勇気を持って、政治を変えよう。6月24日 #立憲オンライン大作戦 枝野幸男スピーチ全文
東京都議会議員選挙告示日の前日6月24日に都内のライブハウス CIRCUS tokyoさんにて、「立憲オンライン大作戦 #都議選2021 始まる!」と題した演説会を行いました。お話しした演説の書き起こし全文をnoteで公開します。
去年から1年半、私達の国はそして世界が、新型コロナウイルス感染症という100年に一度の感染症による大変な危機に覆われています。そのことによって、社会は変わらざるを得ないし、政治も変わらざるを得ない。そんな状況の中に、東京も日本も今置かれています。社会が変わったのに、政治が変わらなければ、そのひずみのはざまで多くの皆さんが苦しむことになる。既にこの1年半、そうした状況に多くの皆さんが置かれているんじゃないでしょうか。熱が出てて感染を疑いながら、いくら保健所に電話をしても、電話が繋がらなかった。感染が確認されたのに、入院先が見つからないと言って自宅で待っている。ホテルで待機をしている。その中には早く手当てができていたら、もしかしたら救えたかもしれない命があったのではないですか。
なぜこんな医療になっているんでしょうか。それは私達の国はもう20年も30年も医療の効率化を図ってきたからです。目先の金勘定で国が動いてきたんです。採算に合わない、儲けにならない医療をどんどん減らしてきたんです。お金にならない、採算に合わない医療を作ってしまったら、何年かに一度、こうした感染症はあります。今回の新型コロナウイルスは、スペイン風邪以来の100年に一度と言われているかもしれませんが、10年前の私どもが政権をお預かりするちょっと前、新型インフルエンザがありました。あの時は長妻さんがその後、厚生労働大臣になって、早い手当を打って、大きな広がりなく止めることができましたが、感染症が何年かおきに発生をしたり、あるいは東日本大震災や阪神淡路大震災のような災害があったりすれば、医療のニーズというのはときによって大きく変化をする。そのときにいつもギリギリの医療をやっているのでは命を守れない。私達はこの1年半の間に、気づかざるを得ない。そんなところに置かれています。
それだけではありません。学校が突然休校になりました。学校が休校になる、子供たちの健康のため、一見よさそうだけれども大きなひずみを生んで大変な混乱の中に置かれた方がたくさんいるんじゃないでしょうか。共稼ぎで、子どもは昼間学校に行く。放課後児童クラブがあって、夕方まで預かってくれる。その学校が開かれない。感染対策だから集まるな。でも学童保育はどうしたらいいんだ。保育所はどうしたらいいんだ。その結果として、共稼ぎで、でも子どもがずっと家にいるから仕事に行けない。だけど自分は看護師だ。介護職員だ。まさに感染症の危機の中で、仕事は休めない。こういった人たちがたくさん出ています。こうした我々がエッセンシャルワークと呼んでいる仕事。看護師や介護職員や、あるいは保育所や学童保育や、この感染症の危機の中でも人と人と接触しなければ仕事にならない、そうした皆さんはこの1年半、自分があるいは自分を通じて家族が感染をするんではないかという、その不安と闘いながら、でも目の前にいる患者さん、高齢者、子どもたち、自分が働かなければ、その人たちはどこに行ったらいいんだ。そうした中で、頑張って働いてきてくださっています。でも、こうした皆さんがどういう処遇・待遇で働いているのか。残念ながら、こうした仕事の多くが実は非正規で、低賃金で、これまでもギリギリのところでやってきた。人手不足はもう慢性化しているけれども、給料は上がらないから、人を増やしたくてもなかなか集まらない。資格を持ってる人はいるのにと。こういう状況が続いてきました。現に、残念ながらクラスターが発生してしまった介護施設や障害者施設、現場は事実上崩壊しました。それでも残った感染してないスタッフの皆さんが、命を繋ぐために守るために、必死になって働いていただいている。そんな現場の声も、私はこの1年半の間聞かせていただきました。
