丑の刻参り事件
丑の刻参り
丑の刻参り、丑の時参り(うしのこくまいり、うしのときまいり)とは、丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、日本に古来伝わる呪術の一種。
典型では、嫉妬心にさいなむ女性が、白衣に扮し、灯したロウソクを突き立てた鉄輪を頭にかぶった姿でおこなうものである。
連夜この詣でをおこない、七日目で満願となって呪う相手が死ぬが、行為を他人に見られると効力が失せると信じられた。
これは僕が
小学生の頃の話です。
地元に、
『◯本◯◯川神社』という
比較的、小さな神社があるんです。
◯川神社は
通っていた小学校の
正門からの伸びる坂道を下るとすぐの場所。
家からも近く
写生などの校外授業や、
町内の節分の豆まきの行事でも
時々訪れていました。
その豆まきでは
現金の硬貨やみかん、餅、
何故かパックに入った粉洗剤が
上からばらまかれ
取り合いする大人が
頭上で粉洗剤のパックを破いてしまい
粉洗剤が僕の目に入って、
泣きながらその場を去った
なんて思い出もあります笑
毎年現金で400円位は取れて
豆まきの後に友達と
近所の駄菓子屋なんかに行ったものです。
ある日、
こんな話が学校中で話題になりました。
◯川神社の裏の木に
五寸釘の刺さった
10体程の藁人形が打ち付けられていた。
と。
その情報の元は
先生だったか保護者だったかは覚えていませんが。
藁人形には
全て同じ人の名前
が書いてあったそうです。
ルール無視の藁人形の数
その憎しみの度合いは推して知るべし。。。
神主さんは警察に届けたそうですが
一体どんな罪状になるのでしょうか。。
そして
その事件を境に
◯川神社の裏の木では
五寸釘が刺された藁人形が
相次いで発見されました。
僕も実物を見たのですが、
放課後
同級生と面白半分で見に行った際も
打ち付けられた藁人形があり
夕暮れの中で見た藁人形は
とても不気味に感じました。
同じ人物の仕業なのか
単なる悪戯か
はたまた
◯川神社は呪いの効果がある
といった話が広まったのか。
こんな気味の悪い出来事が
身近で起きても、次々と
新しい事に飛び付く子供の頃ですから
すぐに飽きて
皆、この事件の事は
忘れていきました。
。。。。
それから約10年後、
実家は
同じ町内での二度目の引っ越し。
それが現在の実家の場所(◯川神社のほぼ裏)
二階自室の窓からの景色は
玄関前の狭い道路を挟んで、
向かいの家、◯川神社裏の茂みが見えます。
勿論、藁人形の話なんか
完全に忘れていました。
この日までは。
引っ越しをした二十歳頃の時期は
やはり一番遊んでいた頃で、
毎日毎晩遊び歩き
たまに家に帰ると
「あら居たの?」
と親に珍しがられる程
家に帰る事はありませんでした。
そんなたまの在宅での
ある日の出来事。
夜中2時過ぎ。
…カーン…
カーン…カーン…
こんな時間に家の近くから
何かを打つ様な高い音が響いてきます。
最初は
夜中に行う道路工事か何かだと思い、
自室の窓から見える景色を
ぐるりと見まわしましたが
工事をしている様な明かりも
人の気配もありません。
カーン…カーン…
音は続きます。
窓を開けて確かめると
その音は
目の前の茂みの向こう
つまり◯川神社の裏からしていました。
そこでようやく
昔のあの記憶と結びつきました。
それから
時々自宅に帰ると
同じ時刻にその音が聞こえる時があって、
不定期に続く音は
毎回10分間ほどだったでしょうか。
わざわざ
夜中の神社に入りたくありませんし
その後、
僕はすぐに実家を出てしまったので
結局音の原因は確認していません。
もしかしたら
全く関係のない音なのかも知れませんが…
未だに神社を見ると
この出来事を思い出します。
後日譚としてですか、
この話を最近
実家の近所に住む同級生のHに
したところ
こんな事をサラッと…
「そーいや俺、むかし夜中に藁人形を打ち付けてる所を何度か見たな。アホだなと思って気にせず通り過ぎてたけど。女っぽかった」
…
真偽や、効果のある無いは別として
現代社会においても
そんな儀式に頼るほどに人を恨む、
負のエネルギーが駆り立てる
行動の恐ろしさは
想像するとゾッとします。
今は呪い代行業などもあると聞きますし…
あの、メンヘラに粘着された時の
生き霊が取り憑いたんじゃないかと
錯覚する程感じる憎悪といい笑
やっぱり人間が一番怖い。
終