入管法改正案、国民投票法改正案...。枝野幸男がなんでも答えます!5月9日配信発言まとめ #えだのボイス
5月9日にお届けした「生配信! 立憲民主党代表 枝野幸男がなんでも答えますVol.3」での発言をまとめました。#えだのボイス に寄せられた質問に60分間、枝野が答えました。改めて、ご質問をお寄せいただき、本当にありがとうございました。
全編は以下からご覧いただけます。
1.入管法改正案について。真相究明なしに採決には応じない
Q. 入管法改正案の審議や採決に応じないのか?
A. 入国管理法の改正案の中には、難民認定についてよい方向に進む部分もあります。しかし、難民認定が受けられないと3回目からは送還が可能になるということで、従来の国に戻れない、戻ったら大変なことになるという事情の方に対して死ねというのかという指摘が出ており、(改正案の)中身そのものに大変な問題があると思っています。その上に、名古屋の入国管理局で難民認定を求め、在留資格がないということで収容されていた方が十分な治療を受けることなく命を落とされるという事件が起こっています。法務省に対してきちっと事実関係がわかるように、資料を整理して、情報を国会で報告するように求めていますが、法務大臣はほぼゼロ回答という状況です。こうした入国管理庁に、中身にも大変問題がある入管法の改正を認めて、使わせてよいのかという前提問題としての信頼性が壊れている状況です。私達はまず、この死亡事案についての実態解明、情報提供をしっかりとすることが議論と採決の前提だということで採決には応じられないという姿勢で頑張っているところです。他の野党の皆さんとも連携協力をして、何とかこの死亡案件についてしっかりと実態解明をさせること、そして更に、(改正案自体の)問題点について十分な議論をすることを徹底して求めていきたいと思っています。与党は12日に採決をしたいという空気が伝わってきていますが*、我々としてこれに応じるつもりはありません。
*5月12日の採決は見送られた。
2.zeroコロナ戦略―感染症対策が最大の経済対策
Q. zeroコロナ政策の財源確保は?
A. 実はzeroコロナ戦略の方が、あえて言うとお金は少なくて済むということを指摘をしたいと思います。できるだけ踏ん張って感染者の数を減らす、そこまでは緊急事態宣言などを解除しない。感染者の数を減らしてから解除する。この方が実は経済に与えるマイナスは小さくなるということを、東大の研究者の皆さんが発表をしておられます。私達は、例えば東京で1日当たりの新たな感染者が100人、できれば50人。大阪で30人、できれば15人ぐらいまでまずは減らす。当然、その分の補償は十分に行うという具体的な目安を持っています。いきなりゼロになるわけではありませんが、ここまで減らせば、感染者が新たに発見された時にはその周囲の濃厚接触者、あるいはそれだけではなくて、幅広く周囲の皆さんに一斉に検査をかけることができる。そして、検査の結果が出るまではちょっと動きを止めてくださいということをお願いをするというやり方で、感染者数ゼロにどんどん近づけていくことができると考えています。この方が、(今の政権の対応のように)早い段階で解除して、またリバウンドで緊急事態になるよりも、実は経済的なマイナスは小さいというのが専門家の分析で公表されています。
ただ、いずれにしても、しっかりとした補償や検査体制の強化、水際対策の強化のために予算が必要なのは間違いありません。一般的には、財源確保をどうするのかということに目をつぶってよいとは言えません。しかし、今の日本は戦後以降の75年余りの中では10年前の東日本大震災と原発事故と並んで、最大の国家的な危機にあります。東日本大震災のときは実は早い段階から復興税というお願いについての議論を始めました。あの大震災は大変甚大な被害ではありましたが、被害を直接受けられた地域が限られていました。それ以外の地域では通常の経済活動をすぐに回復できるという地域が大部分でした。ですので、財源の確保ということをセットでその代わり安心して復興の予算復旧の予算は扱うんだという構造を作りました。しかし今回のCOVID-19による危機は本当日本全体に大きなダメージを与えているわけですからとても財源確保のことを今から議論ができるという状況ではないと私は思っています。
