【シティS4準優勝記念】ポケカのゲーム性から考えるデッキ選択基準(ロスヌメ解説付)【初心者向け】
はじめに
こんにちは、くるっぽです。
普段は都内でポケカを嗜む社会人プレイヤーです。
好きなデッキタイプは耐久と捲り型、好きなカードはジュラルドンVMAXです。
今回、初めてシティリーグでトナメ抜けを達成し準優勝という成績を残せたので記念に備忘録も兼ねて初note掲載をしてみようと思いました。
ただ、正直なことを言うと会場規模が小さく(32人定員で17人)デッキも先駆者がnoteを沢山書かれているので今更真新しいこともないなぁ……と思いあまり触れられてない点としてゲームメカニクスから考えるデッキの選択基準について書いていこうと思います。
元々ボドゲプレイヤーなので、その性質上新規のゲームを触ることが比較的多いです。その際にルールやメカニクスから攻略することが多いため、ポケカにおいても同じことを考えてみようというのが今回の内容になります。
強いデッキが何故強いのか、ということをゲーム性から見ることで単に強いと言われるデッキではなく自分のプランに合ったデッキ選択/構築が出来ると思いますので、是非一緒に考えていただけると幸いです。
プレイしていれば当たり前のことを書いている部分が多いので、内容としては初心者卒業ぐらいの内容になります。猛者の方には物足りない内容だと思いますがあくまで日頃なんとなく考えてる内容を書き出すとこんな感じだよね~ぐらいのつもりで読んでいただければと思います。
なお、最後に投げ銭でオマケを用意していますが、本題にはさして影響しないため安心してお楽しみください。
あと、要所でボドゲが挟まるので気になったら遊んでください。
マジで面白いですよ、ボドゲ。
メカニクス概略
ゲームの目的
ポケカのゲームの目的は「サイドを6枚取る」ことです。ボドゲ的には「勝利点を6点取得する」ことと言い換えられます。打点量やエネ加速、盤面展開量は本質ではなく、サイドを早く取る/サイドを取らせない動きをどれだけ押し付けられるかが重要になります。(LOは割愛します)
更にポケカはベンチ展開やドロー、グッズ使用の制約はかなり緩いですがエネ貼り/逃げる/ワザを使うと言ったターン1行動の制約がとても厳しく、バトル場も1vs1になるため1体あたりのサイド数交換で優位を取らなければなりません。そのためデッキを考える際は、相手のポケモンを想定より早く倒す(ワンパン)/複数のポケモンを同時に倒す/相手の想定より自分のポケモンが耐えることのいずれかが達成できているかが重視されます。所謂サイドレースと呼ばれるものです。
ポケカの新カードが出る度に「このカードと組み合わせると強そう!」というコメントが散見されますが、「そのギミックで相手より先に6枚取り切れるサイドプランを達成できるのか?」という点は必ず考慮して判断する必要があります。
サイドプラン(得点源)
ルールを持たないポケモン(非ルール):1枚
V、VSTAR、ex:2枚
VMAX:3枚
これを1枚あたりの目安体力換算で考えると、
V、たねex(HP180~220):90~110
Vmax(HP310~330):100~110
Vstar、1進化ex(HP260~280):130~140
2進化ex(HP300~340):150~170
非ルールシステム/進化前たね:60~90
非ルールアタッカーたね:110~160
非ルール1進化アタッカー:120~140
非ルール2進化アタッカー:150~190
VMAXからexまでのインフレがよく分かる値だなと思います。
仮にVやVMAX、種exだけのデッキを非ルールポケモンだけで倒そうとすると、毎ターン110点は必要になります。ロストのウッウが強い理由はここです。非ルールも進化exや2進化を押し付けられれば強いですが、たねがほぼ必須であることから進化前に倒されてしまうとHPの強みを活かしきれません。また、Vstar,Vmaxも同様で進化前Vを倒されてしまうとサイドレースが早まってしまいます。デッキの選択基準としては、このサイドプランのリスク・リターンが適正以上であるかが重要になります。
原則的に高火力のワザはエネ数や進化やデメリット等の要求が多いため、高火力のポケモンでしか非ルールと戦えない場合は無駄なコストを払う羽目になり不利になります。また、コスパが良いとはいえ中打点のポケモンで耐久ポケモンと戦おうとすると中々ポケモンが倒せずサイドが進みません。
