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「根拠なき楽観論」から「zeroコロナ」へ。 5月10日 衆議院予算委員会 やりとり全文 #国会2021

5月10日(月)、衆議院予算委員会でこの間の政府の新型コロナ対応を中心に質問しました。総理や大臣とのやりとりを公開します。質問の柱は以下の通り大きく6つです。

1. 感染拡大の政治的な責任
2. zeroコロナ戦略の必要性
3. 急ぎ進めるべき対応
4. オリンピック・パラリンピック実施の是非
5. 入管難民法改正案の審議・採決
6. 総理のリーダーシップ

映像は以下からご覧いただけます。

5月10日 衆議院予算委員会 やりとり全文

1.感染拡大の責任

① 繰り返される対応の遅れと『根拠なき楽観論』

枝野幸男:残念ながら緊急事態宣言は3度目、しかもそれもまたしても延長がされました。政府の後手後手、二転三転、先行きが見えない示されない、こうした状況が1年以上繰り返されるということを大変残念に思います。少なくない国民の皆さんがこうした状況に呆れ果て、また疲れ切っているという状況です。2度目の緊急事態宣言解除の際、3月、私は総理にこの状況で解除すれば、感染者が急増する可能性が高い、解除は時期尚早であり反対せざるを得ないと申し上げました。総理は、再び宣言に至らないよう全力を尽くすとおっしゃいましたが、残念ながら、1ヶ月ほどで宣言を再び出すことになり、このことを我が党の山井議員が4月23日の厚生労働委員会で尋ねましたところ、大阪兵庫の変異株というのは、解除当時は出ていなかったと総理は答弁されました。私は唖然としました。3月の解除のときの議院運営委員会でも、私も総理に変異株の拡大について指摘をして、解除は時期尚早と申し上げました。大阪では、3月12日の時点までで計103人が変異株に感染していたことが確認され、報道されています。さらに言うと、1月の26日の再開、辻元筆頭理事は変異株の拡大に警鐘を鳴らしました。総理はそれに対して「強い危機感を持っておりまして」と答弁されてます。この強い危機感って何だったんでしょうか?言葉に中身が伴っていないと言わざるを得ません。強い危機感を持っていながら、3月の時点で大阪兵庫の変異株についてスルーしたんですか、総理いかがですか。

菅総理:変異株に対しての対応というのは、まさにマスク、手洗い、三密回避という、そうしたことを徹底する、そうしたことであることは事実じゃないでしょうか?そういう中で、私どもがこの解除したことについて話がありましたけれども、解除の条件というのは、まさに具体的な指標や専門家の意見を踏まえて、その時々の必要な対策や対応について判断を行って解除いたしました。当時はステージ3を遥かに、ステージ3よりも下になっていたことも事実じゃないでしょうか。そうしたことを考える中で、専門家の意見や具体的な指標の中で、解除をさせていただいています。

枝野幸男:その解除の基準そのものを政府が作ったんですよ。私この国会の冒頭、1月20日の代表質問でもう既に申し上げてます。政府が言ってきている解除基準、つまりステージ3、新規感染者数500人程度まで下がれば解除ということに対してですね、この基準で解除したら感染が拡大に向かって、経済により深刻な打撃を与えかねないから見直すべきだと、私総理に指摘をしています。緩すぎる基準を決めて、それを維持してきているのも政府自身ですから、その責任は政府にあります。基準に沿っているというのは何の言い訳にもなりません。

あわせて専門家といつも繰り返されます。しかし、専門家の間にも様々な意見があります。誰のどのような意見を採用するか自体が政治の責任です。そもそもが、医学的な専門家の方いらっしゃいます。また医学の様々な分野ごとに分かれてらっしゃいます。現場の臨床していらっしゃる方もいらっしゃいます。経済分析の知見をお持ちの方もいらっしゃいます。でも専門家はそれぞれの分野ごとの専門家です。緊急事態宣言をどういう基準で出すのか、解除するのか、そうした基準をつくっていく全体的な知見を持っている専門家って誰かいるんですか。残念ながらいないんですよ。専門家の科学的な知見に基づいて判断しなきゃいけない、それを前提ではありますけれども、そうした専門家の知見を踏まえて総合的に判断する責任は政治にある。それがこういう危機のときの総理大臣の仕事じゃありませんか。

菅総理:それは専門家の皆さんに失礼じゃないでしょうか。政府の方針を決めるときには、分科会というものにかけます。そこに出席の専門家の先生方からのご理解をいただくなかで、政府としては判断を致します。最終判断の責任は全部私ありますけども、ただ途中経過については、少なくとも客観的な、そうした手続きを取って行っていることはぜひご理解をいただきたいと思います。結果私が責任を持ちます。

枝野幸男:専門家に失礼なのは総理じゃないですか。専門家はそれぞれの専門分野について科学的な知見をお持ちになっている。専門家の間でも意見が分かれている、これも客観的な事実です。その中で総合的な判断できるのは政治しかないから、民主的なプロセスを踏んで今、菅さんあなたが総理大臣という、全体の総合的な判断をする、その立場に立っておられるんだと私は思います。

既に1万人以上の方が日本で亡くなられています。

感染者数推移

この亡くなられた方の累積のグラフを作ったんですが、9月16日に菅内閣が発足をし、12月以降、残念ながら急増しています。この1万という数は、単なる数字ではありません。お一人おひとりに人生があり、家族や友人との営みがありました。9月以降何があったか、GoToキャンペーンを強行し、早く辞めろと我々が指摘をしても止めませんでした。そして、遅すぎた2度目の緊急事態宣言と早すぎる解除。『根拠なき楽観論』に立って対応が遅れて、同じ失敗を繰り返してきたこと。この中には、もちろん感染症ですから、救えなかった命もあるかもしれないけども、適切な対応をしていたら救えた命も少なからずあったと思います。総理、このことについての反省はありますか。そしてなぜ総理は『根拠なき楽観論』に立てるのですか。私に対してじゃないです。国民の皆さんに向かって、特に大切な方を亡くされた方に向かって説明してください。