私達の国はこれまで、いや世界の先進国の多くがこれまで、とにかく目先の効率性で、競争で、自己責任で、だから「役所なんて小さければ小さいほどいいんだ」「公のサービスだなんて最低限でいいんだ」「これが改革なんだ」という名前で20年も30年もやってきました。私も15年ぐらい前までは、そうした改革というものの尻馬に乗っていたのではないかと、率直に言って反省するところがあります。でもそれはやはり過ぎていた、行き過ぎていた。そのことを今感染症危機の中で、私達の社会は突きつけられています。誰も一生を通じて、自己責任では自分の力だけでは生きていけません。今勝ち組だと思っているあなたも、いつどうなるかわかりません。現に、この感染症を人との接触でよって感染が避けられない。だから、社会的な地位があったり、お金持ちだったりしても、でも命を落とされた方が少なからずいらっしゃいます。あるいは、もしこの感染症がなければ、昨年2020年で東京オリンピックが開催されて、世界中からお客さんが日本にやってきて、この外国からのお客さんをメインにした観光関連産業や飲食店、去年の1月2月ぐらいまでは、さあこれから大儲けをするぞ、そのほとんどの人が実際にそうできたでしょう。勝ち組だったはず。それがこの感染症一つで、むしろ倒産に追い込まれている。廃業に追い込まれている。世の中どこで何が起きるかわからない。だからそのために政治があるんだと、私は思います。この感染症危機の中で、自分の力だけではどうにもならない。それでも、目の前のことを一生懸命頑張っておられる。そうした人たちによってこの社会は成り立っている。だから、自分の力だけではなくて社会全体で、いざという時に支え合える、支えることのできる、そういう政治をしっかりと作っていかなければならない。ただでさえ、私達の国は、そして東京はこれからますます急激な高齢社会を迎えます。人口減少社会を迎えます。高齢者が増えれば、どんな人でも年をとれば若い時と同じようにはいかない。介護や医療というサービスが、お金があろうとなかろうと必要になっていきます。そんな中で、子どもを産み育てたいと希望しても、なかなか自力では、自分の家族だけでは、それに対応できない。そういう社会構造が強くなっている。でも、少しでも人口減少が止まるなら、社会全体にもプラスなんだから、希望される方が希望を叶えることができるようにみんなで支え合うということがますます必要になります。だから、この機会に政治を変えましょう。いざという時に頼りになる、機能する政治を取り戻しましょう。
今日お借りをしているこのライブハウスもそうです。感染症の危機の中で、多くの皆さんがほとんど支援がないまま、たった1回、去年の今頃、我々野党が強く求めて、持続化給付金と家賃補助だけは業種を問わずに支援をすることができました。でもそこから先は、今年に入ってこの半年、東京や首都圏や多くの地域で、ほとんど飲食や観光、あるいはこうしたイベント芸術関係は商売にならない状況なのに、支援の金が出てるのは一部の飲食だけじゃないですか。いやその飲食だって、問屋さんは、お酒作っている酒造メーカーは、お酒になるお米作ってる農家は、食材を納めている漁師さんは、全然支援いってないじゃないですか。まずは、業種を問わない、網羅的な、包括的な支援が必要じゃないですか。国の方では、去年の経験があるんだから、持続化給付金を改善してもう1回配りましょうよ。業種を問わずに苦しんでるんですから業種を問わずにやりましょうよ。個人の皆さんも、1人10万円の特別定額給付金が出た。あれも野党が強く求めたものです。あれきりで何の支援も届いていない方がほとんどじゃないですか。私達も一番厳しい皆さんの声を聞き、せめてそこだけでもということで求めてきました。不十分ながら、例えば一人親世帯に対する支援などを獲得してきました。しかし、それは本当にこの感染症危機で所得が大幅に減った、仕事を失った、という方のごく一部を何とか拾い上げているにすぎない。