに喜んでもらえそうなこと」を盛りだくさんにしたいと考える。そこで、自宅の膨大な編集資料の中から、清春氏や周辺スタッフなどが写っているかつてのポラロイド写真を発掘し『’90〜00年代 ポラロイド写真の追憶』と2度目の会に名付けた。懐かしい姿を一緒に見ながら当時のエピソードを聞き、また現在はどう考えるかなどを語ってもらおうとあれこれ構想を練っていた。
その告知解禁日に、清春氏の鶴の一声、である。
「ちゃんと『東條雅人氏を想う会』と最初に付けよう」と、第1回とまったく同じ流れになったのだ。彼は情に対して素直であり、覚悟が明確だ。
(参照リンク:
https://note.com/editors_talk/n/n603c59ce3a6c )
イベントにおいて重要なのは、お客さんに喜んでもらうことと同時に、主演であるアーティストが “その時” 語りたいことをどれだけ引き出せるか。
そのバランスは難しいように思えて、実際は、アーティストが「今だからこそ語りたいこと、この場だから語れること」を出しきれて笑顔になってくれたらそれだけでお客さんはうれしいのでは、とやっと思えてきた。
Editors talk[page 1](第1回)はコロナ禍の前に開催したイベントで、いま思えば、この界隈での(配信も含め)トークイベントムーブメントの先駆けだったのではないかと思えた部分もあった。だが、この2年半のブランクでそんな自負は立ち消えになったどころか体調不良は引き起こすし悪い癖であるマイナス思考すら生んでしまった。
そこを鼓舞してくれたり背中を押してくれたりするのはいつも清春氏の言葉。
自己肯定感の低いわたしだが、7月7日までは、すべてを「ダメ出し」とかでなく「応援」「後押し」と捉えることにした。運営側がこんなことさらけ出していいのかと葛藤しながらも、応援してもらえたらうれしいので応援してくださいと願うことにした。
[page 2]も、喋り出しはどうせ声が震えてしまうんだろう。トークスキルは高くないがもし楽しいと感じたら笑ってほしいし拍手もしてほしい。「声援」はまだダメなのかな。声援は本当に力になるものだ。客席から「声援」のなくなったステージでアーティストはこの2年半、どれだけ頑張ってきたのだろうーー。
今だって、どれほど準備を万端にしても舞台に立つまで反応は分からない。もちろん話題は東條さん関連に限らないのだが、故人の名を出して興行することに変わりはない。なので7月7日までは、[page1]の後に清春氏が寄せてくれたコメントを頼りに励んでいきたいと思う。
以下、再び引用させていただく。
「何事にも静観がベストだなんて僕はくだらないと思う
愛する人の事なら尚更
敢えて何もしないなんて
それは何もする気がないんだろう
僕らは思い出し、彼が如何に正直でリアルな人生を生きて書こうとしていたのかを証明し伝えていく」(清春)
(文=伊藤美保)
◆Editors talk[page 2]
『東條雅人氏を想う会』
清春と語る '90〜00年代 ポラロイド写真の追憶
7/7(木) 新宿ロフトプラスワン
Open 18:00 Start 18:30
【出演】清春
【進行】伊藤美保(編集者/ライター)
【ゲスト】秋田和徳(グラフィックデザイナー)
<入場&配信視聴チケット>
¥7,000(税込・飲食代別)
※前売券はイープラスにて発売中
※プレオーダー(抽選)完売の際、一般販売はございません
《プレオーダー受付日程》5月28日(土)20:00~6月13日(月)18:00
《プレオーダー入金期間》6月15日(水)13:00~6月16日(木)21:00
<配信視聴チケット>
通常視聴チケット¥2,500
応援特典(清春オリジナル待受画像)付き配信チケット¥3,000
※配信チケットはTwitCastingにて発売中
※配信チケットご購入・アーカイブ視聴は、配信終了後も「購入期限:7/14(木)21:59・視聴期限:7/14(木)23:59」まで可能となります。
この記事が参加している募集
私の仕事
111,755件
すべてのタグを表示
この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
頂いたサポートはトークイベント開催費などに充てさせていただきます。 「スキ」は筆者のココロの栄養になります。
気に入ったらサポート
27
Editors talk
主に音楽誌の編集者が、アーティストと読者を繫ぐトークイベント「Editors talk」などを企画・主催します。 ここではライター/エディターの伊藤美保(もしくは似藤博斗)、イベントスタッフなどが執筆予定。 https://twitter.com/Editors_talk
このクリエイターの人気記事
「おひさしぶりです」が言えるうちに。近況報告
スキ10
Editors talk
筆者紹介 〜生い立ちからライターへの道、「Editors talk」主催まで①
スキ15
Editors talk
清春「The Birthday」レポート〜美しい時間をありがとう〜 コロナ禍を越えた「歌」と「愛」のレスポンス
スキ68
Editors talk
❤😆👏
27
頂いたサポートはトークイベント開催費などに充てさせていただきます。 「スキ」は筆者のココロの栄養になります。