菅総理:亡くなられた皆さんには、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。今パネルで示されてます。例えば、緊急事態宣言による置いてピンポイントの対策を私どもも1月からしました。そのときは一都三県の新規感染者数は、解除時にはこれ8割以上減少したということも事実です。そして宣言が早すぎると言われますけれども、少なくとも宣言解除の目安、これは先ほど来話がありますけど、政府の正式な分科会の中で決めさせていただいてます。そのステージ3を大きく下回り、客観的な数値に基づいて専門家の意見を伺った上で解除をさせていただいてます。ただいずれにしろ、結果として多くの方がお亡くなりになったことに対しては、大変申し訳なく、そして心からお見舞いを申し上げます。ただ、政府としては、そうした政府の分科会という、政府に対して、最も影響力のある中で専門家の皆さんからのご意見をいただいた中で、私どもが判断をさせていただいてます。

② 5月7日決定の緊急事態の延長

枝野幸男:何でも専門家に責任を転嫁するのを本当におやめになった方がいいと思います。専門家の中でもいろんな意見があるというのは、何度も申し上げていますし、専門家の意見を聞いていない部分もたくさんあるじゃないですか。既に尾身先生は、ステージ2まで下げてからじゃないと駄目だと明言されていますよ。従うんですね?今回の延長もよくわかりません。当初からこんな短い期間で、効果が見えるのかということは、私達だけじゃなくて、一般の市民の間でもたくさん広がってました。しかし、それでも、イベントを中止したり、大型商業施設は突然言われて、感染対策しっかりやってきて、クラスターでなかったところもみんな協力してくださいました。そして多くの国民の皆さんもご協力いただきました。でもやっぱり、この短い間では案の定、大きな効果は見られず延長ということになりました。ところが一方で、急に無理をして突然やめてくださいと言われて、一番の書き入れ時に中止した大規模イベントやデパートなどへの規制は今回緩和をする。緩和だけではやばいと思ったのか、知事に丸投げして規制を続けてもいいですよとおっしゃる。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるんじゃないかと困惑の声が聞こえます。どちらなんですか。そもそもこの延長前の期間で、人流が減ったというのは総理何度かおっしゃってます。人流が減った結果感染拡大は抑制されたのですか。緩和ができるほど大きな効果があったのですか。この国民の素朴な疑問にお答えください。

菅総理:今回の緊急事態宣言というのは、従来の飲食に的を絞っている、その宣言に加えること。またゴールデンウィークという、短期間の中に集中して人流を止めるべきだと、そうしたご意見が多い中で、そうしたことを参照させていただく中で、政府としては、人流を止めることの緊急事態宣言というものを行いました。人流については、その前の週とさらにこの前回の緊急事態宣言と比較をすると、間違いなく減少したということは事実だというふうに思います。ただそういう中で、感染状況というものが改善されてませんので、緊急事態宣言を延長させていただいたと、そういうことであります。

枝野幸男人流を減らしたっていうのは全く効果じゃないんですよ。手段でしかないですから。人を減らすことによって、どれぐらい多くの人たちが迷惑しているのか、犠牲を払っているのか。人流を減らせば感染が抑制できる。そして緊急事態宣言が2週間余り、これで解除される段階まで効果が出るんだろうなと期待してみんな我慢したんです。でも人流を下げたけれども、多くの犠牲を払ったけれども、効果出ていないじゃないですか。つまり判断間違えたんですよ、その間違いだということに対する謙虚な姿勢がないから何度も同じ失敗を繰り返してるんだと言わざるを得ません。

③ 高齢者施設での死者

枝野幸男:少し具体的なところを聞いていきましょう。神戸市の高齢者施設でクラスターが発生し、25人が亡くなられた。その中で23人は入院治療を受けずに施設内で亡くなりました。門真市の施設では13人が亡くなられ、うち8人が入院治療を受けることができずに施設内で亡くなられました。こうした高齢者施設だけではありません。自宅で、ホテルで、重症に近い、重症と判断されて当然の状態なのに、入院できずに亡くなられた方もたくさんの状況が、声が上がっています。特に高齢者施設は感染防止の徹底が困難な場所です。クラスター発生のリスクが高い場所です。定期的なPCR検査を1年前から私達は提案してきました。ようやく最近になってそれを急ぐんだと言い出しましたが、結果的に間に合ってないというのがこの結果です。総理、私にじゃないです。入院もできずに亡くなられた方々に対する言葉、無念の思いでそうした皆さんを送らざるを得なかった介護施設の皆さん、そうした皆さんに語りかけてください。

菅総理:療養中にお亡くなりになられた方、また自宅待機でお亡くなりになられた皆さんには心からご冥福をお祈りを申し上げる次第でございます。

枝野幸男:それだけですか。いやこれは、いや、政治家でもですね、万能じゃありませんから、間違えるときありますよ。でも、政治が、例えば1年前からPCR検査を広範にやっていれば、医療体制を強化していれば亡くならなかった、いや、少なくとも十分な治療を受けて、それでも助からなかった残念だったねと。それでも納得できないかもしれませんけど全然状況違ったんですよ。そうした皆さんにそれだけですか、甚だ残念です。

④ 大阪における3月の重症病床の削減

枝野幸男:病床について伺います。特に大阪ひどい状況です。2回目の緊急事態宣言のとき、大阪府知事がいち早く解除を求めました。そしたら、さっさと第4波です。そして医療崩壊です。病床が不足して自宅やホテルにおられる方がほとんどで、入院できている方は感染者の1割と言われています。重症病棟が足りないために中等症病棟で重症者の方が治療を受けていると。手遅れになった方が相次いでいます。私はもっと驚いたのは、大阪府が2回目の緊急事態宣言が解除された3月1日、それまでの重症病床の確保数が215床だったのを、3月1日に3割減らして150床まで縮小するという通知を病院に出してるんですよ。3月1日ですよ。病床不足に輪をかけたんですよ。この早すぎる解除を求めたこと、そして重症病床を減らすという通知出したこと、明らかな大阪府の判断ミス、これに関して政府はどう認識してるんですか、これ知ってて止めなかったんですか。いかがですか。

