イシュアとアクワイアラの違いは?それぞれの役割と決済の仕組みを解説!
普段慌ただしい日々を過ごすECサイト・オンラインショップ担当者にとって、決済の仕組みを意識することは少ないかもしれません。今回はECサイトをより安全に運営するために、各金融機関がどういった役割を果たしているかをまとめました。初心者の方にも理解しやすい内容になっています。
■イシュアとは?
イシュアとは、会員に対してクレジットカードを発行する会社です。日本では「カード発行会社」とも呼ばれます。国際ブランドとライセンス契約を行い、会員に対してカードを発行します。
国際ブランド
・VISA
・MasterCard
・American Express
・JCB
・Diners Club
・イシュアの役割
イシュアは主に3つの役割があります。
1)カードを発行する
クレジットカードを持つには、申込みをしてもらい、会員になってもらう必要があります。そのためにまず会員集めを行います。CMやキャンペーン、ショッピングモールにブースを出展するなど、あらゆる施策を用いて会員になるメリットを訴求します。
2)代金回収
クレジットカードを利用した人から、代金を回収します。会員は、申込時に引き落とし用の「銀行口座」を登録します。イシュアは登録された会員の銀行口座から該当金額を引き落とします。
しかし、銀行口座に十分な残高がない場合は引き落としができません。その場合イシュアは、振込用紙を会員に郵送し、支払いを催促します。それでも支払いがされなかった場合は、クレジットカードの利用停止や、ショッピング枠を縮小する可能性があります。
ショッピング枠とは
クレジットカードの限度額を意味します。クレジットカードはカード会社が代金を建て替える仕組みになっています。
3)安全の確保
イシュアは安全な運営も役割の一つです。主に下記の2つに注力しています。
入会審査:代金回収漏れを防ぐため。
不正対策:クレジットカードを第三者に悪用されないようにする。
入会審査では、年齢や収入のほかに、他社を含めた借入状況など、信用情報機関に登録されている情報を元に審査します。なお、クレジットカード会社は信用情報機関に登録しており、期限までに支払いをしているか、支払いに遅延がないかなど、過去数年分の履歴が登録されることになります。
仮にクレジットカード会社Aで悪質な利用を繰り返した場合は、他のクレジットカード会社も契約が難しくなる場合があります。
不正対策では、クレジットカードを第三者に悪用されないように、AIシステムや目視確認を用いて被害を阻止。虚偽の申請や不正な申し込みをブロックしています。万が一怪しい取引を確認した場合は、会員に電話で知らせます。カード紛失時の再発行手続きや、有効期限が近づいたら新しいカードを送るのも重要な不正対策の一貫です。
■アクワイアラとは
アクワイアラは、国際ブランド(VISAやMasterCard)と直接ライセンス契約を行い、国際ブランドを取り扱う権利を持っています。主な役割は加盟店の新規開拓と管理です。
加盟店がクレジットカード決済を使えるようになるまでの一例
VISA ▶ アクワイアラ ▶ 決済代行会社 ▶ 加盟店
加盟店がクレジットカード決済を導入する際、本来はアクワイアラと契約を結ぶ必要があります。しかし、アクワイアラは各国際ブランドごとにわかれており(VISAのライセンスを持つアクワイアラA社、MasterCardのライセンスを持つアクワイアラB社・・・)、複数のアクワイアラと直接契約を結ぶことは現実的に困難なため、決済代行会社が間に入り一元管理を行います。
■PSP(Payment Service Provider)とは?
日本では決済代行会社と呼ばれています。加盟店(決済サービスを導入しているお店)と、決済機関を取り次ぎます。手続き代行やシステム構築・提供が主な役割です。決済代行会社を通してクレカ決済を導入することで、管理が一元化できます。
決済代行会社と契約するメリットはこちらの記事にまとめました。
■対面決済の仕組み
飲食店や百貨店など実店舗で対面決済を行う場合は、EMVチップカードを読み取ることができるPOS(point-of-sale)または決済端末を設置する必要があります。決済端末は決済代行会社より提供されることがほとんどです。
クレジットカード決済後の流れ
1)お客さんがクレジットカード決済をする
2)カードが認証される
3)各決済代行システムを通じて
4)各クレジットカード会社へ顧客情報が送られる
5)オーソリと呼ばれる「クレジットカードが使えるかを確認」される
6)各クレジットカード会社がオーソリ結果を決済代行会社に返す
7)決済完了
オーソリとは、オーソリゼーションの略称で、「信用承認」という意味があります。お客様のクレジットカードが有効期限内であるか、限度額を超えていないをクレジットカード会社が確認します。
例)
クレジットカードの利用限度額が100万円/月だった場合、120万円の決済を一括で行おうとすると、オーソリで決済不可になる。
オーソリを行うことで支払い遅延トラブルの防止となり、お店側・お客様自身共に安全に取引ができる仕組みになっています。
■オンライン決済の仕組み
ではオンライン決済ではどうでしょう?
オンライン決済とは
インターネットを通して行う決済。
クレジットカード決済のほかに、キャリア決済や電子マネー決済等がある。
オンライン決済の場合も基本的な流れは対面決済と同様です。オンライン決済ならではの不正を防止する仕組みがありますのでご紹介します。
・オンライン決済の不正使用の対策:3Dセキュア
オンライン決済は対面決済とは異なり、実際にクレジットカード本体を保有していなくてもお買い物ができます。その際に必要となるのがクレジットカード情報。最低限必要な情報として、クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコードの3項目があればお買い物ができます。
(※ショッピングサイトやシステムによって異なる場合があります)
言い換えると、3項目(クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコード)を万が一他人に知られてしまった場合は、悪用されるリスクが高まります。そのようなオンライン決済の不正を防ぐために開発されたのが3Dセキュアです。
3Dセキュアは、バージョン2.0の提供が開始されています。従来のバージョン1をご利用中の場合は、2022年の10月頃までに切り替え作業が必要となります。
■不正検知サービス
第三者による悪用・不正対策として代表的な3Dセキュア以外にも、不正を検知するサービスがあります。不正検知は注文者の情報をもとに審査を行います。一般的にOKであればそのまま商品出荷、REVIEWなら目視確認、NGは注文受付不可で運用されていることが多いです。
なお不正検知サービスは、決済代行会社や不正検知を専門に扱っている会社から契約することができます。各サービスによって、審査基準やリアルタイム審査が可能か、など内容が異なるので、自社の運用に沿ってサービス比較すると良いでしょう。
■さいごに
今回はクレジットカード決済に関する、各金融機関の役割をまとめました。当ブログを運営する弊社 イーディフェンダーズ は、オンライン決済・不正検知サービスを軸に、ECサイト様の運用サポートを行っております。「まずは情報収集から」という方もお気軽にお問い合わせくださいませ。