このように本来相手が想定していたサイドプランのリスク・リターンを上回ることがサイドレースで有利に働きます。
また、このサイドプランに大きく影響するのが弱点/抵抗力の存在です。相手視点では想定プランが倍速になり、カウンタープランが無い場合大きく不利を取ります。バレットデッキはこの点を上手く活かしたデッキタイプです。
特に環境の強デッキのメジャー弱点と被っていないか、環境のメジャー弱点を採用しやすいか、弱点が無いもしくは殆ど使われていないか等は重要です。
デッキタイプ
サイドプランからデッキを検討すると、デッキタイプはざっくり以下に分類できます。
アグロ速攻型(準備される前にサイドを取りきる)
ワンパン型(相手の想定より早くサイドを進める)
耐久型(相手の想定よりサイドを進ませずサイドを取る)
コスパ型(非ルールで固めサイドを進ませずサイドを取る)
妨害型(そもそもゲームをさせずサイドを取る)
この中だとアグロ速攻→耐久→コスパ→ワンパン→アグロ速攻で相性有利不利がつくと考えています。速攻-コスパと耐久-ワンパンはお互いの性質で変わるのでトータルでは五分としています。(速攻のベンチ狙撃有無、耐久の回復/高HPやワンパンの高火力/即死等)
デッキを選択する際には、環境デッキがどこに該当するかを考えて相性から選ぶと良いと思われますが、スノーハザード/クレイバースト環境は比較的コスパ型が多いと考えられます。Fレギュ以降、こだわりベルト等の汎用的打点増強カードやかがやくリザードン、カビゴンなどのサイドコスパの良いアタッカーが増えた上、Gレギュからはサイド不利で働くカード郡が増加したりと非ルールが活躍しやすい環境であると言えます。
また、デッキとしての相性差を減らすためある程度複数のデッキタイプを内包しているとデッキとしての強度が増します。例えばミュウVMAXはアグロ速攻でありながらエコーワンパンもスライダー速攻も可能でありジャンプ耐久も可能です。(これに盤面ドローまでついてんの?バグ?)
アクション
ポケモンカードでターン中に制約のあるアクションは次の通りです。
1ターン1回:エネルギーをつける/逃げる/サポート/ワザを使う/一部の特性
2ターンかかる:進化
特殊効果を一切使わないゲームの場合、毎ターン確実にエネルギーをつけワザを使いサイドを進めていく必要があります。シールド戦なんかは特にこの点を重視してデッキを組まれているかと思います。
どのゲームにおいても行動回数の原則を無視できる効果は当然強く、EXターン取得はその最たるものです。エネ加速や進化踏み倒し等、Fレギュの看板ポケモンの多くはこれに類する能力を持っているため当然の如く強いです。
特にエネルギーについてはワザの強さに比例して必要数が増加する上、ポケモンが気絶するとエネルギーが全て消失するため、後続の供給を省エネか加速手段で補う必要があります。手張り1回で動けるメインアタッカーで無い限り、必ず何かしらのエネ加速手段はデッキに必要です。
また、特定の特殊エネルギーに依存した構成も引けない時点で大幅にプランが崩れるため避けたいところです。サーチも再利用も困難なため、再現性も担保できません。
(唯一の例外は雪道ミュウぐらいでしょうか?何でダブタ4枚で成立するんです?)
また、進化についても極力少ない構成のほうが安定はします。準備に2ターンかかるため、返しのターンにたね狩りや妨害されるリスクを抱える必要があります。勿論、それを上回るリターンがあるカードであれば使用することを検討しますがそもそも用意するのに2枠必要なため極力依存しないことが求められます。
ルール上は先行の最初のターンは攻撃が出来ないためワザが使える後攻のほうがサイドが進みやすそうなのですが、先に進化の出来る先行が有利とされます。1エネのたねで出来ることが非常に少ないため後攻でも何かしらのアドバンテージ行動が取れる手段を有したいところです。
余談ですがポケカはある程度MTGを参考に開発されたそうですが、クリーチャーが破壊されると土地が破壊されるシステムって一見すると一方的になりそうで凄いですよね。サポ無制限エネ確定破壊があるぐらいなので現代の洗練されたゲームと比較するのも野暮ですが……。
引用:愛の戦士チャンネル 最強異種格闘ポケカバトル!!遊戯王入りマニューラ VS MTG入りオクタン(https://www.youtube.com/watch?v=wEe0CeUZ-oI)