田村厚労大臣:大阪は非常にですね、この変異株の状況で感染拡大が早かったってこともあろうと思いますが、これも3月18日でありましたけれども、要するに全国で緊急事態宣言の解除前であります。このときにやはりコロナっていう疾病はですね、非常に早い感染拡大、こういうことを年末年始われわれも経験しておりますので、病床をしっかりと残しておいていただきたいと、つまり今まで確保した病床をしっかりと残した上で次に向かって、その後また1週間後にですね、今度は5月に向かって、場合によっては4月も感染拡大する可能性があるので、ダブルトラックで病床をしっかりと確保・整備をしていただきたい、これは地域医療機関でも話を進めていただいてと、このような通知等々を数度出させていただいております。大阪に関してはですね、一旦解除という形の中で病床を減らされたんだと思いますけれども、その後、感染拡大ということで、急速に病床等を確保しながら人材等々が非常に不足してるということでございますので、国もですね、看護師を中心に100名以上の看護師を今ですね、確保させていただいてるということであります。

枝野幸男:病床を、しかも重症病床を確保するというのは、田村大臣よくご存知だと思いますけど、政治が指示したら簡単にできる話ではないわけですよね。人繰りも大変ですしね。他の診療科に大きな影響を与えますしね。それを朝令暮改そのものなんですよ、大阪府は。一番悪いのは大阪府知事ですよ。だけどやっぱり国として、こうしたことを自治体任せで後手に回って結局通知出されたということじゃなくて、やはり先手先手でやっていかないと、国として責任持てないし、こういう無責任な知事も残念ながらいるんですから、政府としてしっかりと対応してください。いかがですか。

田村厚労大臣:いずれにいたしましても、大阪だけではございませんので、感染拡大地域ございます。こういうところの病床、重症者の病床も含めてですね、しっかりと国も広域連携等々含めてですね、確保、人材も含めて対応するようにこれからも努力してまいりたいと考えております。

2.ZEROコロナ戦略の必要性

①アジア太平洋諸国と比較した感染者数・死者数等

枝野幸男:少しマクロに見てみたいんですが、パネル次のを見せてください。少なくとも変異株が広がるまで、この変異株はまた状況違うんじゃないかという指摘もありますが、明らかに欧米とアジア太平洋地域では感染の広がりに違いがありました。これがどういう原因によるのかというのは今後専門家の皆さんが分析をしていただけるんだと思いますが、ですから比較は欧米としてもあんまり意味がないんですよね。感染者の数、亡くなられた方の数、全体として欧米と比べて少ないけれども、でも、アジア太平洋地域の中でどうなっているのかというのが重要なんです。

アジア太平洋諸国との比較

このパネルがアジア太平洋地域の先進国に絞った感染の状況です。日本は人口当たりの亡くなられた方が8.26人。人口当たりの感染者の数が485人。どちらも10万人当たりでありますが。中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、圧倒的にどちらも日本が倍なんですよね、2番目のところと比べても。これ変異株ではですね、アジアの方が感染の広がりが小さいのではないかという状況が変わってるんじゃないかという指摘もあります。このアジアの中でこれだけ成績が悪い状況で、これでアジア太平洋地域でもヨーロッパ並みのあるいはそれ以上の感染力があるということになったら、本当に今以上にとんでもないことになります。このアジア太平洋地域における死者数や感染者数の比較について総理、どう受け止められますか。

菅総理:今、パネルがあります。お尋ねのこのアジア太平洋諸国と比較すれば、今そこに載ってるところにおいては、日本は感染者数や死者が多くなっている。このように承知してます。また一方でインド、インドネシア、フィリピン、そうした人口比で比較すると感染者数は、そうした国と比較すると少なくなっているというふうに思ってます。いずれにしろ、感染者数や死傷者の諸外国との比較を行うことに当たっては、人口密度だとか、あるいは高齢化率、あるいは社会経済環境、こうしたことが、考える必要があるというふうに思ってます。そうしたことを考えたときに、日本から比較的近いと言われたのはやはり欧米、G7の国と比較するということなんだろうというふうに思います。これらの国ではいわゆるロックダウンという強力な措置が講じられてきてますけれども、日本の感染者数や死者数は非常にそうした所と比較すると、低く抑えられているということも事実だというふうに思います。いずれにしろ、そうした国の体制とかいろんな問題があると思いますけども、ただ、事実関係として日本でこれだけの多くの皆さんに死傷者を出してることについては大変申し訳ない、このように思います。

枝野幸男:またびっくりしたんですけども、あえて先進国と比較をすると申し上げました。世界の中のいろんな状況で医療や公衆衛生、残念ながら、まだまだ大変厳しい状況の国、特にアジア太平洋地域が多いです。日本は幸いなことに先輩たちが頑張っていただいたおかげで、医療や公衆衛生、世界の中では間違いなく先進国です。だからアジアの先進国と比べたら、そしたらそうでない国を出してこられた。そして欧米と比較をするのが正しいんだとおっしゃるけど、これおそらく遺伝的なその地域にたくさん住んでおられる方の遺伝的な特徴というものが背景にあったと疑われますけれども、予想されますけど、明らかにアジア、ヨーロッパとアジアとでは感染の広がりが違うという状況の中でアジア太平洋地域の先進国と比べてこれだけ悪い。そして、変異株はそうした特徴ないかもしれない。アジアでも従来のヨーロッパ並みあるいはそれ以上に感染力あるかもしれないと疑われているんだから、これを謙虚に反省をした上で進んでいかなければ、私はもっとひどいことになるというふうに思っています。