Q. PCR検査が拡大しない要因、課題、立憲民主党ならどうするのか?
A. 少なくとも当初のうちは、厚労省中心に政府内部でできるだけ検査は少なくてよいという考え方が中心だった。これは、好意的考えれば、感染者の周囲の感染ルートを追えばいいんだという考え方です。この考え方が間違えているわけではありません。しかし、それは感染者がかなり抑えられている状況での話です。1年ほど前と比べると検査能力は上がったけれども、検査数は少なく、感染ルートを追えばよいという(政府の)考え方は転換できていません。そのために、今や感染者の数が多すぎて濃厚接触者についての検査すら追いかけられないような状況を作ってしまっている。もうひとつは、検査体制における組織の縦割りです。検査に関して、国立感染症研究所や各地の衛生研究所のみで、外部の能力を使わなかった。つまり、オールジャパンで進めていくという発想が足りなかった。例えば、獣医関係や大学の研究所でも検査能力は一程度あります。立憲民主党が政権をお預かりすれば、まず総理大臣あるいは官房長官をトップに全省庁、全機関に検査能力がどこにあるのか全部出してくれと指示を出します。そして、それらの能力を内閣官房で機動的に使っていくというやり方で検査を増やしたいと思います。
3.国民投票法改正案について―楽々と負けるわけにはいかない
Q. 国民投票法改正案に、なぜ賛成したのか?
A. まず、今回の改正案は既に存在する国民投票法を公職選挙法に合わせた、投票できる人たちの範囲あるいは投票をしやすくするための改正です。したがって、その「中身」自体は改正するべきものです。しかし、有料広告規制、テレビCMやネットCMなどについての規制が全くなく、公平な国民投票になるのかという問題がありました。現在の国民投票法が作られた時も有料広告規制の議論はありましたが、当時の国会で民放連の方々が量的なものも含め自主規制をするとお答えになった。(表現の自由との関係上、)自主的に規制するなら、そちらの方が望ましいということで現行法には含まれませんでした。ところが、今に至るまで自主規制のルールは考えられていないし、最近では民放連の方々が量的自主規制は今は考えていないと変わってしまった。(CM放映に関する)自主規制が前提の法律なのに、それがない。立法当時の前提が狂っているので現行の国民投票法はもう欠陥法であり、私達は法律でCM規制をしなきゃならないという立場をとりました。もうひとつは、外国資本。つまり、今のままでは外国の方のお金でCMをバンバン打つことも可能になってしまうという問題もあります。
これらの現行法の欠陥を補うことをやらないといけないと3年間ずっと言い続けてきました。しかし、自民党は話をきかない。おかしいだろってことで、現場でも頑張ってきましたが、選挙を前にして、昨年の秋頃から自民党がだいぶ強行になり、この間強行採決ギリギリのところになってきました。我々としては選択肢は二つあります。強行採決をさせて、次に向けた足掛かりもなしに政府与党の案を甘んじて受け入れるのか。それとも、ちゃんとこのCM規制をやるんだということをきちっと法律上担保しろと。これを担保するならば、改正案そのものの「中身」自体に問題があるわけじゃないので、やむを得ないが受け入れると迫るのか。今回認めさせた「附則」というのは時々言われる「附帯決議」とは違います。法律そのものに、3年以内にこのCM規制などについて議論し、結論を得て法的な措置を取ることを明記している法的な拘束力がある規定です。しかも、そうしたことをやらなきゃならないと法律の条文に書いてあるということは、その部分に欠陥があるということを法律に書いているということです。したがって、欠陥法が前提になっている以上、3年間は国民投票はできませんという話が、一定の説得力を持つと思っています。
自民党がとにかく数で押し切れば、今のままでも国民投票はできます。しかし、今回法律の規定の中にCM規制が必要だというところまでしっかりと書き込ませ、それに自民党も賛成しています。つまり、(今のままでは国民投票法は)欠陥がある法律だということを自民党自身が認めているわけですから、それを振り切って進んでいけば、我々もですが、国民の皆さんのおかしいじゃないかという声もさらに大きくなると思っています。次の選挙が近いですから、今のような立憲主義を無視した憲法議論を進めるという勢力をどれぐらい減らせるのか、そのことによってここから先は決まってきます。放っておいたら原案のまま強行採決されたというのはほぼ間違いありません。実のある成果が得られるならば、楽々と負けるというところに突っ込んでいくということはそれは僕は責任ある行動としてすべきでない、できないというふうに考えています。これが国民投票法についての私達の考え方です。