↑ 見たことない人は是非周りに人が居ない環境でご覧ください。
ゲームプランニング
ポケカは相手ターン中の行動が出来ないため傍目では1ターンに沢山カードを消費するソリティアゲームと捉えられやすいですが、面白さの本質的には事前の想定サイドプランの強度のぶつけ合いであり、即時的な妨害がない代わりに自ターンの手札干渉や妨害札、火力や耐久によって相手のプランを妨害することをインタラクション要素としています。よって妨害もサイドプランの一要素に過ぎず、妨害側での実行するタイミングや突破側の手段を備えられるか等のカード/デッキ採用を含むプランの中に駆け引きが存在し、そこにプレイヤーの実力が反映されていると考えています。
(とはいえ1ターンが長くなりやすいポケカはインタラクションの入出力が少なくなるのでコミュニケーションツールとしての刺激が少なくなりやすい面はあるのですが……なので対戦中に喋ってコミュニケーション取る方が好きです。コミュ力大事。)
また、他TCGではドローが弱いためプランに関わるキーカードを最大枚数採用し、中間択のドロー補充や遅延で時間稼ぎを擦ることで再現性を上げていますが、ポケカはドローが強力な分60枚使い切れる再現性があるので、採用カードもメタカード1枚や使用回数を事前に想定した枚数になり、状況に応じた選択肢を正確に捉えられるプレイが求められます。
再現性とドロー
前述のサイドプランを実際に実現する際に必要なカードは極端に言えばアタッカーとなるポケモンとエネルギーだけです。毎ターン事前のプラン通りのポケモンが引けていて毎ターンエネルギーを用意できれば達成できます。
勿論、実際には毎ターン手張りだけで使うワザのエネルギーが足りるわけではなく、そもそもポケモンが引けていなければいけません。更に、手札事故で遅れてしまった場合にリカバリー出来る要素も求められます。
そのためサイドプランに求められるのが毎ターンの要求値(枚数)です。
例えば、毎ターンベンチに居るメインアタッカーを進化させてエネルギーを貼って、次のターンのアタッカーとなる後続をベンチに出してワザを使うとします。この際に必要なカードは
入れ替えるためのカード
進化先のポケモン
エネルギー
後続のポケモン
の4枚です。この4枚が毎ターン勝手に揃うのならドローは不要ということになります。しかしキョダイウズマキのようなバウンス能力が無い限り、毎ターン4枚消費することになるため、ターン開始時のドロー1枚だけでは絶対に不足します。
それを補うのがシステムポケモン(特性だけ使う)やトレーナーズです。
出来る限りシステムポケモンはこの再現性のために採用したく、システムポケモンがいないとサイドプランが崩れるデッキはドローの要求値が高くなりどうしても再現性が不足します。具体的には、
打点・体力増加(例:レジエレキVMAX、コロトック)
エネルギー供給(例:セグレイブ、ドータクン)
といった面々です。立てば強力ですが、立たせる時と維持する時の要求値が高くなるためデッキの再現性を高めるためにはなるべく避けたいところです。
今回は1ターン目から高い再現性を持つ=たねポケモンでドロー出来ると定義し優先的に考察していきます。
以下、たねポケモンだけで完結するドローシステムです。
フュージョンシステム
言わずと知れた最強のシステムです。盤面だけで毎ターン10枚近く引けることはザラ、特性でメタろうにもフュージョンエネで突破可能と生まれたときから今まで環境で見なかった日が1日もありません。
欠点らしい欠点といえばたねVが並ぶため2-2-2が通りやすいぐらいでしょうか?森の封印石でとうとう雪道耐性すら獲得しました。フュージョン専用のため汎用性はありませんがミュウVMAXが強すぎるため十分です。
はなえらび
ロストギミック、実はちょっと特殊な構造です。2枚のうち1枚を加え1枚をロストなので質の良い1ドローが出来ているように見えますが、実は要求値とは別にロストを貯めるという別目標が存在します。
この別目標に向けてキュワワーを次々とバトル場に出す関係上、大量に抱えた手札のうち要求値に繋がるカードが以外と少ないです。手札の大半が入れ替え札とエネルギーだったり、序盤で仕方無くミラージュゲートをロストに置いたら全然引けなかった、なんてことありませんか?