②ZEROコロナ戦略への転換

枝野幸男:1月20日の代表質問以来私は、zeroコロナ戦略を提案しています。

ゼロコロナ戦略

これはニュージーランドが一番のモデルですが、ニュージーランド、オーストラリア、先ほどの表でも圧倒的に感染者を少なく抑えています。あるいは台湾も類似した考え方。コロナを徹底的に抑え込むと。そのことによって、早期に通常に近い社会経済活動を取り戻すと、こういう戦略をとって実際成功しています。経済が順調に、今申し上げたような国々では回復しています。ニュージーランドは実はワクチンの接種率が日本に次いで低い水準です。ところがマスクなしのイベント再開して、なんと5万人規模の大イベントが報道されています。国内での新規感染者は月に数例です。そしてその例が出ると直ちに感染ルートを短時間で把握をして、集中的な対策をとりますので、大規模で長期的な行動抑制なしでずっと何ヶ月も続いている。だから、生活も経済活動も回復できると、こういう成功例があるんです。先ほど欧米のことを、ヨーロッパのことをおっしゃいましたが、強いロックダウンをしたにも関わらず欧米諸国、そして日本はロックダウンをしなかったけれども、感染を一度は下げることできた。でも感染拡大の繰り返しに苦しんでいるのはなぜかといえば、こうしたニュージーランドやオーストラリア、台湾と違って、十分に感染者を減らさないうちに対応緩めたから、そして水際対策が徹底してなかったからと言わざるを得ません。幸い成功しているのは台湾、ニュージーランド、オーストラリア、オーストラリアは大陸だとご指摘いただいたんですが、陸の国境を持ってないという意味ではいわゆる島国だというふうに思います。日本も同様で、水際対策を取りやすいんです。まず水際対策を徹底的に強化をする。その上で、徹底した検査と感染者の保護・隔離、特に症状のない感染者の保護・隔離。そして、新しい感染者が出たときにすぐに感染ルートを把握できる体制、これを作ることが大変重要なのに日本は今できていない。今はとにかく足元では感染者が多すぎて、感染ルートを調べるどころじゃありません。保健所は、残念ながら多くのところで、濃厚接触者などの把握、そこの検査、とても対応できてないですよね。大都市部では。もうこれではどうにもなりません。まずは徹底して、今の緊急事態宣言などを使ってですね、感染者を抑えていく。その上で、そうした状況からさらに減らしていけるような封じ込め、リバウンドの起こらないようなことをやっていかなければならない。これが我々の考え方です。先の見通しの立たない感染拡大の繰り返しではなくて、zeroコロナ戦略をとる。ゴールデンウィークにも多くの皆さんに我慢していただきました。去年に続けてです。昨年の秋以来、なぜかこの感染拡大は、年度替わりからゴールデンウィーク。夏休みお盆休み、そして案の定年末年始、次またゴールデンウィークでぱって言ったらそうなりました。この夏休みは去年とは違う夏休みにするためには、十分な補償がセットですけれども、今の緊急事態宣言をリバウンドのリスクが相当低くなるまで継続すべきだと考えます。

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7日の議院運営委員会で泉政調会長が提示しようとしたら、なぜか理事会で止められたパネルを今日代わりに私が提示させていただきます。

感染者数と経済

これは東京大学の経済学研究科の先生方がシミュレーションしていただいた、東京の新規感染者を何人に減らした段階で(緊急事態宣言を)解除をすると。そうすると、リバウンドがいつごろ起きて、経済的な損失はどうなるかと。500人まで下がったところで解除をすれば、5月に解除できるかもしれないけど、7月に再発令になって、経済的な損失額は3.8兆円。7月まで我慢して100人を下回るところまでいけば、再発令にはいかないだろうと。そうすれば経済的な損失は2.6兆円。つまり、我慢をした方が経済的な損失は小さくて済むというのは専門家が明確なシミュレーションを出しているんです。1.2兆の差があります。1.2兆ぐらいドーンとここで、事実上でいいですから補償のためにきちっと出して、これぐらいまで下げるべきではないでしょうか。私達は東京で言えば、(新規感染者数は)1日100人が最低線、できれば50人以下、大阪では30人できれば15人以下、こうすれば保健所が新たな感染者に対して相当きちっとした周辺に対する感染ルートの把握、チェック、こうしたことができる。こうすればリバウンドではなくて、そこから0へと繋げていくことができると考えています。こうした明確な目標を立てるべきじゃないすか。総理いかがですか。

菅総理:それぞれの試算についてのコメントは差し控えたいと思います。緊急事態宣言の解除については基本的対処方針にこれ示してます。緊急事態宣言のレベルであるステージ4を脱却してステージ3になることを目安として、1日も早く解除できるように対策を徹底するというのが政府の役割だというふうに思っています。私自身も、その数字を出した先生だと思います、その方とお会いをしていろんなお話も伺っております。そうした中で、様々な事例ということも示させていただいて、そういう中で最も効果があることを実現に移していきたい、そういうところで今取り組んでいるところです。

枝野幸男:専門家の話は聞く、当然なんです。いろんな専門家の知見を前提にして科学的に判断しなきゃいけないんです。でも、その専門家の様々な意見をどう生かすのか、使うのかというのは、政治の責任なんですよ。最初の話に戻りますが。だから、そもそもその基準自体が間違ってると。そして間違えたんですから、2回目の解除で。そして今に至っているんですから。その基準を含めて、政治の責任で見直しましょうと、私は今具体的な提案もしています。東京で100人以下できれば50人以下まで下げましょう、大阪で30人以下できれば15人以下まで下げましょう。そこまでいけば、リバウンドなしにじわじわとニュージーランドや台湾の状況に近づけていける。これが私達が、野党ですから政府ほど専門家の直接的なご助言をいただけませんが、様々な専門家のご意見を伺った私の提案だということを申し上げておきたいと思います。

