ローカルと"SEO"
立脇あゆみ
ローカルとは水と油の関係のように思える『SEO』。検索順位を上げるためだけの文章技術、薄っぺらいお金儲けの道具のようにも思われがちですが、情報を伝えるひとつの手段として取り入れれば、ローカルで事業を成立させるためのひとつのキーになるんです。と、言いつつ、私もその可能性に気づき始めたのは最近のことですが…。
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砂地の土壌が芝の栽培に適した鳥取県は、日本有数の芝の産地。全国の競技場や、東京オリンピックでも使われるほど高品質の芝が、実は鳥取でつくられています。そんな鳥取の芝を知ってもらい、芝をつくることで地域課題を解決しようとしているのが、日本のプロサッカーリーグに加盟する「ガイナーレ鳥取」が運営する「しばふる」というウェブメディア。私は偶然ご縁があり、ライター数名のうちのひとりとして、しばふるのSEO記事の執筆を担当しています。
しばふるがメディアで発信するのは、いわゆる「芝の育て方」や「芝の手入れ」の方法について。なかなかニッチな分野ですが、自宅の庭にふかふかの芝を張りたいマニアが多く、YouTubeでは芝専門のチャンネルがあったり、ツイッターでは彼らが集まるルームがあるほど隠れた人気がある分野です。
「しばふる」は、そんな猛者に向けた情報発信はもちろんのこと、初心者だけど庭に芝生を張りたい、芝生を買ってみたいと思っている潜在客にも届くように、SEOを使った記事を発信しています。もちろん、サイト内からは実際に芝生が購入できるようになっています。
検索上位に入ることができれば、人目に入る機会は圧倒的に増えます。しばふるは、SEOを使ったメディア戦略で、少しずつ売上を伸ばしています。売上が伸びるということは、産業が発展しながら続いていくこと。関わる人が増えていけば、ローカルの雇用の創出にもつながっていくということです。どうでしょう。だんだん可能性を感じてきませんか。
SEOは情報を伝えるひとつの手段。伝える人の母数を増やす戦略です。見つけにくいものが大切だと知っている、ローカルで活躍するひとたちにこそ、ぜひ使ってほしいと思います。
立脇あゆみ/会社員、ライター
1992年兵庫県出身。DTPデザイナー、WEBディレクターを経て、現在は植物の会社で働く。兼業ライターとして活動中。かみいけ木賃文化ネットワークのメンバー。風呂なしアパート街暮らしを実践中。