ピン差しを増やすほどはなえらびの2択が厳しくなるため、慣れない内はVIPパスで抜けるたねポケモン以外はなるべく2積したいところです。
かくしふだ
どこにでも入る汎用ドローソースの上、ワザも優秀というスーパーエリート。エネを捨てる関係上、エネに余裕がありエネを再利用できるデッキはこれが使えるというだけで優位になります。回収ネットが無くなったため、1ターン1回のみになりこれ頼みの過信は禁物ですが、強いです。
特に水タイプデッキはワザも打てるためこれだけでタイプとして優位があります。
他に有用なシステムポケモンで言えば、アタッカーを並べるついでにドローが出来るリファイン・アルカナシャインと毎ターン補充でき手札干渉にも強いはたらくまえばでしょうか。しかしこれらは進化ポケモンのため、初動のカバーが出来ない点だけは注意点です。
フュージョン・ロストはデッキそのものが固定化されますが、再現性を考慮する場合は進化システムを含めデッキにいずれかは採用すべきだと考えられます。
またトレーナーズですが、ドローには大半サポートを用います。このサポートですが、ターン1制限がある以上ドローだけでの効果はあまり使いたくありません。そのため博士の研究は強いですが弱いです。博士の研究が多投されるデッキは、その時点で安定性が低い可能性があります。
ですので、ドローは極力システムポケモンで補い要求値を揃え、別のサポートが打てると強力です。個人的には3ドロー+αの効果はドロー自体が弱いものの2つのことを同時に出来るため、効果次第ですがサポートとして高く評価しています。同様の理由で手札干渉も妨害しながら引き直せるという点が強いです。
ちなみにサイドプランの思考で言えばボスの司令を撃って相手のプランに干渉することが一番強力です。フュージョンシステムだけで盤面整えてボス打たれたとき、「これでまだサポート使ってなかったっけ……」とゲンナリした経験も、ありませんか?
「兼ねる」ということ
デッキ枚数とベンチ枚数には限りがあるため、採用するシステムポケモンは極力減らしたほうが要求値が下がり再現性が高まります。そのために重要なのはポケモンが複数の要素を兼ねていることです。
デュエマのツインパクトとかシャドバのチョイス/アクセラレートのように2つの効果を使い分けられるカードが強いように、1枚で複数の効果を使えればそれだけ他の用途にデッキスロットや盤面を割けます。セレナなんかもドローとボスを兼用できるので前レギュはよく使われてましたよね。
環境で当てはまるのはアルセウスVSTARは打点とエネ加速とサーチ、ミライドンexは打点と展開、サーナイトラインは打点とドローとエネ加速といった感じです。細かい点だとミュウVMAXは逃げエネ0=入れ替え札を兼ねているとも言えます。かがやくゲッコウガなんかは水エネがあるとドローと2面ベンチ狙撃を兼ねているんですが、輝く枠とはいえ頭一つ抜けて強いです。
妨害について
サイドを先行するゲームである以上、後手を踏んだプレイヤーはどこかで相手の動きを止める必要があります。ポケカでは大きく分けて2種類あり、動きに関わる効果を消去するか、動くための手札そのものを減らすことです。しかし、それぞれに対してリスクが有り前者に関しては
カード1枚で解決される可能性がある
効果範囲が狭く、効果が刺さらない相手が存在する
後者については次のリスクがあります。
手札自体を全て消すカードが存在しない
トップ解決される可能性がある
盤面が強固であり、手札を必要とせず解決される
特にポケカは手札の量が多くハンデスに厳しいため、カード1枚の妨害は返される可能性が非常に高いです。従って、妨害そのものは劣勢時の打開策として必要ではあるが、それそのものを主軸にするデッキを選択することは相当のリスクを負うことになります。
個人的にはディンルーexとか好きなんですけどね……。環境的に抵抗力の影響でサイド進行が弱すぎるので上位デッキに勝てないのがなんとも……。今思うと前レギュのガラルマタドガスとかエクのメタ連中強すぎますね?
但し、妨害そのものの対策は必要なため妨害に屈しない構成は必要だと考えられます。前者で言えばメタりにくい、後者で言えば盤面でドローが完結し事前にアタッカーも準備しやすいデッキが求められます。
デッキ選択総論
以上のことから強いデッキの選択/構築には次の要素が求められます。
複数のサイドプランが取れる上に自身のリスクが少ない
省エネもしくはエネ加速が豊富で毎ターン確実にサイドを進められる
再現性が高く、役割を兼ねるカード等で構成に無理がない
妨害は最小限でよく、自身への妨害も乗り越えやすい
各項目がトレードオフになる可能性もありますが、その際はリスク・リターンのどちらを重視するかで判断することになるかと思います。一例ではありますが、今後デッキを選択/構築する際に参考になれば幸いです。自分も今後構築の際のチェックリストにしていくつもりです。
ここまで書いていて気づきましたが、前レギュのルギアバレット強すぎますね。アグロ速攻かつ高耐久を押し付けてメタカードを破壊した後に、高コスパのワンパンが飛んできて常にエネ加速出来る上に、メインアタッカーが基盤の2進化踏み倒しもしてて上記の内容全部達成してます。そりゃ強いよ。
現環境で比較すると、使用率の伸び悩む新カードのミライドンexやパオジアンexの足りない点が分かります。メインアタッカーにサーチが付いているのはありがたいのですがたねexとリスクのあるポケモンが前線に出る上、エネ加速が運ゲーだったり要求数が多い上消費が激しかったりと後続に不安が残ります。