3.急ぎ進めるべき対策

①水際対策の強化

枝野幸男:水際対策、なによりもこれが大前提です。何か最近の感染拡大、変異株のせいにしがちですけれども、そもそも変異株が出てきた昨年の秋以降、我々は繰り返し水際対策強化言ってきました。1年前のこの予算委員会から、ダイヤモンドプリンセス号のときから、水際対策が甘いと、もっと厳しくやろうよと我々言ってきました。にも関わらずそれをすり抜けて、今、国内で変異株がどんどん広がって変異株に置き換わっているわけです。この変異株は感染力も、あるいは亡くなられる方、重症化をするリスクも高いと言われてます。さらに新しいものが入ってくるかもしれません。びっくりしたんですが、インドなどを変異株の流行地域に指定したのは先月の28日です。またしても遅きに失していると。しかも強化したといいますが、インドとネパールから入国する方に限って、宿泊施設での待機がそれまでの3日から6日に延びただけです。変異株は既に各国に広がっています。もうこれから先ほど言った通りさらに新しい変異、次々と起こっているわけですから、さらに強いものがどっから出てくるかわかりません。日本の国内で起こることもあり得るわけです。でも、外で生じたものは止めることができるんですよ。すべての入国者について、10日間宿泊施設でしっかり隔離する、そして1日目と10日目と間と3回PCR検査を行う、これぐらいの水際対策を徹底しなきゃいけない。例外は作っていいです。ニュージーランド、オーストラリア、台湾、ここからの入国者を除いて、全ての国に対してこれぐらいのことをやらないと、どんどんどんどん海外から変異株が入ってきて、それが日本で広がって大変なことっていう、昨年の秋以来何度も繰り返してることをまたやらなきゃなんないです。総理、なぜ水際対策の抜本強化やらないんですか。オリンピックのためですか。

田村厚労大臣:基本的に憲法の制約上、移動の自由があるということもご承知の通りだというふうに思います。これは判例等でも出ております。日本から海外に出られる方々も移動の自由はあるんです。そしてお帰りになられるということを前提に考えなきゃならないんです。その上で、インド等に関しましては、これまで世界的にですね、完璧なエビデンスありませんが、しかし今回もうこういう緊急事態宣言でありますので、幅広に、入国から6日間。ホテルの制約がございますので。ホテルの量があるんです。このホテルを確保するのも地域住民の方々のご理解いただかないと、なかなか変異株等々の確保ができない中で、それでいま増やしてきておりまして、これ入ってから6日間。ですから向こうと合わせると3日間の以前の検査ですから、9日間ぐらいは対応しながら、その後自宅に行かれた場合もしっかりGPSで対応します。ただ一点だけ。いずれにいたしましても、これも我が国は私権の制限に対しての法律がございません。先般特措法も措置入院に対して罰則等々をはじめお願いしましたが、そういうわけにいきませんでした。国会の方のいろんなご判断のもとで。同じようにホテルにも強制的には入っていただけないんです。この方々は基本的に今皆さんが誓約書を書いていただいて、その上でホテルに入っていただく。もしくはご自宅にずっといていただくというような形でございまして、入管上ホテルの場合は検疫の対応でギリギリで私権制限に近いというようなことをやっていただきながらホテルに入っていただいていますが、少なくとも自宅ではこれはまったくもってご本人は制約上の中での対応しかできないという中で対応しているということはご理解をいただきながら、我々もできる限り、言われる通りでございますので、特にインド周辺からこられる方々に関してはしっかりとですね、こういう方々の行動によって感染が拡大しないよう、さらなる強化策を整備しておりますので、そのような形の中で対応してまいりたいというふうに思っております。

枝野幸男:まずですね、日本人の方が帰国をする場合については若干あるかもしれませんが、それ以外の入国規制については憲法何も関係ないですよ。そしてホテルなどが確保できないなら確保できる数だけ入国させる。それ以上は入国させない。国民の命を守るためにはそういうことをやるべきじゃないですか。私達はそれも計算してますよ。だいたい1日1000人、これが上限だろうと提案してますよ。1日1000人だったらホテル確保できるだろうと。そこで止めたらいいんじゃないですか。外国から来る方は。何の私権の制限でもないですよ。国民の命の方が大事だということを私は申し上げてるんです。

②医療機関への十分な支援

枝野幸男:医療機関。医療機関に重症病棟やっていただくとか、それからコロナ患者を受け入れていただくとか、いろいろあります。時間がなくなってきたので細かいこと言いません。結局、前提となる環境整備をしなければ、やりたくたってできない。コロナ患者受け入れたら、重症病床を作ったら、病院が赤字になってしまって倒産する。働いていただいて、重労働の医療従事者の給料払えない。これでは受けたくたって受けられないんですよね。ところが、診療報酬の引き上げされました。あるいは緊急包括医療支援金などやりましたが、使い勝手が悪くて現場に届いたのはたくさんあるし、これは使い勝手悪すぎてできないという声たくさんあって、だから、今もう医療機関から悲鳴が上がっているじゃないですか。ましてや医療従事者、重労働なのに給料下がったという悲鳴が、これ以上は使命感だけじゃやっていられないという悲鳴がたくさん上がっています。今みたいな細かい話はいいですから、総理答えてください。医療を病床を増やすためには、一つには、医療機関への包括的な支援。ちゃんと減収分、あるいはコストがかかる分、それ全部見ますと言って包括払いする。こういう支援が不可欠だ。これなら安心してできます。そして医療従事者に追加の協力金払いましょうよ。みんなもう限界を超えてやっていただいているんです。限界越えてさらにやっていただかないとできないんです。だから、なんとか、俺たちができることは金しか出せないんです。直接医療はできないです僕たちには。せめて、金だけ出しましょう。総理いかがですか。