この感染症危機もう一年半です。そこそこの暮らしをしている、いわゆる中間層と言われている方の中でも、例えば共稼ぎで稼いできた。でも片方の方が、日本の場合残念ながら多くの場合が女性に偏ってますが、仕事を失った、あるいは仕事が減った。でもローンは共稼ぎを前提に組んでたんだ。子供の教育費は共稼ぎを前提に組んでたんだ。こういった人たち、3ヶ月なら我慢できる。半年なら我慢できる。でももう1年半ですよ。1回ポッキリ10万円でおしまいなんですか。こんな時のために政治がある。私達は、低所得者の皆さんにはもう一回現金給付を。そして、所得税を納めてらっしゃる皆さんにも年収1000万ぐらいまでの方は1年間、所得税免除する。それぐらいの生活を下支えして当然じゃないかという具体的な提案をしています。
中長期的には、これまで効率性のもとに切り捨てられてきた医療や介護や子育て支援など、私達が生きていく上で、自分の力だけではどうにもならないような厳しい状況の時をしっかりと支える、そのサービスが足りないんです。だったら、その仕事に就いていただく方の給料上げましょうよ。非正規から正規にしましょうよ。そして誰でも病気になったら、お金の心配しないでちゃんとした医療が受けられるという、このコロナ危機の前まで、みんなが信じていた当たり前を取り戻しましょうよ。介護が必要になったら、子供や孫に大きな負担をかけなくてもまともな介護が受けられる社会を作りましょうよ。希望すれば、誰でも間違いなくお子さんを保育所に預けられる、そういう社会を作りましょうよ。そうやって安心できる社会を作れば、私達の国はまだまだみんなが幸せに生きていける、それだけのベースがギリギリ残っています。昭和の時代に先輩世代の皆さんが世界で一、二を争う豊かさを私達の国に築いてくれたはずです。いつの間にか、目先の数字では先進国の中で最低だ。現にこのコロナ対応、様々な支援策も感染対策も、残念ながら先進国の中で最低だと言われてしまっています。でも、蓄積された豊かさはあります。その豊かさをしっかりと分かち合って、いざというときに支え合えるんだ、私は支えてもらえるんだ、だから社会全体で政治を使って支え合うんだ。こういう社会を作れば、必ず私達は安心を感じながら暮らしていける。そんな日本を作っていけます。ぜひそのために、勇気を持った政治を変えましょう。社会が変わったんだから、政治は変わらなければいけない。私はその変わっていく、変えていく、扉を開くその先頭に立つ覚悟です。
明日から東京都議会議員選挙が始まります。まず安心できる東京を作りましょう。感染症は、人口が密集しているところほど、感染のリスクが高いんです。だから一番に、徹底的に大都市である東京は感染対策に集中しなきゃいけなかった。残念ながらそうなっていません。全国から集まってくる皆さんにこの街は支えられています。でも、文化芸術をはじめとして、飲食も観光もほとんど動かない1年半。しっかりと支えていかなければ、感染が収まった時にまさに焼け野原になって、東京の魅力が失われてしまっていたら、この1000万都市をどうやって回していくんですか。しっかりと今の社会の変化を受け止めて、その現場現実に目を向けた東京都政を私達の仲間がしっかりと作っていきます。そのために、ぜひ皆さんの力を貸してください。今年、2021年この国の歴史が大きく変わります。それは、感染症によって変わらざるを得ないところに来ているんです。それを無視をして、旧態依然とした昨日と同じ明日がある。昨日と同じことをやっていれば明日も同じように生きていける。そうではないことがわかったこの1年半。だとしたら、昨日と違う明日を、今日よりも良いものにするために、勇気を持って、私達と共に政治を変えていきましょう。支え合う日本を、支え合う東京を作っていきましょう。そのために私達は全力で戦います。そのためにはあなたの力が必要です。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。