「この春、とうに死んでるあなたを探して」筑摩書房刊、発売しました。

 筑摩書房より四六判、つまり文庫や新書より大きめサイズでの発売となっております。文芸書のコーナーに並ぶのではないかと思いますので、どうぞ書店さんでチェックしてみてくださいませ。

 このところ、新刊はシリーズものの続編が続いていたので、0からの書き下ろしというのは久しぶりになります。去年の秋ぐらいから書き始めていたのですが、主人公の矢口という男がなかなか手ごわく……ちっとも心を開いてくれないため、何度かの書き直しを余儀なくされました。矢口め!(笑)しかも12月には インフルエンザ になったりして、なかなか厳しい執筆時期でしたが、こうして綺麗な本にしていただけると、苦労など全部吹っ飛んでしまいますね。カバーイラストは暮先生(@kracica03)に描いていただきました。
 そうそう、カバーの下におまけ的なショートストーリーがあります。こちらは本編をお読みになってからどうぞ~。

 矢口弼は38歳、元税理士。離婚を経験して仕事にも疲れた矢口は、中学時代を過ごした雨森町にひとりきりで戻る。新しい住まいは、かつての同級生・小日向の営む喫茶店「レインフォレスト」の上階。外見は変わっても中身は子どものままに騒々しい小日向に矢口は面食らいながらも、少しずつ雨森町になじんでいく。そんなふたりにもたらされる恩師の死をめぐる謎。先生の死は事故なのか? あるいは、生徒からのいじめを苦にした自殺?
23年前の真実を求めて、矢口と小日向は元クラスメイトを訪ねるが——。

 物語のあらすじはこんな感じです。矢口と小日向がどんなキャラクターなのかは、こちらにあります暮先生のショートコミックをお読みいただけると、なんとなく伝わるのではないかと。やはり同級生の邑(むら)と花川もいますよ~。みんな可愛いよ~。

 自分の作品を説明するのは私にとって難しいことなのですが、編集担当さんが仰ってくれた「魚住くんシリーズに通じるものを感じます」というのは、なんとなく理解できました。なにかを失った人たちが、失ったままでそれでも日々を生きていく……そんなところでしょうか。私のデビュー作である魚住くんシリーズは、登場人物も20代前半と若く、私自身も当時若かったため、それなりの瑞々しさがあったと思うのですが……今回の38歳たちは、瑞々しくはないです(笑)書いてる私がだいぶカサカサになってるんだからしょうがないですな! 
 まあ、年を取ると取ったなりに人生いろいろなわけで、そんな38歳たちの物語が少しでも読者の皆様の心に届けばいいなと願ってやみません。
 どうぞよろしくお願いいたします!

4/4補足。
ツイッターでのご感想はネタバレへの配慮をお願いしているのですが、こちらのコメント欄はネタバレもオッケーの感想も歓迎いたします(^^) みなさまのご感想お待ちしていますね。……ということで、未読の方はコメント欄は読まないことをおすすめいたしますよ~。