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チャージバックが0件に?VISAの新システム「オーダーインサイト」

最新情報をイチ早くお届け!語学堪能な弊社スタッフが、決済に関する最新の海外事情をお伝えする「海外事情シリーズ」です。


VISAの新システム【オーダーインサイト】とは?

2021-10-12 スマホで決済する客

クレジットカードブランドである、VISAが提供する新たな決済関連サービスです。日本にはまだなじみのない言葉ですが、実際にどういうものかなのでしょうか?今回は概要をご紹介します。


オーダーインサイトは、発生するタイミングでチャージバックを防ぐ

膝の上のパソコンを操作しながら電話中の男性


チャージバックのはじまりは、カードホルダー(クレジットカード保有者またはその家族)が利用明細を確認した時に

「あれ、私こんなの買ってないわ!」

とクレジットカード会社へ申し出・連絡をする時です。
そこでクレジットカード会社で、第三者による悪用・不正が発覚、または情報が曖昧なまま「悪用・不正」と判断しチャージバック処理をすすめます

チャージバックとは、カード保有者が決済に同意しない場合、クレジットカード会社が売上を取り消して、カード保有者に返金する仕組み

簡単な例で言うと、
1)お客様が「こんなの使ってないわ!」と申し出て、
2)正当な申し出と認められた場合は、
3)カード会社が「第三者による悪用/不正利用と判断したため、今回の売上は取り消します」という案内をお客様へ行い、
4)店側から返金(引き落とし前であれば売上を取り消し代金未請求)となる。

※上記は一例です。本人認証を用いた決済方法の場合や、お申し出の内容等によって内容が異なります。

そこで疑問です。

2021-10-13 こめかみに指を当てながら悩む女性社員

本当に第三者による悪用?
不正利用ではないのにチャージバックにしているのでは?
使ったこと忘れてない?
本人利用なのにチャージバックにしているのでは?

コールセンターやお客様窓口に連絡があった時点で「何月何日に●●店で使っていますよ!」などとお客様を説得できれば、チャージバックを防げるのでは?という疑問が生まれる。その通り。

そのような想いからできたのが2017年にVISAが開発したVerifiのオーダーインサイト。簡単に言うと本人利用(カード保有者)によるチャージバックを防ぐためのツールです。本人利用には様々な事例があり、

「奥さんが自分のカードで買っていた」
「子供が勝手にクレカで課金していた」


というように、実は家族が使っていた事例は多い。
もちろんチャージバックのしくみを知っていてわざと不正を働く人もいますが、そちらは後ほど。

2021-10-14 ヘッドセットを装着してパソコンの画面を見るテレオペのOL

オーダーインサイトを活用すれば、「これあなたが買いましたね?」とカードホルダーへ説明・納得してもらうことができます。オーダーインサイトは、本人が利用した内容を徹底的に情報として共有・確認が可能なのです。

このオーダーインサイトは基本的にCRM(共有顧客管理ツール)をイシュアー(クレジットカード発行会社または銀行)のカスタマーサポートが利用します。リアルタイムで購入情報が反映されるため、コールセンターへ「あれ、こんなの私買ってないわ!」と電話したカードホルダーに説明・納得してもらう事ができる。納得してもらえれば「ごめんなさい、私が購入していたわ。」となりチャージバックにならない。とてもシンプルです。

例)
1)お客様「私、こんなの買ってないわ!」とお申し出
2)コールセンターでオーダーインサイトを活用し情報照会
3)コールセンターからお客様に「2021年8月9日に●●店で使っていますよ」と説明
4)当初は怒っていたお客様も「ごめんなさい、私が購入していたわ」と納得する
5)チャージバックを未然に防ぐ


オーダーインサイトの管理画面の強み

2021-10-13 ビジネスマンの手とグローバルビジネス

「クレジットカード保有者」「クレジットカード会社」「加盟店」で情報共有が可能です。カードホルダー(クレジットカード保有者またはその家族)がクレジットカード会社にチャージバックの申立てをした時が一番の問題点でした。申立てが来た時点で加盟店はすぐに返金処理をすることができればチャージバックが起きないが、加盟店にお客様から電話があったという情報がなければ返金処理は当然できない。加盟店からすると、カード会社がうまくお客様に正しい情報を説明してくれることを願うしか方法はありませんでした。

しかし、このオーダーインサイトの管理画面を利用し3社間で同じ購入情報を共有できればカードホルダーをリアルタイムに説得、納得させる事ができ本人利用のチャージバックを防ぐことができます。