更に、打点やエネ加速にレジエレキvmaxやセグレイブ等の進化ラインを採用しているため、他のシステムを採用しづらく盤面の妨害耐性が低いこともネックです。最近は安定化のために雪道モココ輝ゲコやパルキアビーダル採用が増えているのも自然な考えであると推測されます。
実際のデッキ選択
環境デッキ分析
スノーハザード/クレイバースト発売からシティーリーグまで新パックの発売はないため、早い段階からデッキを検討しました。
4月末時点の事前環境予想は以下のとおりです。
Tier1
サーナイト/ルギア/ロスギラ
Tier2
アルギラ/ロストバレット/ミュウ
Tier3
パオジアン/ミライドン/アルセ系統
ここを軸にデッキを選択する訳ですが、今回の選択基準としては総論の要素を軸に考えていきます。今回はリスクを重視し、「極力リスクがなくリターンが大きい上、プランの再現性と妨害耐性が高い」を基準とします。
並べるとやはりTier2以上は上記の要素をほぼ兼ね備えています。
ミュウに関してはドラピオンやミカルゲなど専用メタカードを支給されているため下がっていますが、逆に言えばこれらを採用しないと悪タイプが自然に入らない限り太刀打ち出来ないとまで言えます。ただ、環境上位の中ではサイド3のVMAX主体という結構なリスクを抱えてもいます。
ロストバレットはコスパは良いのですが、かがやくリザードンとカイオーガの有効度が下がっています。リザードンはexの登場でこだわりベルトの通りが悪く、カイオーガもサーナイト等ベンチのルール持ちの数が少ないデッキの増加が目立ちます。
サーナイトについてはデッキパワーはかなり高いですが、Tierトップかつ2進化特有の進化ターンからくる殴り出しの遅れとミュウと同タイプ故のメタ対称になりやすいリスクを抱えています。
アルセウスやルギアはノコッチで弱点を消そうと思えば消せる優位点がありますが、本体が動かないと何も出来ない、更にアルセウスはサイドプランが狭いという厳しい点があります。特に進化前Vを4投するとスターティングは楽ですが、必然的に後攻というだけで進化前のVが倒されるリスクを取るのは5割不利と同義のため、選択にはかなりのリスクを含みます。
一方でロスギラはロスト基盤という先手後手を問わない最強のシステムを保持している上、ギラティナは弱点がなくたねにもドロー、メタ貫通と役割がありVSTARは高打点+ワンパン性能とかなり強力です。他のポケモンもたね主体でドロー、コスパ攻撃、ベンチ狙撃と無理のないプランがとれます。一旦これで仮決定し、各Tier上位と対面テストをしてみました。結果、ロスト自体もある程度メタの対称になりやすく、下記の欠点を抱えていることがわかります。
サブアタッカーがウッウとヤミラミに限定されるため130点以上の火力が出せず、HP130以上で攻められるとギラティナで戦うリスクが生じる
ギラティナのエネ消費が激しく継戦能力が低い=非ルール相手に迂闊に出しづらく、手札干渉や不意のプランに弱い
特に草エネルギーが弱く、草タイプの非進化たねサブアタッカーが居ないことがデッキの頭打ち感がありました。本当に草タイプは弱いので試しに調べてみてください。130点出るトロピウスぐらいしかいないです。そろそろ救済してください。
まとめると「ロスギラが該当しそうだけどもうちょっと場持ちと幅が欲しい、草はいらん」と言ったところです。ギラティナ以外かサブアタッカーで強みを残しながらここを満たせるポケモンはいないか……
いるやん。
ヒスイヌメルゴンVSTARについて
特徴を並べると
3エネ200点とまずまずの打点で非ルールであればワンパン
ワザ後実質耐久HP350、ダメージ軽減のため中打点系であればさらに増加
VSTARパワーで全回復しさらに耐久回数増加
前述した内容で言うと、「相手の想定よりサイドを進ませずサイドを取る」デッキに該当します。実装時点のD~FレギュではVMAXがまだ多く見られるワンパン環境であり、その後もメロディアスエコーやクロススイッチャー、ギラティナ、キュレム、ルギア(Aイベルタル)等耐久自体が許されない環境のためあまり見ることはありませんでした。
しかしGレギュに突入し、レギュ落ちと相性的に厳しいギラティナ、ミュウの減少傾向とワンパン環境からコスパ環境への移行に伴いようやく活躍しやすい環境になったと言えます。
本人と基盤のロストの関連パーツはそんなに変化がないのに環境で性能が活きやすくなったのは面白い点ですね。
ロストヌメルゴン
やっとデッキが決まりました。長いですね。
ロスギラとの比較点は以下になります。
草→鋼になったためザマゼンタが採用でき、高耐久高火力で非ルール/V・たねexの両方に対面できる
エネルギーが場に残りやすいため、クレッフィやディンルー等のメタ相手でも手張り完了後に継続して戦うことが出来、サブアタッカーのエネ貼りも間に合いやすく手札干渉後に戦いやすい
Vstarで非ルールに対面しやすく、ある程度一貫したプレイがしやすい
火力が下がったため、サブアタッカーの起動回数が増える可能性がある
アビスシークが無いため、後1で事故を改善しづらい
要約すると「ワンパンコスパ型から馬力を落としたかわりにロストメタが効きにくくなった耐久コスパ型」と言ったところでしょうか。強みを残しながら弱みを改善できるようにデッキを構築します。
悪くない感触(VSTARマーカーはガンナガンです)
考察がある程度合っていたのか新潟CLでも若干使用されており、この辺からより洗練されたリストが出回ってきたこともあってブラッシュアップをしました。このあたりからサーナイト、アルギラのシェアが伸びた印象ですが大きく影響はしないと判断しました。
トレリも優勝したし行けそう~~~?
