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今週の國松(特別編. コロナが不安なあなたへ)


こんにちは。中立です。

今日はぜひみなさんにお伝えしたいことがあり、「特別編」をお送りします。


新型コロナウイルス感染症によって、私たちの日常は一変しました。

言い様のない不安で、何だかそわそわとした、落ちつかない気持ちに駆られている方も多いと思います。

そこで、國松先生と相談して、先生からみなさんへ「励まし」のメッセージを書いてもらいました。

少しでも多くの方にこのメッセージが届きますよう、ここ「今週の國松」の場所をお借りして、公開します。

できれば、ぜひ、読んでいただけませんか。

どうか切にお願いいたします。



・・・

コロナが不安なあなたへ


みなさんこんにちは。南多摩病院の國松淳和です。内科医をしています。

現在、新型コロナウイルスの感染は確かに拡大しています。しかし今「一番」感染が拡大しているのは、実はコロナウイルスではありません。

「不安」です。

不安が伝播しているのです。


1.不安が感染する?

たとえば先日公表された、東京都のエリア別の感染報告数をみますと、目黒区の人口281,520人(2020年3月1日)に対し、コロナ感染者は21人(2020年4月2日現在)。人口比でおおよそ0.007%です。

しかもその21人は、おそらく、道端で人からうつったわけではないでしょう。
気をつけながら生活して、近所のその辺の路上でコロナウイルスに感染する確率はどれくらいでしょうか。

少ないですよね。
そんなことはありえないといってもいいほどに、(少なくとも現時点では)低い確率です。

しかし「不安」が感染してしまっている人は、もっともっととんでもない人数いることでしょう。人口の80%くらい? コロナに比べたら桁違いの感染率です。

不安というのは恐ろしいです。
なにせ、接触していなくても感染します。
PCやテレビの画面越しにうつります。
非常に感染力が強いです。
軽症者もいますが、最重症になると命を脅かします。そして、ときに自殺をも引き起こします。


2.なぜ人は「不安」になってしまうのだろう

さて、ここで不安になる仕組みを説明します。不安というのは、

・わからないことが増えると発生する
・予想外のことが起きると増幅する
・予定が立たない(予定通りにいかない)ことが続くと慢性化する
・不安がっている人をみると伝播する
・不安になると、不安をさらにもらいやすくなる

……などという性質があります。

受験や勉強にたとえましょう。

テストが始まり、わからない問題ばかりだと不安になります。
出題傾向を急に変えられたりするとなおさら不安になります。
安全校だと思っていた学校に不合格になると不安になります。

ひょっとしたらもう受からないかも……となりますね。実に不安です。

ただ、これを外野からみている人は、

わからない問題だらけで焦るのはみんな同じだし、
出題傾向が急に変わって困るのはみんな同じだし、
安全校に落ちても第一志望校に受かる人もいるし、

と意外と冷静でいられます。
大変だなぁとは思うかもしれませんが、外野の人は不安にはなっていません。

では、このコロナ・クライシスにおいて「わからないこと」というのは、たとえばウイルスというものの性質などになるでしょうか。
一般の人にとっては、そもそも「ウイルスとは?」というレベルかもしれませんね。
(医師にとっては)基本的なことでも、みなさんは知らないから不安ですよね。

「予想外のことが起きる」「予定が立たない」「予定通りにいかない」ことも不安になります。

せっかく経営がうまくいっていたのに、
せっかく春のイベントのために準備していたのに、
せっかく旅行の計画があったのに、

といったことから、急にトイレットペーパーが品切れしたり、マスクが入手できなかったり。
いずれも、予想外・予定外・予定通りにいかない、というものです。

3.「不安」を感じないためにできること

では、不安を感じなくする方法をお教えします。
それは、あえてこのコロナを「他人事」と考えてみるという思考を取り入れることです。

さきほど、受験生は不安でしかないのに、外野は冷静で不安ではないということをお示ししましたね?

あれを、脳内でやるのです。
いいですか。

不安解消の一番の薬は「お金」であることは、知っています。
当然、知っています。

でもね、もうね、みんなお金はないのです。
お金は大事なのはわかるけれど、立て直すために、1回社会を整えよう?
社会を整えるために、つまり安心して生活できるようにするために、医療を安定化させよう?

順序よくやっていきましょう。
それだけはみんなであきらめませんか?