菅総理:医療機関や医療従事者に対する支援については、これまで4.6兆円の予算を計上し、病床確保量による支援や、1床あたり最大1950万円の強力な支援を延長し、今年度も引き続きこれ実施しております。また4月には医療従事者の確保を支援するために、昨年末に倍増した重症患者に対する看護師を重点医療機関に派遣した場合の補助上限額をさらに1.5倍に引き上げております。診療報酬でも、新型コロナ患者の診療について大幅な引き上げや回復患者の転院支援を行っており現在も引き続き措置をしております。引き続きこうした支援により、医療現場の方々が財政面で躊躇することがないようにしっかり対応していきたい。このコロナに対応する中で、赤字になるようなことは絶対ないようにするのが政府の責任だと思っています。

枝野幸男:最後の部分を制度的にしっかりと担保して安心していただくのが政治の責任なんです。赤字にならないようにしますと言ったってその裏付けがなければ、医療機関の経営されてる方だってみんな従業員抱えている、医療従事者抱えてるんです。潰れたら地域の医療が長期にわたってできなくなるんです。だからその担保をちゃんと制度的に裏付けをするのが、それが政治の役割じゃないですか。

③持続化給付金の再交付

枝野幸男:もう一点、既に1年以上、多くの事業者が売り上げの大幅な減少に苦慮しています。休業や時短を要請されている分野に限りません。あるいはその間接的な影響を受けている方だけじゃありません。文化、芸術、イベント関連の事業、もう本当に成り立たない。こうした例はもう本当にもういろんなところに存在して例を挙げきれません。対象を絞った協力金などでは、いろんなところで事業継続が困難になってきます。協力金そのものだって微々たるものじゃないですか。「事業が潰れることへの香典のつもりか」という厳しい声まで出てるじゃないですか。業種を問わず減収分の一部を補填する。この持続化給付金の考え方、これをもう1回やるしかありません。前回は前年比で5割以上の売り上げ減という厳しいすぎる基準でした。でももう1年続いてるんですから、毎月2割減でも1年続いたらとんでもないことになってますよ。より条件を緩和して、幅広い皆さんに状況に応じた持続化給付金を我々は提案しています。総理いかがですか。踏み切りませんか。

西村経産大臣:お答え申し上げます。あの、もうよくご存知のことと思いますけれども、経産省を中心に支援金という形でこの2ヶ月間で見れば最大40万円の支援を行うこととしております。詳細は今経産省の方で詰めているところでございますし、それから地方創生臨時交付金で3000億円既に配分をさせていただきました。これ昨年も20数件の件でご指摘のように国の基準が50%減でありましたので、30%減であったり、あるいは対象範囲をまた別途特別に合算をしたり、様々な工夫が地域で行われております。こうしたことを併せて、私どもしっかりと支援を行っていきたいと考えておりますが、いずれにしましても、緊急事態宣言長引くことになっておりますし、経済の状況、影響、こういったものをしっかりと見ながら、必要な対策、予備費の4.5兆円もありますので、機動的に講じていきたいというふうに考えております。

枝野幸男:今のような非常に細切れで部分的なやり方とか、あるいは自治体に丸投げしたやり方では網羅的、包括的なものにならずに、網の目が大きすぎていろんなところが落ちているんですよ。文化芸術イベント関係ほとんど金いってませんよ。もうこれではもたないって言っていますよ。ぜひ、基本的な考え方も長期化して、さらに長期化せざるを得ない状況なんですから、思い切って持続化給付金の緩和の上での再交付、私は強く求めたいと思います。

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4.オリンピック・パラリンピックの是非

①開催に関する政府の責任と権限

枝野幸男:オリンピックとパラリンピックについてお尋ねをしたいと思います。まず残念なことに、開催の是非についてアスリートの方が矢面に立たされているみたいなことがごくごく一部だと思いますが生じています。私は、アスリートの皆さんはじめオリンピックに向けて努力をされてきた皆さんが何とか開催したい、してほしいと思うしおっしゃるのは当然のことだというふうに思います。私だって、一観客としてですね、私前回の東京オリンピックの年の生まれです。生きているうちに、日本でオリンピック見れるんだと。楽しみですよ。できるならやりたいと思います。アスリートを責めたり、あるいはアスリートを盾にしたりということはどちらも許されないということをまず申し上げておきたいと思います。(開催の是非を)どうするのかという判断の責任は政府と東京都、あるいは組織委員会にあるというのは当然のことであります。ただちょっと私びっくりしましたが、総理、先月23日の会見でIOCは開催することを決定していますと繰り返し、開催はIOCが権限を持っていますと説明しました。確かに、形式的な権限はIOCが持っているでしょう。でも、それなら国内のイベントをこの間中止をしてきた、国内イベントみんなそうですよ、高校野球は高野連が主催でしょ。プロスポーツだってそれぞれの団体があってそこが主催でしょ。学生が楽しみにしている、私の学生時代やっていた合唱コンクールだってNHKの主催ですよ。中止するか実施するか、全部主催団体が判断して、主催団体が決めているんで、そうした意味では確かにIOCが判断をするんです。だけれども、政府がどういう対応をとるかによって結局、高野連だってNHKだって、様々なプロスポーツのあるイベントの主催団体だって、やりたいけど諦めたということを繰り返してきて、特に子供たちは中学3年生、高校3年生、一生に一度の機会を逃してきているんです。今、入国規制であるとか、国内でどういう行動の規制をかけるのか、これは我が国の国家主権そのものだと思います。IOCの判断とか意見に左右されることなく、命と暮らしを守るという観点から、政府が独立して判断するものだと考えますが、よろしいですね総理。