最終的に調整した結果のリストが下記になります。
デッキリスト
ロスト軸ということで真新しいものでもなく、有料noteで書かれている方もいるので個人的なポイントと採用候補だけ書き出したいと思います。
採用カードピックアップ
ウッウ
確実に後1スピット撃ちたい場合は2枚ですが、ザマゼンタの存在と先2アイアンローリングの筋があることから後1以外の役割が薄いため1枚です。
ザマゼンタ
発表当時から全てがぶっ壊れてると感じてる最強カードです。
非ルールたねにして実質HP160、3エネ有有無とカウンター条件で220点、素点でも何故か100点出ます。
Rの性能とはいえ、直近のたねのクレイバーストのヘラクロスが有3エネ110点やスターバースのラプラスが同じエネ数カウンター性能で110点麻痺なのと比較すると破格のコスパを誇ります。
カウンター性能がロスト軸と非常に相性が良く、こいつが居ることでヌメルゴンで厳しい対面でもヤミラミと交互に戦うことで勝てます。
ミカルゲ
ミュウ対面が元々不利のため、対策として採用。スタートの重さや取られるサイド数のリスク、ルギア等別対面でのメタも考えドラピオンVから変更しました。
ボール(ネスト、VIP、ハイボ、ボウルタウン)
たねに触れるカードが8枚とVSTARサーチのためハイボ1枚です。ハイボは原則的にこれ以外解決策のない下振れか、トップドローやかくしふだで引いてしまったVIPパスを処理できる上振れかのどちらかなので切れる手札少なくてシンドい場合があります。切りたくない時はVSTAR3枚目にしたりしますが、それはそれでダブつくのでお好み。
ボウルタウンはほぼ早期に使いますが、雪道割りたい場面もあるので実は3枚欲しかったりします。今回は割る枠はスイーパーで。
ヒスイのヘビーボール
個人的に「大会シーンのあらゆるデッキで1枚採用したいカード」です。
サイド落ち防止もそうなんですが、サイド確認という時間と脳キャパのリソースに物凄く余裕ができます。初心者は絶対採用してほしいし、これが自然に入るデッキを選んで欲しい。
勿論要らないデッキもあるので実際は入るデッキが限られますが、半バレットのこのデッキではピン差しが多用されるので採用。ノーコストでキュワワー拾えるだけでも有り難い。
入れ替え(ひも、カート、ジェット)
ヌメが引っ込む時は役目が終わってボス要求しつつエネを残すときだけなので、残敵狩りは紐ヤミラミで問題なく残りはカートでも十分と判断。ミラージュゲートまでに4回入れ替えるため、終盤のヤミラミ前出しとロスト送り含め最低8枠。
ジェットエネは革命的で、キュワワー→キュワワー→ウッウやミラージュゲート+手張り→入れ替えワザ宣言がエネ+入れ替えから1枚で済むようになります。ヌメルゴン・ゲッコウガ・ザマゼンタのワザに無1があるのが有り難い。
温存した入れ替えはゲーム後半にヤミラミに超エネ手張りがあるためそこで使ってください。
復帰枠(釣り竿、クララ)
ザマゼンタとヤミラミの復帰、やまびこホーンの阻止と含め最低3枠。かくしふだとミラージュゲートを考慮して釣り竿多めではあるが、クララ1枚でヤミラミと超エネが揃うので実は2枚欲しい。
ロストスイーパー
諸説枠。明確な採用理由が難しいが、ロストかさ増し、不要札処理、道具スタジアム破壊と出来る幅が多すぎるため引けてると使い所が多く何だかんだ嬉しい。ただ、自身のどうぐが不採用のためかさ増しにスタジアムを吐く必要があったりしたのでやっぱり諸説。
キバナ
ギラティナとの明確な差別点です。
ヌメルゴンやザマゼンタをミラージュゲート無しで起動しやすくなり、ロスト対面で先行初手にあればロストを貯められなくとも相手のおとぼけスピットからの先2ローリングまであります。他にもエネの面で釣り竿やクララの節約にもなり、確定サーチも強いことから1枚採用です。