みんな、よくわからないし、予定通りにいかないし、先もよくわからないんです。みんなです。私も、です。

そういうの、いやだけど、もう世界は変わりました。
秩序が変わったんです。

やだと思うけど。
しょうがない。
でも大丈夫です。
水、電気、ガスは使えるし、なんとかお家でしのいでいきましょう。
電話もネットもLINEも使えるでしょう? 大丈夫です。

4.プロを信じてみる、ということ

ところで、みなさんの、「わからない」「予想できない」に関して、一番わかる人は誰でしょうか。

それは「専門家」です。

今、このクライシスに際して、「ガチな専門家」が全力で対応しています。
だから大丈夫です。

みなさんは、そういう人やそれを参考に動き、働く医療者を信じてください。そうすることによって、頭の中で、少しずつコロナを「他人事」にしてください。

なんとかしますから。私たちに任せて、(きつい言いかたですが)邪魔しないでください。大丈夫です。

5.コロナを「他人事」にするための方法

さて、コロナを他人事にするための具体的なやり方ですが、これはいろいろあります。

工夫次第で無数にあります。楽しいですよ!

たとえば、ネット電話で友人とおしゃべりしてください。
たとえば、Skypeやメッセンジャーでチャットしてください。
テレビ番組を(場所は離れていますが)同時に見て、なんでも思ったことを言い合ったりしてください。

えらい人の記者会見なども、一人で見ずに、安心できる人と一緒にお話ししながら見るといいですよ。

それから、おすすめの過ごしかたはラジオを聴くことです。今はネットでもラジオが聴けます。
ラジオのいいところは、ラジオ番組のパーソナリティは、映像がないぶん、ものすごくリスナーに対してメッセージ性を込めます(たぶん無意識)。
人に聞いてもらえることを強く意識して話してくれるので、テレビを見たりネット情報(SNS含む)を読んだりするよりも、温かいのです。
生活空間の背景に「ほどよい」喧騒を作れるので、気がそれて、不安が紛れます。

もちろん、好きな方は読書やDVD鑑賞、ゲームなんかもいいですね!

あまりそういうのが趣味ではない人は、無理してやらず、ネットを使って人と交流することをおすすめします。
理由があって、会えないような相手でも、リアルタイムでやり取りしたら不安が緩和されますよ。
話を聞いてもらうだけで、楽になるからです。
そこに、「正しいコロナ情報」は要らないはずです。大丈夫です。

6.みなさんが「すべきこと」と「絶対にしてはいけないこと」

「コロナそらし」以外に、具体的に行動としてやってほしいことはすでにお願いしています。

・日用品、食料とかを買うため以外は外出しない
・外出したときは、人と2mは距離をおく
・手を洗う
・手を洗うまでは、その手を顔にやらない
・換気する

やって良さそうなことは

・公園などへ散歩する
・風通しの良いところで過ごす

こういうのは、もういいですよね?
当然、知っていてください。

さて、個人的にすごく問題に思っていることで、絶対して欲しくないことがあります。
これだけ言わせてください。それは、

「あそこ(地域名、地名、建物名、店名、病院名、学校名など)でコロナが出たから近づくのやめよう〜!怖い」みたいなことを、言ったり書いたりすることです。

思っても、心の中で思っていてください。
言わないでください。口に出さないでください。
近づいてもうつりません。大丈夫です。

( )内は、ライブハウスや屋形船やカラオケボックスやバー……そういうところではありません。念のため。

こういう発言が増えちゃうことが、不安が伝わりやすい土壌を作っています。
そしてどんどん不安が伝播してしまう。
不安を口にしている人を誰かが見てしまうと、不安がうつります。

グッとこらえて黙っていて欲しいのです
そこに住んでいる人や、働いている人のことを、少しは想像してみてください。
どうか家で遊んでください。

7.きっと、大丈夫!

ということで、新型コロナウイルスという、かつてない医学的な脅威について考えることは専門家に任せていただき、順序よく事を改善するしかないんだというイメージを持ってください。

お願いしていることだけやっていてください。考えずに。

大丈夫です。
そりゃもう、私ですら身動き取れないくらいのガチで優秀な専門家が知恵を全力で出してやっています。すでにね。
大丈夫です。コロナはプロに任せといてください。

考え方だけ、ちょっとだけ変えてください。

あまり深く考えず、言わず、そうしたガチ専門家が適時お願いすることをそのままやってくれればいいだけです。普段はコロナのことは忘れておいてください。

その時がきたら、専門家が必ず教えてくれます。
そういう時以外は、家で遊んでいてくれればいいですよ!大丈夫です。

そして余裕があったら、できれば近くの人を励ましてくださいね。


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