見出し画像

「豊かな生活」とは何か?をしっかり聞けるインテリアコーディネーターになろうという話

少し前、同業のインテリアコーディネーターたちとお喋りしていた時。
あるインテリアコーディネーターが「”豊かな生活を提案する””豊かな暮らしのお手伝い”ってよくインテリアコーディネーターの自己紹介欄に書いてあるでしょ。あれ、意味がよくわからないんだよね。何が豊かなの?」とぼやいていました。
たしかに〜!
今日は、「豊かな生活」とは何かを考えていきましょう。

「豊かな生活」は中身が伝わらない言葉である

フリーの経験が長い彼女は続けて言いました。
「豊かな生活ってさ、一見見栄えがよくて素敵な言葉じゃない?けれど、それって薄っぺらい言葉だな〜ってずっと思ってたの。すてきな生活、豊かな暮らし。よく見るけど、何が豊かで何がすてきなの?なにを提案してくれるのか全くわからないよね。」

確かに。
「豊かな生活」って一見、すてきな言葉に聞こえますよね。
でも、「豊か」「すてき」の中身が伝わらない、何がどう豊かで、何がどうすてきなのか。
雰囲気だけの言葉では、お客様を引きつけ、納得させるのは難しいですよね。
あなたのサービス内容も伝わりません。
「豊か」、「すてき」、「おしゃれ」といった言葉は、プロであれば使い方に注意が必要です。

豊かな生活とは何か?は人によって違う

なぜ「豊か」や「すてき」や「おしゃれ」といった言葉に注意が必要なのか。
なぜかというと、人それぞれ「豊かな生活」「すてきな暮らし」の尺度が違うからです。

人によっては、最新の家電に囲まれて快適便利な生活が「豊かな生活」だという方がいます。
人によっては、家族全員で過ごすよりもプライバシーを重視する生活を「豊かな生活」だという方がいます。
人によっては、ペットと一緒に暮らす生活が「すてきな暮らし」という方もいれば、家族が全員仲良しで全員リビングに集まってくる生活が「豊かな生活」だと思う方もいるし、モノに支配されない生活が「豊かな生活」だという人がいます。オーガニックにこだわった暮らしが「おしゃれな生活」だという人もいます。

このように、「幸せ」「豊か」「おしゃれ」って人それぞれ。
だから、これが豊かな生活です、おしゃれです、といった提案は、必ずしも正解にはならないということを知っておきましょう。

だからこそ、目の前のお客様が何をもって幸せを感じるのか、何をしたら豊かな生活だと思えるのかをじっくり伺う必要があります。

インテリアコーディネーターの仕事の本質

インテリアをビジネスとして捉えた場合、インテリアコーディネーターはどういうスタンスで仕事をするべきでしょうか。

人の消費行動というのは、ほとんどの場合「困っていることを解決するためにお金を払う」ことで発生します。手っ取り早く安価に空腹を満たせるからファストフード店が存在します。足りないから、困っているから、悩んでいるから、それを解決する手段として対価が発生するのです。
ビジネスという側面でインテリアを考えた場合、どういう場面でお金が動くかということを考えてみると「暮らしに課題があるから、お金を払ってでもその課題を解決する」ために我々インテリアコーディネーターが存在するとわたしは考えています。

たとえば、「間取りの問題で収納スペースが極端に少ないことから家の中が片付かない」という暮らしの課題に対して、その問題の本質が何であるかをインテリアコーディネーターは読み取ります。暮らしの動線を変えることで家の散らかるリスクを減らしたり、収納量が大きく使い勝手の良い収納家具を提案したりと、課題の本質を解き明かすことで提案できる内容は変わります。
その結果、部屋が片付いた、おしゃれに整った、暮らしが楽になった、家事が時短できた、になるのであって、プロのインテリアコーディネーターとアマチュアの違いはここにあると思っています。

また、部屋をおしゃれにしたい、整えたい、というのは、実はお客様にとって本当のゴールでは無いということも、この仕事をしてきてわかってきたことです。
整った後、お客様の人生がどうなるのか。
快適に整えて本当は何が欲しいのか。何を大切にしたいのか。
表面的なことだけでなく、お客様の真の願望や思いに目を向けてヒアリングをしていきたいものです。

インテリアの仕事は、極端な話、お客様の生活や人生に影響する仕事だから。
まずお客様が本当に欲しいことが何なのかに耳を傾け、課題を解決できる提案になっているかを真摯に追いかけていきましょう。



新米インテリアコーディネーターのための、実務を学べるサイトはこちら▼


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?