ユニコーンという奇跡のオッサンたちとのすばらしい日々(前編)。
川西さん65歳のお誕生日おめでとうございます。
あれは遠い昔、まだ私が中学生だった頃。
この曲がじわじわと話題を集めていました。
「単身赴任する羽目になったサラリーマンの悲哀」とかいう、そんなの高らかに歌い上げるようなテーマじゃないでしょ?などと思いつつ、
「ヘンテコだけどなんだか面白そうなバンド」というのが、最初の認識だったような。
それから間もなく。
何気なく見たテレビに出演していたバンド。
その映像に衝撃を受けました。
ドラムの人、ニコニコ笑いながらドラム叩いてる。
私の中のドラマー像は、
「いつも眉間にシワを寄せて、不機嫌そうにドラムを叩く」だったのに、画面の中の人は違った。
このイメージのとおりに叩くこともあるのに時おり、カメラ目線をキメてニコニコと笑う。なんなんだこの人。
その人は西川幸一さん(当時)。
そのバンドはユニコーン。
のちに購入したアルバム『ケダモノの嵐』を聴いて、完全にユニコーンにハマったわけですが、その決定打となった曲こそ、『リンジューマーチ』。
この曲はこのフレーズで締めくくられています。
「悩みは 一つだけ できないこと
それは死ぬ事だ」
…いや、そりゃそうでしょ(これは不慮の事故で亡くなった主人公の、妙に冷めつつのほほんとした口調で展開される楽曲)。
『大迷惑』といいこの曲といい、ほとんど誰も取り上げないようなテーマを、ふざけているようでいて極めて真面目に曲として仕上げる、なんなんだこのバンド。
そんなこんなで気づけばすっかりユニコーンにハマり、高校時代はユニコーンと共に過ごしたようなもの。
しかし当時の私は、地方に住む未成年。しかも少し厳しめの家庭で育ったため、夜にライブに行くなど夢のまた夢、そんな状況下にありました。
でも、卒業後は東京へ進学するのが決まっていたので、そうすればライブも行きたい放題。
と、思っていた私は甘かった。
それは突然やって来た。
西川さん(当時)、ユニコーン脱退したってよ。
すみませんちょっとなに言ってるか分からないんですが。
というのが、当時の率直な感想。脱退ってなんだ、なんで辞めちゃったんだ。そんな疑問ばかりが頭を巡るなか、ぼんやりとこんなことも考えていました。
「ユニコーン、もう長くないかもしれない」
嫌な予感は的中し、それから1年経たずにユニコーンは解散。5人はバラバラになり、それぞれの道へ。
彼らのソロ活動を追うのは大変でありつつ、楽しいものではあったのですが、いつしか追う足も止まり、彼らは過去のものとなっていきました。
それから10年以上の歳月が流れた、2009年のお正月。
登録しているネットショップのメルマガの見出しを二度見しました。
「ユニコーンニューシングル、ご予約受付開始」
………は?
あのー、ユニコーンはとっくの昔に解散しましたけど?
再結成とか聞いてませんけど?
なにそんなしれっと「ニューシングル」とか言うんですか?
えっ、えっ、どゆこと?
とにかく頭の中で「?」が乱舞するなか、ネットで調べたところ、本当にまた5人が集まると知って驚愕。
公式サイトに登場した彼らを見た感想は…。
民生さんなんでほぼ坊主頭なんですいや似合ってますけど。
阿部B(当時)なんか昔とイメージ変わった?
テッシーは昔とあんまり変わらないね。
川西さん!川西さんいる!嬉しい!
EBIさん…、あれ、これEBIさん?(長髪だった)
なにはともあれ、ユニコーンが帰ってきたと大喜びし、再始動をぶち上げる新曲『WAO!』のメインボーカルが民生さんではなく阿部B(当時)なのを見て、
「やっぱりユニコーンは一筋縄じゃいかない」と妙に納得したものの、その熱は間もなく冷めてしまうのでした。
理由としては、同じ年にポルノグラフィティの10周年ライブ(東京ドーム)が控えていたこと。
また、「再始動」といってもイベント的な、期間限定のものだろうと高をくくっていたこと。
こうして私の中からユニコーンは消え、それから10年の月日が流れたある日、再び彼らと出会うときが訪れました。
続く。