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喫茶室ルノアールのすゝめ

2年前に訪れた礼文島で知り合った友人と先日鎌倉で再会した。

実家の最寄り駅から30分ほどで行くことができるので小学生の頃から飽きるほど鎌倉へは行ったが、小町通りの入口右手にジブリグッズの店「どんぐり共和国」は変わらなかった。

遅いランチを食べ、コーヒーを無性に飲みたかった私は「どこかでお茶しない?」と誘った。鎌倉で働いている友人は「スタバはあそこと、駅の向かい側にも...」と言ったが私は食い気味に

「ルノアールでもいい。そこの」

と無理やり遮った。聞けば友人はルノアール未体験らしい。お互い30オーバー。ぜひルノアールの世界は経験していてほしい。

「サービスで、あたたかいお茶が永遠でてくるんだよ...」という訳の分からない誘い文句で無理やり納得させた。

鎌倉駅前のマックの上にルノアールはあった。目の前に立ちはだかる階段が急でとても長い。何人かはここで挫折するのだろう。こんなところで挫けてはダメなのだ。異世界にはいけない。友人は「やっぱりスタバ...」と言いたそうだったがその雰囲気を感じていないふりをした。

店内に入った。下の小町通りに湧いている虫...いや、ちゃらちゃらした若者たちは一切いなかった。ここは大人の世界なのだ。

メニューを見た友人は明らかに「高い…」と言いたそうな気まずい雰囲気に耐えられなくなった私は「場所代も込みだから...ね...少し高いよね...」となんのフォローにもなっていないことを言った。「仕事の昼休憩に来れるね」と言っていたが、まず来ないだろう。

店員が持ってきたお茶もほとんど口をつけていない。

やはり、ルノアールは敷居が高い。


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