菅総理:最終的に決定するところはどこですかと聞かれました。これはオリンピック憲章でIOCということになってます。ただ大会でありますけども、主催者はIOC、IPC、そして東京都、そして組織委員会であり、政府としては国民全体の安全安心を守る立場から、水際対策を中心とした感染対策に万全を期すべく、催者と連携をしていくのが、これ政府の立場だというふうに思います。具体的には、今般、日本政府がファイザーのCEOとの中で、ファイザーから提供のあった、IOCを通じて各国選手へのワクチンの無償の提供、こうしたことを実現をいたしました。またこれに加えて、選手は大会関係者と一般の国民が交わらないようにする。選手は毎日検査を行う。こうした厳格な感染対策を行うことといたしております。こうしたことにより、国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を尽くすことが私の責務であるというふうに思います。

枝野幸男:聞かれたことに答えてください。全力尽くすのは当然だと思います。私も開催した方がいいと思います。できるならば。ただし、国民の命と暮らしを守るという観点から、国家主権を適正に発動した結果、できなくなる、それもやむを得ない。そのことも含めてしっかりと判断していただかなきゃならない。そのことを聞いているんです。

菅総理:今私が申し上げた通りです。主催者はあくまで、このIOC、IPC、東京都、組織委員会でありますけれども、政府としては国民の全体の安全安心を守る立場から、水際対策を中心として感染症対策に万全を尽くす。そして主催者と連携をして検討を進めていきたいというふうに思います。そして私申し上げましたように、訪米した際に、ファイザー製薬から申し出があって、各国選手団へのワクチンの無償の提供、こうしたものが実現をしております。これに加えて、選手や大会関係者と一般の国民が交わらないようにする。選手は毎日のように厳格な感染対策を行うこととしています。こうしたことにより国民の生命と健康を守り、安全安心の大会が実現できるように、全力を尽くすことが、これは私の責務だというふうに思ってます。

②オリンピック・パラリンピック実施の余地

枝野幸男:繰り返しますが、私も見てみたいです。そしてアスリートの皆さんはじめとしてですね、この間、努力されてきた方のことを考えればですね、奇跡的にここから感染が抑制できてですね、開催できることになることを期待しています。しかしですね、開催のために感染症対策が不十分になって、外国からやってくる方から感染がさらに広がる、新たな変異株が日本に持ち込まれるとかですね、あるいは逆にですね、来日された皆さんの中にクラスターが発生するみたいなことが起きては許されませんし、また感染拡大の影響で、廃業や倒産失業がさらに増え、その結果自死される、こうしたことが出てくることは許されません。既に逼迫している医療、それにワクチン接種、国内の高齢者があって、本当に7月末までに全部決めるのかと疑問の声がたくさん上がっています。こうした国内の医療を犠牲にすることも許されないというふうに思います。

オリンピックとパラリンピックを合わせると選手だけで1万5000人、入国されると聞いています。そしてワクチンの優先接種を受けるのは選手、コーチだけではありません。全体でこのオリンピック・パラリンピックで9万人海外から来られる。つまり無観客、海外からの観客除いてですよ。大幅に抑制しても6万人という報道がありますが、政府にも聞いてみましたが、組織委員会も含めて、入国者全体の規模、現在の見通しを示していないんですよ。何人来るかわからない、答えてくれないという状況なんです。本当にそのすべて6万人なら6万人の方すべてについて、本当に感染していない状況だということを確認して入国を認める。あるいは、こうした皆さんが感染をした、あるいはこうした皆さんに対応するための医療で逼迫をさせずに対応することができるのか。選手の皆さんは選手村などに囲い込むことは可能かもしれませんが、報道関係含めて本当にその行動を日本の国内の皆さんと接触なくできるのか。いや、そういったことができたとしても、ボランティアの皆さんはじめとしてですね、たくさんの皆さんが会場周辺で集まってくるわけですよね、無観客だとしても。本当にそれが感染を広げることに繋がらないのか。

間違ってもオリンピックのせいで感染がさらに拡大したなんてことあったら許されないじゃないですか。結果として予定通り開催できなくなれば、これは本当にアスリートの皆様に申し訳ないことですよ。しかし、今の日本の感染状況と、ここから2、3ヶ月、3、4ヶ月に想定される、そこに必要とされる想定、その中で、来日される皆さんの命と健康を守る、国民の命、暮らしを守る。これとオリンピック・パラリンピックの開催を両立させることは不可能と言ってもいいんじゃないかと、残念ながら言わざるを得ません。もう残り期間を考えると判断を先送りはできないタイミングだと思います。どうしても強行すると言うなら、せめて具体的にじゃあ何人入国するんですか、その人たちにどういう水際対策を徹底できるんですか、今みたいな緩いのじゃなくて。皆さん国内でいろんなところ出歩いたりしないように本当に抑制できるんですか、報道機関を含めて。こうしたことを具体的に示してくださいよ。ただ安全で安心のオリンピックのために徹底します、徹底しますということを繰り返して1年間、今の日本の国内の感染状況なんですから、何の説得力もありません。しっかりと、どうしてもやるというんだったら、せめて今ぐらいのことを示してください。いかがですか。

菅総理:具体的な方法として例えば、行動範囲を原則として宿泊施設および競技会場などに限定をする。その上で一般の日本人との接触を厳に回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底をさせる。移動方法を原則専用車両に限定するなどの厳格な行動管理を実施をし、さらにルールに違反した場合には大会参加資格を剥奪をする。こうした措置を講じていきたいというふうに思っています。入国する関係者というのは最小限に抑えていきます。