4.政権交代に向けた構想―具体的な想定とリーダーとしての責任
Q. 政権交代をしたらまず何をするのか?そのための陣容は?
A. 政権交代をしてやりたいことはたくさんありますが、やらなければならないことをやるそれが政治の責任、特にリーダーの責任だと思っています。今やらなければならないことをはっきりしています。このCOVID-19の感染症危機を乗り切る。このことにほぼ総力を挙げざるを得ないというのが、今の日本の社会状況だと思っています。政権交代をしたら、まずそのことに全力を挙げます。そのための陣容は今、かなり具体的に考えています。また、それは誰が大臣をやるのかというようなことだけではありません。今の感染対策では、各省庁、各役所がバラバラで司令塔がない状況です。そうではなく、総理直轄で、官房長官の下に司令塔をしっかりと作って、そこにしっかりと各役所から優秀なスタッフを集めて、そこを中心として各役所足並み揃えた行動を取っていく。こういうチームを政権とったら直ちに作り上げなければなりません。私は10年前、東日本大震災の時に官房長官だった経験をふまえて、どういう形で総理直轄の司令塔を作るのかという想定もかなり具体的に今作り上げているところです。
しかし、(社会状況や政治状況は常に流動的で)いつ、どのような形で政権をお預かりすることになるかわかりません。もしかするとCOVID-19を超えるような国際的な大事件が起こるかもしれない。あるいは大地震が来るかもしれない。経済のクラッシュが起きるかもしれない。それらのことに対して1番ベストな体制をその都度作っていくというのがリーダーの責任だと私は思います。したがって、具体的なシャドーキャビネット(影の内閣)のような政権構想はその時の状況でベストの体制を組むというのが私は責任ある姿勢だと思いますので、選挙前に出すということは考えていません。
Q. 自由貿易推進の立場と新自由主義からの転換は矛盾しませんか?
A. 矛盾しません。私は、新自由主義的な考え方の経済政策からの脱却ということは訴えています。とにかく競争すれば経済は伸びていくというような考え方からはもう脱却しなければならない。競争も大事かもしれないが、支え合う仕組みをしっかりと強化していく必要があると思っています。一方、いわゆる保護貿易では日本は成り立ちません。日本は資源も少ない。食料自給率も低い。自由な貿易をベースにして、その中で一定の外貨を稼ぎ、資源エネルギーや食料などを外から買うということがなければ日本社会に成り立たちません。したがって、自由貿易を前提とした国際経済取引の秩序じゃなければならないけれども、なんでもかんでも自由化すればいいというわけではないということです。
5.オリンピックパラリンピック開催の是非について―国民の命と暮らしが最優先
Q. 東京五輪への反対を正式に表明していただきたいです。その予定はありませんか?
A. まず、オリンピックの開催についてIOCと協定を結んでいるのは東京都です。日本政府ができるのは、我が国の主権に基づいて、例えば入国規制。私達は全ての外国からの入国者について、10日間ホテル隔離、その間に3回PCR検査を行って陰性を確認することが必要だと言っています。ただ、現状、これだけ(国民に)自粛を求めている中で、オリンピックの関係者だけ自粛の例外を作るということは、そりゃおかしいだろう思っています。我が国が主権に基づいて命と暮らしを守るための規制を取る。その結果として、開催ができない状況になることはありうると思っています。国民の命と暮らしを守るということが最優先だということを政府としてまず決めるべきだ思います。今の感染状況で、選手コーチはワクチン優先接種みたいな話が出ていますが、その他関係者を合わせると観客を除いて、少なく絞っても6万人が2ヶ月ぐらいの間に外国から一斉にやってきて、世界からの変異株の展示会みたいな状況になってしまいませんか。そうならないようにするためにやっぱり入国規制かけざるを得ないではないですか。その結果として、オリンピック開きたくても開けないということになるのではないか、これがまっとうな手順だろうと思います。
以上。
今回もたくさんのご質問やご意見をいただき、ありがとうございました。今後もこうしてみなさまとの対話を続けていきたいと思います。