むつだの「チャイナマガジン」⑨
不定期配信・むつだの「チャイナマガジン」
~中国のサービスレベルはここまで上がりましたよ~
2011年5月25日
いや、ホント中国も新しいステージに来てるなって実感することがあるんです。それは、「サービス」に対する評価。
今でも日本では「中国のサービスレベルってまだまだ・・・」
みたいな報道がされていると思いますが、このところのサービスに対する注目度ってすごく上がってますよ。
中国の大手グルメレビューサイト、「大众点评」というサイトでは5点満点中で評価していくんですが、そこでの評価基準は
・味
・お店の雰囲気
・サービス
の3点。それぞれに対して5点満点で評価するんです。
いくら味がよくっても、お店の雰囲気やサービスが悪ければそれなりの評価になってしまうわけです。
10年前、私がいたころの中国は、
「うまいけど店員はぶっきらぼうで、メニューやお釣りをなげてよこす」みたいなお店ばかりで、それでも流行るお店って結構ありました。価値観が変わってきている証拠ですよね。
ただ、「サービス」ってのは比べる対象が↑これだから、
正直日本人の感覚からしたら、全然ダメだったりするんじゃん?
って思うじゃないですか。
・・・ということで、サービスの点数がやたら高いレストランに行ってみることにしました。今回のターゲットは「海底捞火锅店」という火鍋屋さん。
結論。
「サービスもやる気だせば、すんごいことになる」
です。
サービスって、「え、ここまでやってくれるんだ!?」っていうのがインパクトを生み、それが感動につながって、「もう一度来たい」とか「誰かにおしえたい」っていう感じにつながっていくと思ってます。
なので、種明かししちゃうと、インパクトが下がってしまうかもしれませんが、まあなかなか中国に来る機会も、その店に行く機会もないでしょうから今回はどんなとこがすごかったか、簡単にご紹介しますね。
1)待つ客への配慮がすごい
このお店、連日大賑わいで、当日予約はまず無理。
だから、仕方なくロビーで待つことになるわけですが、とりあえずそこで驚きます。
・インターネットバー
・ネイルサロン
・キッズルーム
これが、なんと全部無料で楽しめます。
さらに、座って待っていると、お茶はもちろんのこと、フルーツやお菓子などをガンガン持ってきます。
2)動作が異常にすばやく、丁寧、そして笑顔
中国のレストランで機敏な動きをする店員がいないわけではありません。が、そういう場合は大概お店がてんやわんやになっている状況のため、店員が辛そうだったり、怒ったような顔をしてます。
このお店の凄いのは、機敏かつ丁寧、そして笑顔なんです。
中国って、これでもかってくらい食い散らかす文化で食後のテーブルって、もうみるも無残なひどい状態になってます。
このテーブルを4、5人がかりでバケツリレー方式で超手際よく片付けます。文字で表すのが難しいのですが、例えるならF1のピットクルー並と言ってよいでしょう。そんな作業中に、ためしに「店員さん、ビール」と言ってみましたところ、笑顔で「はい、ただいま!」とすぐ持ってきてくれました。
3)食中の不愉快にさせない、楽しませる配慮もすごい
このお店は、オーダー表に数を書き込んで店員に渡します。で、いざ注文をしようとしたところ、店員が小声で、「お客様、ひょっとしたらこの注文だと多いかもしれないから1個と書いてある部分を、0.5個にしてみたらどうでしょう。少人数でも色々なものが食べられますよ」と。
そのまま行けば、客単価が高かったのをわざわざ低くしました。
業界用語でいうと、「ダウンセル」です。
中国でよくあるのが、注文しすぎちゃって机の上に乗り切らない料理の数々を前にブルーになる・・・という光景。
特に初めてのお店では、一品の量が分からないのでそんな罠に陥りがちです。未然にこういう提言をしてくれると、客としてはホントお店に信頼感が生まれるんですよね。
そして極めつけは、エンターテイメントパフォーマンス。このお店の一番人気メニューは「カンフー麺」ってやつでオーダーすると、お兄ちゃんがカンフーを模したようなスピーディーな動きで麺を自在に伸ばしていき、最後は鍋の中へポチャって入れます。
↑この波打っているのが麺です
他のお客もその動きに釘付けで、とにかく大盛り上がり。
こういったショーのようなサービスがあると、口コミにもつながりやすいし
一石二鳥なところもあるんでしょうね。
あと、細かい部分で正直気が付く人も少ないかもしれませんがおしぼりを交換してくれる際に、おばちゃんが渡すときはトングみたいな器具で回収するときは、手で回収してました。人によっては、おばちゃんが手でつかんできたおしぼり使いたくないって人もいるでしょうし、つかったおしぼりをトングで回収されると、なんか汚いものをいやいや回収するみたいで不愉快になる人もいると思うんですよね。
ビニール袋に入れてしまえばそれでいいのかもしれませんがそれではコストもかかるし、見栄えも悪くチープ。こんな細かい部分まで恐らく全てマニュアル徹底されているんだと感じました。
後から中国の方に、このお店の話をしたところ
「サービスは恐らく中国一ではないだろうか。
チェーン店ながら全ての店で同レベルのサービスを展開できているので、物凄い仕組みが裏にありそうだけど、真似できない」なんてことを言っていました。
これまで、日本にも様々な中国のレストランチェーンが進出しています。
・北京ダックの全聚徳
・麻婆豆腐の陳麻婆豆腐
・羊鍋の小肥羊
どれも特徴的な料理で日本進出を果たしていますがサービスを切り口としたレストランってのはなかったです。
ひょっとしたら近々、海底捞火锅店が食のテーマパークとして日本進出することもあるかもしれませんね。