見出し画像

フィジー体験記番外編 ~懸念と後悔と学び(前編)~

前編では私がフィジーに出発する前に考えていたことをまとめてみます。
本編よりこの番外編を先に出すことになってしまうのは少し心苦しいですが、
今、日本のメディアにもフィジーから帰国できない留学生が取り上げられたりしているようなので、思い切って出してみることにしました。

ただし、これはあくまで私の考えであり、

『同じ時期にフィジーに来ていた人たち、現在フィジーにいる人たちの総意』ではありません

ということをご理解の上、読んでいただきたいです。

私がフィジーへ出発したのは3月10日の夜でした。
そこまでの流れの中で、

留学を延期、中止することは考えなかったのか

について。
もちろん考えました。
私がこの留学先の語学学校について知ったのが去年の11月。
母からLINEで教えてもらいました。
ありがたいことに費用も母が負担してくれて、春休み中の3月に行く予定を立てました。

そして厚生労働省が日本国内で最初の新型肺炎患者発生を発表したのが1/16。
クルーズ船が2月。
マスクが消え、トイレットペーパーのデマが広まり。

一応語学学校の運営会社(以下留学会社と略)に、留学をキャンセル、延期とした場合の料金のことや、他に留学キャンセルする人がいるか等問い合わせた結果、
『延期・キャンセルにしたくない』
という意向が私の中で固まってしまいました。

また、当時はこの新型コロナについて、
■感染しても8割が軽症、または症状が出ない
■高齢者や免疫力の落ちている人は重篤化する恐れあり
■致死率低い
■手洗いとマスクで予防
こういう認識だったので、
『感染するとしたら国内だから、出発前に成田空港でしっかりマスクして手洗いしよう』
くらいに思っていました。

そして北海道では2/28に非常事態宣言。
私は青森県に住んでおりましたので、流石に心配に。
しかしその後の3/2に、留学会社からメール。

●フィジー入国前に中国本土およびイタリア、 イラン、韓国(チョンド 郡およびテグ広域市)に滞在歴がなければ入国の制限ないですよ
●ただし全員体温は測ってもらいます
こういう感じだったわけです。
『フィジー政府がそれでいいならいいんじゃないか』
私にもこういう気持ちが生まれたことは否定できません。
『もしもフィジーでもコロナが発生して強制帰国とかになったら、それは仕方がないと思っておとなしく帰ってこよう』
帰れなくなるとは思っていませんでした。

3/5に大学に渡航許可願を出しに行ったときも、
「保険は…入ってるね。留学の会社名、連絡先、滞在先…書いてるね。旅レジ登録してるね?はい、OKです。気をつけて行ってきてくださいね。」
こんなもんでした。
当時はまだ国内の旅行にも行っている人がたくさんいましたし、私自身『そんなもんか』と思っていました。
そのまま3/5に母の車で実家に帰り、出発日まで準備・待機。

そして出発直前。
看護師である母は私の渡航に反対したものの、私が『行きたい』と言ったものですから、
○マスク
(手荷物に滞在日数分、スーツケースにさらに10枚程)
○手袋(枚数はわかりませんがたくさん、使い捨て)
○アルコール消毒液1ボトル(今も使ってます)

用意してくれました。
★行き・帰り共に常にマスク、手袋着用し、食べ物を食べるときに手袋外してそのまま捨てる
★手袋外した後と着用前にアルコールで手を消毒
これを必ず守るように言われました。
母にはいくつになっても頭が上がりません。

マスクが品薄だったからか、新幹線や空港への高速バスにもマスクをしていない乗客がたくさんいる中で、見えないコロナに恐々としながら移動しました。
ただ、空港の出国手続き後、飛行機内はやはりマスクしてる人ばかりだったように思いました。

以上が一連の流れです。
要は『行きたい』という気持ちが大きかったこと、当時絶対的な抑止力がなかったことが渡航をやめなかった理由です。
とはいえ、それは結局私のエゴで、今となっては言い訳にしかなりません。
どんなに予防対策をしていても、日本人の感染者が、フィジー国内にコロナを持ち込んでしまう可能性もありました。実際はそうはならなかったというのが不幸中の幸いです。
そして今、私が日本に帰れない状況に陥っているのも、私の自業自得なわけです。

『助けてほしい』とは言いません。
『行きたくて行ったんでしょ』そのとおりです。
私もこの状況を悲観しているわけではありません。
同情したり、大げさに嘆いてほしいわけでもありません。
私を止めずに送り出してくれた人たちを責めてほしくもありません。

もし願うとすれば、
『知って』いてほしい。
日本語も、日本人の思う「常識」も全く通じないフィジーで、
この国の独特な文化と、慣れない英語に翻弄されながら、
想定外の今を生きている私たちがいることを。

そして日本国内のコロナ感染が1日でも早く収束、終息することを願います。
現在、フィジー国内のコロナ発生は落ち着きを見せており、日本人のコロナ感染は発生していません。
4/17には首都スバのロックダウンも解除されました。
現在も、人が20人以上集まるような集会は禁止され、学校は閉鎖されていますが、国内の短距離での移動に関しては、比較的自由に行えるようになってきました。
アジア人差別については、幸い私はこれまで一度も感じたことがありませんが、後編で触れたいと思います。

今、世界中の人たちがコロナと闘っていて、それは海外にいる留学生も同じ。
今、帰国したくてもできないという状況下にある海外滞在者全員が無事に日本へ帰れることを、あなたが心のどこかで祈っていてくださるなら、これ以上のことはないと私は思うのです。
(後編に続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?