「オニマツにきいてみよう!」傑作選
この記事はメインパーソナリティ 國松淳和先生(オニマツ・ザ・ショーグン)による新感覚お勉強ラヂオ「オニマツにきいてみよう!」から、アシスタントの中立が番組の一部を切り抜き再編集した文章版です。
あくまで「編集」というフィルターを通した内容ですので、できれば本編のラヂオをお聞きのうえ、行間を埋めていただけるとありがたいです。
なお「オニマツにきいてみよう!」は医療従事者向けですので、内容にはご留意ください。
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國松先生Answer
良い質問ですね。よくあるケースです。私が研修医のときは指導医から「とりあえず同じで出しておいたほうがいい」と当時言われました。
私は用法用量の逸脱や適応外処方があった場合は、患者さんに直接聞いちゃいます。雑談しながら。「あ、血圧の薬、けっこう飲んでるんですねえ」みたいに。で、その流れで「実はこの薬は本来こんなに飲まないんですけどねえ……」と"さりげなく"言ってみる。
それで患者さんの反応をみるんです。前医との関係性や患者さんがその処方についてどう思っていたのか。処方の適正さよりその思いを聞くことのほうが大事なんです。
それでもし薬や投与量の変更を患者さんが受け入れてくれそうだったら、適正なものに変えます。ただし、もしかしたら「苦労してこの処方せんに至った」というケースもあるので、かつての私の指導医が言うように「最初はまず変えるな」の意見もよくわかります。なので初回面談では患者さんをよく観察することのほうが大切です。
だからこの質問者さんは「外来の初回では特に、前医の内容そのままで処方される」って言ってるんですね。つまりよくわかっている、ということです(笑)
國松先生Answer
実はこの処方は腎臓内科の先生が出すのと、循環器の先生が出すのでは意味合いが違うんです。
この場合は循環器のケースですね。ニフェジピンのほうが冠動脈を拡張させる作用があるんです。おそらくニフェジピンにはその効果を期待していて、かつ血圧が高い可能性があります。Ca拮抗薬を2剤を重ねないといけないほどに。
あるいは循環器の先生の中には、まれに「冠動脈さえ拡張させていればいい」という人もいますね。
おそらくは理屈はともかく血圧がなかなか下がらないんだと思います(笑)
狭心症の病名があるかどうか確認するといいかもしれません。
國松先生Answer
まずベーチェット病で非感染性の化膿が起こる皮膚症状を抑えるために、コルヒチンを使うことがあります。ベーチェット病でない場合は、家族性地中海熱の発作を抑制する意図でコルヒチンに保険適用があります。
それから家族性地中海熱の診断がついていない場合の話です。実はコルヒチンはその安全性ゆえに家族性地中海熱の診断がつく前に出してみて、「症状が改善するかどうか」トライすることがあります。
あとは普通に痛風(発作)の予防の可能性もあります。
と、まあいろいろ考えられるので、主治医の先生に聞いてみてぜひ知っておいていいと思います。
國松先生Answer
トレーシングレポートとは薬剤師発の医師への情報提供書です。実は私はトレーシングレポートは導入していないんですが(普及待ちです。ウェルカム!)、お薬手帳に「この薬は中止してください。その理由は~」みたいに書いています。あくまで患者さんに説明する体で、薬剤師さんに処方意図などを伝えているんですね。
さてリウマチ科外来で確認してほしいポイントについては、(あってはならないんですが)B型肝炎の検査が落ちていることがあります。
たまにあるのが「現在の感染のみ」を否定している場合です。B型肝炎にはかつて発症していて、かつウイルス排除ができていない場合があり(セロコンバージョンといいます)、そのときバイオ製剤やMTXをはじめてしまうと再活性化してしまうことがあります。これをきちんと検査しているかどうか確認したほうがいいです。
また、残薬調整はぜひ行っていただけると助かります。最近の抗リウマチ薬は高価なので、患者さんのお財布にもやさしいです。そのためには処方が変更になったときにトレーシングレポートで変更理由などを聞くとよいですね。
さらにMTXは分類上は免疫抑制剤ではあるんですが、実は処方医としては免疫を抑制しているつもりはないんです。なので新しくMTXが処方された患者さんに「免疫が下がっているので気をつけて!」とあまり強く言わないでほしいんです。
初期ほどMTXは非常に安全性が高いことを強調して、まず患者さんを安心させてあげてください。
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