あと、ツラが凄く良い。引くだけで笑顔になる。個人的には初期SRが一番なんですがキャラデザ担当の竹さん本人絵のVクラ版も疾走感があって良く、Vユニ版の全幼女を夢女子沼に叩き落さんとする全力ファンサハニカミフェイスも捨てがたい。3枚もSRあって恵まれてんなぁ!!!!しかもトレーナーズセットの絵違いプロモRもある。お前そういうとこやぞ。4枚全部入れたいがお前が4枚も入ってるデッキ、絶対弱い。
採用カード候補
ポケギア3.0(2枚目)
出来れば2枚欲しいが、現物が引けてれば要らない枠。ピン多め+アクロマ安定化のため1枚は入れました。アクロマ引けない時はそういうとき。
ポケモンいれかえ
ヌメ2体立てたい場合やひもで相手を動かしたくない場合に。ちなみにロストヤミラミ対面以外はエネを残したまま下げれるとボス要求になり、手札干渉が減ることで結果的にその後のプランが通りやすくなります。このターンの200点が無くても勝てるかどうかで判断しましょう。
ボスの司令(2枚目)
最低1枚だが、ヌメルゴンやザマゼンタを強く使いたい場合は2枚で。再度落ちやロスト送りを考え、クララ等の他サポよりサイド進行の確実性に対する比重が重いと判断しシティ当日は2枚になりました。
ナンジャモ
事故回避+中盤までの手札干渉手段。ツツジ以外に干渉が出来ないので、要所の相手からのボスがほぼ通るのがネックで候補に。最終的にザマゼンタをデコイにしてボスを吐かせ、先にヤミラミを通してから復帰させたザマゼンタにエネ加速してボス2で締めることにしました。
超エネ(3枚目)
かくしふだやロスト送り、サイド落ちで若干嫌な択になるときがあるので候補に。最終的に1枚あれば復帰枠で何とかなると判断し2枚のままに。
当日のマッチアップ
予選
1戦目 ❌ プレミ祭
2戦目 ⭕ 不戦勝
3戦目 ⭕ スピット2回種切れ
書くことがっ……無いっ……!
シティがコレで良いのかという議論は割愛します。
本戦
初戦 後⭕ ミュウVMAX 6-4
先1フル展開+ベルトターボ貼られ準備万端かつ災いの荒野というガンロスト対策で焦るも、封印石がない+ウッウロボ1見えのためミカルゲ出して魂の後1ヌメ1体着地しました。
ボスあれば即死ですが封印石が見えておらず、次のドローがフュージョンエネ出張り1回のみのため進化とボスの両方が揃うことがない可能性にかけました。ちなみに2体出した場合はヌメは残りますがこちらのワンパンがないためキュワワーにサイコジャンプでサイド進+耐えられて間に合いません。
祈りが通りボスはなかったものの、ロストシティでウッウがロストに送られました。また、ミカルゲが効いたため先2VMAX2体が用意されなかったためテクノバスターを宣言。後2ローリングし手負いのミュウが2体残る結果に。
先1でキュワワーを見てミュウゲノで埋めた結果メロエッタが居ないため、エコーは来ずフュージョンを1枚ずつゲノに貼っていくためひたすらローリングで応戦。
序盤のテクノバスターが効き先に紐が切れたので紐ボスタブレットワンパンの筋が消え、裏をサイコジャンプで取ってリセットする泥試合に突入。
ヤミラミやザマゼンタを狩り続けられるも最終的に相手のリソースが尽きVMAXを2体倒して勝利。不利対面のため一番神経を使いました。
準決勝 後⭕ 6-5 アルギラ
後1おとぼけ→先2ノヴァの後の後2ローリング用の入れ替え札が紐しかなく泣く泣く差し出されたビーダルを処理。
更に返しに紐ボスインパクトでヌメを処られ、後3で敵討ちしてもギラティナに耐えられてロストインパクト連打。
これまでか……と思ったがノヴァ1回のみ+紐消費+ダブルターボロスト多数と盤面のエネを吐きまくってたのでワンチャンにかけエネなし手負いのアルセをボス縛ってロストマインを連打しました。
ビーダル処理がここで何故か活き、入れ替えリソースが全く用意されなかったためロストマイン5回ぐらい連打して何とか勝ちました。エネ、大事。
決勝 後❌ 1-0 アルギラブラッキー
エネ張りエンド!!トリニティノヴァ!!ありがとうございました!!
