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オンライン MEET UP! レポート#24

こんにちは。
徐々に夏の暑さから解放され、季節が秋めいてまいりました。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

インターンの鈴木珠水が9月のオンラインMEET UP!のレポートをお送りいたします。

第24回のテーマは「社会の中でのアートの役割・アート活動から見えた地域性」。

ゲストは熊谷薫さんと丸藤晃代さんを迎えてお話を伺いました。

1人目のゲスト熊谷薫さんは、文化芸術分野の調査評価やコンサルティングを行うARTLOGY代表であり、企画を立てて実施するTAMA VOICESのファウンダー、アートマネージャーのコミュニティのつながり作りを目指すArt Managers Labのファウンダーなど、文化や芸術に関する様々な活動をしていらっしゃいます。


今回は、地域社会の中でアートの果たしうる役割やその価値についてリサーチし、様々な事業のサポートをされている熊谷さんに、「社会の中でのアートの必要性」についてのお話を伺いました。

熊谷さんは、2018年に佐倉市立美術館で実施されている市民ボランティアに対話型美術鑑賞ファシリテーターになっていただく活動「ミテ・ハナソウ」の事業評価の依頼を受けて、報告書作成などに携わられました。

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「ミテ・ハナソウ」の活動では、地域に強固な市民ボランティアのネットワークができており、女性や主婦層の生きがいや心のよりどころになっていました。その一方で、美術館自体の来場者数が大きく増える事業ではないため、かかる費用に見合った基準で効果があったのかという測定が求められました。

そこで熊谷さんは美術館が地域にもたらす効果について、入場者数だけではなく、関わった人の内面や地域コミュニティにどのような影響をもたらしたのかという点から調査を行いました。

調査の結果、「ミテ・ハナソウ」というコミュニティが出来たことにより、地域の中で主体的に動く人が増えたことや、活動の中から新たな高齢者施設での鑑賞などに関わるアートプロジェクトなどが生まれ、多様な活動が生まれていることが分りました。

「ミテ・ハナソウ」から生まれた活動のひとつである高齢者施設を訪れて対話型鑑賞を行う活動では、高齢者が日常的にアートに触れることで日々の喜びが増えたり、人間関係の改善や、認知機能のゆるやかに維持するも効果があったことがわかりました。

曖昧なアートの価値を理論化する具体的な手法は、文化芸術以外からも調査依頼オファーがあるそうです。

一例として、「まちづくりの価値を一緒に考えてほしい」という依頼を、大牟田市未来共創センター「ぽにぽにのリビングラボ」から受けました。

「ぽにぽにのリビングラボ」では、認知症の方の思いや、人生の物語に寄り添って、搾取的な高齢者ケアをしない「パーソンセンタード・ケア」を街全体で行おうという活動をしています。そこで起きていることの価値が何かを、一緒にとことん考えるということを行ったそうです。

アートをきっかけにして、個人の物語や未知の価値に寄り添うということを、社会起業家的な感覚に移行するといった活動をしています。

コロナ禍に入ってからは地元のアートコミュニティをつくるべく、「TAMA VOICES」の活動も行っているそうです。これまで培ってきた知識や行政との繋がり、文化政策の問題点を多分野に活かし、地域活動立ち上げに携わっています。

アートが美術館や地域に呼び込む入場者数だけではなく「なぜそれが良いのか」「どこまでリピート拡散したのか」など活動に関わる人や生まれた活動などから、観賞後の内面の変化をヒアリングして理論化する具体化的な手法に、オンラインMEETUP!参加者から弟子入り希望者が続出するという展開になりました。


2人目のゲスト丸藤晃代さんは、ゲストハウスとアートを通して感じたそれぞれの地域の独自性について語ってくださいました。

丸藤さんは会社員の傍で、埼玉県立近代美術家を拠点にさまざまなアートプログラムを企画し、多くの人とつながっていくためのプラットフォームとして活動するSAITAMA MUSE FORUM会員、2016年に行われたさいたまトリエンナーレ瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーターやゲストハウスでのヘルパー経験と様々な地域で活動をされてきました。

農業体験や、フジロックにアルバイト参加をするなど行動派の丸藤さんは、東京マラソンのボランティアなどにも携わっていました。東日本大震災の震災ボランティアを通じ、自分は地域に対して何ができるのかを考えるきっかけになったそうです。

転職前の期間を利用し、伊勢のゲストハウスのヘルパー体験をしていました。
ゲストハウスを目的として人が地域に集まる様子を感じ、核がある場所が地域にもたらす意味を肌で感じる貴重な経験も行ったそうです。

丸藤さんはゲストハウスに魅了されEDIT LOCAL LABORATORY で事務局に携わりながら「ゲストハウスラボ」を立ち上げました。

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会員さんからの何気ない質問から更なるゲストハウスへの理解や関心が深まったトークとなりました。
コロナ禍によってそれぞれのゲストハウスは事業計画を見直しています。
地域を再発見して暮らすように旅ができるゲストハウスの良さを、今だからこそ話し合う貴重な時間となりました。

今回はアートと地域の関係性やゲストハウスの話題などがあがり、地域をどのように編み解いていき、物事の意義をどのように具現化していくかということに対して様々な視座が生まれる回となりました。

インターンの鈴木でした。次回もお楽しみに!

文=鈴木珠水

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