オーダーインサイトの流れ

2021-10-14 パソコンを操作しながら応対するテレオペのOL

今まではコールセンターへチャージバックの申立ての電話があった際は高確率でチャージバックの結果になっていました。加盟店はチャージバック対応、返金処理、最悪の場合は加盟店の対応が遅れると追加でペナルティを支払わなければいけません。それに加えもちろん売上も落ちてしまい、加盟店にとってマイナスしかありません。オーダーインサイトはチャージバックになる前に防ぐので加盟店的には救世主といえます。

オーダーインサイトは全て自動で行われ、トランザクション情報(取引情報)をカスタマーサポートのスタッフが、カードホルダー(クレジットカード保有者またはその家族)に読み上げるだけでいいのです。カードホルダーがチャージバックにしたい厄介な理由の一つとして、「商品が届かないから」も上げられるが、このようなケースにも対応している。このオーダーインサイトの管理画面には追跡情報も共有されるため説明することで納得してもらいやすく、加盟店への信用度もあがる。
オーダーインサイトは電話サポートだけでなく、銀行ではアプリやホームページに載せることも可能です。


オーダーインサイトで共有される情報はどんな情報?

2021-10-13 ノートパソコンを使って仕事をするビジネスマンの手

オーダーインサイトはどのような情報を共有しているのか。
加盟店は多くの情報を保持しているのでどのような情報を開示すればいいか悩むところだと思います。もちろんカードホルダーの記憶を引き戻すには多くの情報を開示すればより良いのは間違いありません。

主な開示内容は下記の通り。

・商品情報(ピンクのスカーフ)
・商品個数(2点)
・発送手段(DHL/EMSなど)
・追跡詳細(郵送中/ドライバー配達中など)
・返金処理情報(処理中/処理済など)
・デバイス情報(IPアドレス)
・加盟店名、電話番号、メールアドレス、ホームページなど
・購入者名、購入者情報、購入履歴
・トランザクション情報(注文番号、カードブランド、与信情報など)
・デジタル購入のデータ残とその使用頻度と場所
・購入者の購入備考

これらの情報を元にコールセンターはカードホルダーへ情報を伝え納得してもらうのだ。それでは上記の情報をふまえロールプレイングしてみます。

カードホルダー「ん?なんだろうこの金額。見覚えがない…。不正?とりあえず電話しよう。えーっとカード裏面のコールセンターの電話番号にピピピ…。

カードホルダー「あのー。すみません見覚えのない金額があります。買ってないです」

コールセンター「承知いたしました。お調べしますので少々お待ちください。」

カードホルダー「はい。」

コールセンター「タナカ様が購入された商品はサイズ8の青いジャケットのようです」
「青山店にて購入されているようですね、ホームページのアドレスはwww.******になっております」
「2021年7月15日に購入されていて会員になっておられます」
「購入デバイスはiphone8となっております」
「購入アドレスは*****@gmailとなっており、カード発行の際のアドレスと一致しております。」

カードホルダー「思い出しました。私が購入した商品に間違いございません。」

コールセンター「よかったです。ありがとうございました。」

といった感じです。
多少文字で見ると圧が強く感じるが、それくらいがちょうどいい。
カードホルダーもここまで情報を言われると納得せざるを得ません。


オーダーインサイトは、どのタイプのチャージバックに効果的?

2021-10-13 ワンポイントアドバイスする日本の女性社員


「本人利用」に効果を発揮します。
最近北米では本人利用の不正が増加傾向にあり問題視されています。本人利用の不正をフレンドリーフロードと呼びます。フレンドリーフロードを行う犯罪者は平気で「商品を受け取っていない」「購入してない」などと嘘をつきます。

ここで、オーダーインサイトは効果を発揮します。
フレンドリーフロードの場合、電話にて前述している項目を全て言われてしまうと、犯罪者であれば電話を切って逃げるしかないでしょう。IPアドレスやデバイスなど全てわかってしまうので、最終的にカード発行時と購入アドレスが一致してしまうともう逃げ場はありません。もちろんフレンドリーフロード、本人利用以外にも使い道はあるが、一番効果的なのはフレンドリーフロードと本人利用です。


最後に

オーダーインサイトは、今まではクレジットカード会社のみが利用できる仕組みでした。現在では加盟店用もローンチしており、加盟店側でも利用可能となっています。
これから日本も本人利用が増えてくると、このようなサービスの検討が必要になってくるかもしれない。第三者利用の不正のみならず、本人利用、フレンドリーフロードなどの不正対策を行っていくことが大事です。

当ブログを運営するイーディフェンダーズは、オーダーインサイトを扱っています。ご興味ある方はお気軽にご相談ください。

参照:イーディフェンダーズ株式会社



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