ここまでで運全部使い切ってました。どれだけ理論的でもこれがポケカよ。
基本的な動き
先駆者の有料noteもあるため対面相性などは割愛しますが、基本先行でアタッカーはヌメ1体+バレットです。ヌメがどれだけ場持ちするかが重要なので、紐ボスと雪道の有無を警戒しながらローリングしていきます。キュワワーが前に出づらいため、紐とジェットの残数に気をつけながら適宜ロスト数を貯めます。
キュワワーを出すことがリスクでない対面においては、先行3キュワワーも考慮してください。先1にロスト3で先2アクロマ+2はなえらびでミラージュゲートが起動しアイアンローリング出来ます。
対ロストのみギラティナの有無を判別してからヌメを着地させてください。有はバレットで、無は逆にヌメ単騎まであります。ミュウ以外はミカルゲもあれば先2ボス220点は発生しにくいため、対面次第ですがウッウによるスピットよりもヌメの着地を心がけてください。
ローリングまで到達したら残りのゲートやサポで盤面にエネを供給し、ザマゼンタとヤミラミを同時に作ると盤石です。後はひたすらローリングし続けてください。こうなると終盤、結構暇です。
デッキ選択基準についての振り返り
日頃感じてるメカニクス部分の文章化をして今シーズンのデッキを振り返ると、大会シーンでは無意識に考慮してデッキ選択をしていたなと思います。
2023
S1 ルギアジュラルドン 2-2
S2 ロストジュラルドン空ピカ 4-2
S3 ロストギラティナ 1-4
S4 ロストヌメルゴン 準優勝
並べてみると、基準で述べたサイドを進ませない/弱点がないを軸に選択していることが分かります。一方で進ませないことを重視するため、自分から先んじてサイドを進められる代わりにメタの対象になりやすい、高いデッキパワーのTier1郡を避ける傾向も出ています。
実際、Tier1やそれに類するデッキを選択したS1/S3よりも、基準軸により準じる構成が出来ていたS2/S4の方が成績が良かったため、今回文章化した自身のデッキ選択の方向性の考察が有効であったのではと考えられます。
まとめ
今回、ポケカのゲームシステムから考察してデッキ選択をするという内容でしたが、勿論これが全員に当てはまるという訳では有りません。ゲーム性についてもあくまで仮説ですし(制作者じゃないし)、リスクを多少取ってでもリターンの最大値を重視される方も大勢いらっしゃると思います。
ただ一つ確実に言えるのは、自分の中でデッキ選択/採用カードについて言語化出来て納得できる理由があり、その内容と精度が強固であればあるほど強くなれるという点です。実際、自分が尊敬するプレイヤーの方の選択基準は「強いデッキを強く使う」という内容でした。それに準じているほど強いデッキを更に強く活かせるプレイングになるため、結果的にプレイの引き出しが増えプレイスキルの高さに繋がっているのだと感じました。
この内容が読んでいただいた皆様(特に初心者の方)が自分なりの選考/構築基準を決める際に参考になれば幸いです。言語化してみるだけでも結構プレイング意識が変わりますので、それを基にした皆様の練習が功を奏すことをお祈りいたします。
ご意見/誤情報/誤字があればTwitter(@EDaybreak)までお願いします。
謝辞
シティリーグ入賞にあたり、日頃から一緒に遊んでいただき丁寧にご指導いただいて下さった五反田プレイヤーの皆様に心から感謝いたします。
当日も沢山応援、お褒めのリプをいただきフォロワーの皆様には本当に助けられました。
今後もどこかで結果を出せるように鍛錬したいと思いますので、まだ見ぬプレイヤーの皆様、よろしくお願いいたします。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!
ここから先はおまけコーナーになります。
前半は現在のプールと環境や原作SVから考えられる新カードと新環境の予想、後半はシティリーグ当日のメンズメイク構築リストになります。
なお前半はリークでもなんでも無い、半分新レギュカードへの愚痴と半分願望になります。後半は完全に私文ですが、カードゲーマーのイメージアップに繋がれば思います。ここまで読んでくださった方で興味のある方は投げ銭にてお心添えをいただければ幸いです。
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