枝野幸男:選手とコーチは優先のワクチン接種するとおっしゃっている。でも本当に日本ですら、ワクチン接種、国民への、いや医療従事者や救急隊員すらまだ打ち切れていないんですよ。本当に日本の国内でもワクチンはあっても打ち切れるのか、まして世界中のなかなか医療体制とか公衆衛生状況の良くない国々、みんなワクチン打ってくるということが、ワクチンがあっても本当に可能なのかという問題ありますよ。しかもその資格剥奪とかそんなことは、選手コーチに限ってはできるかもしれません。報道機関とか入れないでやるんですかね。報道機関は日本の報道機関と違って忖度してくれませんからね。本当に大丈夫なんですかね。何人かという目処も示さずに、安全です安心です大丈夫ですという、今までこの1年間この感染対策について繰り返されてきたことをただおっしゃるだけだから、残念なことに多くの皆さんが今世論調査するともう諦めざるを得ないんじゃないかなと、こんな多数になってしまってるんですよ。やるというんだったらせめて、こういう具体的なことをやるんだということをもっときちっと示していただかなければならない。それができないならば、決断は早い方がいいということを申し上げておきたいというふうに思っています。

5.入管難民法改正案の審議・採決について

枝野幸男:感染症対策以外に一点だけ。ワクチンについては、このあと山井委員から聞いていただこうと思っています。入管難民法。今日追加で通告させていただきました。これはですね、前向きの部分もあるんですが、帰国困難な外国の方を強制的に帰国され得る。その条項が拡大をしている。それも、入管のかなり自由な裁量的な判断ができるのではないかということで、国際基準に反するとして、重大な問題だという指摘がなされています。加えて、入管で収容中だったスリランカの方が亡くなられる、しかも、適切な治療をされずに放置をされた中で亡くなったという事案が指摘されています。入管におけるですね、死亡事案って実は10年にいっぺんぐらい、いや5年にいっぺんぐらいでてきて、その都度闇の中なんですよ。人権感覚に欠けたこうした入管の事案は本当に繰り返されています。私達はまずこの真相を究明しないと入管にそんな強い権限を持たせたら危なくて仕方がないと、とても認められないと言っているんですが、残念ながら法務省から、真相究明に向けた資料提供や調査などの報告はされていません。にもかかわらず与党は先週、採決を強行しようとしました。この死亡案件の真相究明とそれを踏まえた十分な審議が不可欠だと思いますが総理いかがですか。

菅総理:まず、亡くなられた方とそのご家族に対しお悔やみ申し上げます。入管法改正については、現在法務委員会において審議をいただいているところであり、審議の進め方については国会でお決めいただきたいと思います。いずれにしろ、ご指摘の点も含めて法務省において丁寧に対応に努めさせたいというふうに思います。

枝野幸男:国会の審議については国会でというのはいつもの答弁だから、それは受け入れるわけじゃないけどもわかりますが、法務省がきちんと真相究明に努力をしていないから我々は法務委員会の審議進められないし、こんなものでは採決は応じられないと申し上げているんです。これ何度も繰り返されてるんです。刑務所よりも実は入管の方が、入っている人たちの人権はひどい状況に置かれているともうずっと言われてるんですよ。せめて、こうして不幸にも日本に、日本が好きで来ていただいた、そして日本で日本人に英語を教えたいと、そういった目的で来ていただいた方がいろんな事情の中で、入国した人が亡くなった。そうした方が大した治療も受けられずに亡くなったって。これ、国際問題としても放置しちゃ駄目ですよ。その真相究明ちゃんとやるのは国会の仕事ではありますが、まず法務省としてちゃんと真相究明、その調査をして国会に報告しろと言っているんですよ。そこは政府の問題ですよ。そうでしょ、総理。

菅総理:スリランカ人女性が死亡した事案については、現在出入国管理庁において、仮放免をせずに収容を継続した判断の点を含めて、最終報告に向けて必要な調査検討を進めている、このように承知をしています。

6.総理のリーダーシップ

枝野幸男:法務大臣に対して厳しく、ちゃんとやれと国会で言われたと伝えていただきたいというふうに思います。今我々が直面しているCOVID-19による危機は、第二次世界大戦、日中日米戦争が終わってから75年余り、我が国が直面している危機としては、10年前の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故、これと並ぶ戦後最大の危機だというふうに私は思います。危機が大きいほど、時のリーダーが問われます。リーダーが、つまり総理ご自身がこの危機を乗り越えるんだというその先頭に立ち、自らの言葉でこの危機を乗り切るんだという強い意志を示していただく、そしてそのための道筋を示す、これが、私は危機を乗り切るための前提条件だというふうに思います。残念ながらそうした総理の意思や言葉が伝わっていません。

今日の質疑でもですね、総理でないと答えられませんでしょと何度も繰り返しましたが、それでも関係閣僚が出てくるというケースも見られました。そして答弁されても真正面から答えていただけず、いわゆる官僚答弁、それこそ各省大臣に答えていただければいいような答弁の繰り返しで、リーダーとしての意思と道筋を示していただくことはできなかった。大変残念に思っています。これでは、医療従事者をはじめとして、本当に限界超えて頑張っていただいている、ご苦労されている皆さん、そして多くの国民の皆さん、さらに言えば各役所の皆さんだって危機だからもっといろんなことやらなきゃならない、でも放っておいたら、役所の縦割りで他の役所の権限のところは手を出せないとかいろんな状況の中で、でも自分の部局だけは頑張ってやりましょうということで、多くの役所の皆さん頑張っていただいていると思うんです。

総理が強いリーダーシップと道筋を示すからこそ、平時とは違うという強いモチベーションで官僚の皆さん僕は動いていただけるんだと、10年前の経験から強く思います。総理に危機感が感じられない中では、例えば外出しないでくださいとか、いろんなことをお願いをしてお訴えをしても、国民の皆さんに総理の危機感が伝わらなければ、それに応じていただけないのは当たり前じゃないですか。総理が、そうした危機感、そして覚悟、意思を示されなかったことを大変残念に思います。私達は十分な覚悟と準備ができています。私には経験と教訓があります。総理がその覚悟と気概をお示しになれないんだったら、潔く身を引かれるべきだということを申し上げて、同僚議員に時間を譲りたいと思います。

以上。


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