これからインテリアコーディネーターを目指そうという人へ
「私にインテリアコーディネーターの仕事は向いているでしょうか?」という質問を、これからインテリアコーディネーターを目指そうという方に相談されることがよくあります。
そこで「インテリアコーディネーターって、具体的にどんな仕事をしていると思いますか?」
と聞くと、大抵「ショールームで家具をコーディネートしている」とか「お客様の家のカラーコーディネートをしているイメージ」というような答えが返ってきます。
うーん。
そのイメージだけでインテリアコーディネーターになりたいと思うのであれば、かなり危険です。何故ならば、皆さんが思っているイメージは、インテリアコーディネーター業務のごく一部でしかないからです。
今回は、インテリアコーディネーターの実務内容をご紹介して、どんな資質が求められるのかを考えていきたいと思います。
インテリアの実務は同時進行タスクが多発する
インテリアの仕事は、簡単に言うとマルチタスク。複合的な知識や技術が必要とされる仕事です。
一日中一軒のお客様の壁紙や床材、家具のコーディネートをのんびり考えているのではありません。
お客様の図面を修正したり、見積もりを作成したり、問屋さんに在庫確認したり、現場の職人さんを手配したり、カタログから提案する商品を探したり、現場に行ったりと、実に細々とした様々な業務があります。
これが複数案件が同時多発するので、それぞれの進捗確認をしながら個々に発生するタスクを行なっていきます。
基本の流れ、ルーティーンワークはあるものの、お客様の数だけドラマが生まれます。
まさに毎日がドラマ状態で、かなり変化の多い仕事です。そういう意味では飽きることがありません。(疲れ果てるということはあるけれど!)
中には「私は事務作業が苦手だから、接客する仕事がいい」といってインテリア業界に飛び込んでくる人もいますが、接客の仕事もまた重要な仕事の一部でしかないのです。必ず事務作業がつきまといます。
反面、接客の仕事もあります。
「私は内面的な性格だから、あまり人前に出たくない」と思っても、打ち合わせもありますし、クレームがあったらお客様に説明や謝罪が必要ですし、お客様のお家(現場)にも向かいます。粗利をあげるための営業活動も行います。
それは、インテリアコーディネーターという仕事そのものが、何かを売り上げる仕事に直結している「販売」がベースだからです。
偏った職業イメージが先行しがち
ひゃー、だいぶ大変そうだな…と思った方もいると思います。
アレ?インテリアの仕事って感性が大事なんじゃないの?もっと優雅に仕事しているイメージかと思った方もいるのでは。
そう、最大の間違ったイメージは、
感性の仕事で個性を発揮できる
毎日優雅に仕事してハードワークと無縁
と思われている点。
はい、かなりの頭脳労働と肉体労働が伴うハードワークな仕事であるのには間違いありません。
そもそも感性やセンスというのは、また別の機会に語りますが、インテリアの知識や技術がベースとなっており、お客様の価値観に沿う説得力のある提案が求められています。
求められる資質は、根気強さと前向きなタフさ
もちろん、マルチタスクを最初からできる人はほとんどいません。
少しずつ経験を積むことによって、やってみることで、タフにチャレンジできるインテリアコーディネーターが育っていきます。
この仕事に就いて、悔しくて苦しくて人知れず泣いたという経験をもつインテリアコーディネーターがほとんどでしょう。
多くのインテリアコーディネーターが、この仕事は自分には向いてないんじゃないかと悩んだ経験があるかと思います。
でも、その人たちはなぜ今も仕事を続けていけるのでしょうか。
それは、苦しくて大変なことがほとんどだけれど、それらを帳消しにしてしまうような感動があるからです。
家というものづくりに携わって完成した時の喜び、お客様からの感謝の言葉、それはもう大きな感動を味わえます。これらが、苦しくて大変だけれど続けていける原動力だったりします。
だから、この仕事に向いている、向いてない、を聞かれたら、実務のハードさを説明した上で、やる前から決めつけず、まずは前向きに取り組んでみるチャレンジが大事だよと答えています。
この話は、これからインテリアコーディネーターを目指す人には、ワクワクをそがれた気持ちにさせているかもしれません。
自分を否定された気持ちになった人もいるかもしれません。
でも、わたしは「こんなはずじゃなかった」「こんなに大変な仕事はやっていけない」と泣きながら仕事を去っていった新米インテリアコーディネーターを沢山見送ってきました。
挫折の奥底には、感性の仕事だから、とか、そんなにハードワークじゃないだろう、といった偏った職業イメージとのギャップが存在していたのも知っています。
まずはインテリアの仕事の実際をよく知ることが大事、そしてその上で根気強さと前向きなタフさでチャレンジしたい人にはうってつけの仕事といえます。
やってみて、正直、きっと向いてないと感じることも多いでしょう。そこで向いてないなりに何ができるか、何を目標にするかです。
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