棒アイスと私と洗濯機
轟々と音を立てて、洗濯機が回っている。
今日買ってきたばかりの本を夢中で読んで、ぱたんと閉じたら、もう日付が回っていた。00:30。ハロー、今日がきた。
自分の部屋から一階下へ降りると、リビングは電気だけ付いていて、誰も居なかった。
ちょっとめんどくさいなあと思いながら、お風呂へ入る。バスタブの中の水は冷めていて少し温い。温かいお湯の時よりも、温い時の方がついつい長居してしまうのは、何故だろう。だんだん思考も深くなる。
あかんわ、と思い、ちゃっちゃと出た。それでも40分ほど経っていた。
そういえば、アイスがあった。棒アイス。チョコが入っていて、パリパリの。
そう思い出したら、いつの間にか私はアイスを冷凍庫から取り出して、個包装のナイロンを破って、アイスを食べ始めていた。パリパリ。
まるでオートマチックかとでもいうように、アイスを口に運ぶ手は止まらない。惰性的に味わわれてしまったアイス。パリパリ。美味しい。
さっきまで読んでいたのは、「続 窓ぎわのトットちゃん」。そして今日は、昨日から読んでいた吉本ばななさんの「サーカスナイト」も読み終えた。
…どこかへ行きたいな。
ふと思った。
「サーカスナイト」の主人公さやかがバリ島出身だからだろうか。今、猛烈に日本じゃないどこかへ行きたい。
海外へ行ってみたい。北欧は絶対に行きたい。イタリアにも行きたい。あ、ニューヨークにも。ニュージーランドにも。
大学を出たら、2年くらい世界を飛び回るのもいいかもしれない。見ている「世界」が、知っている「常識」が、日本の大阪の1つしか知らないから苦しいんじゃないか。
…お金はどうするんだ。
現実問題を思い出して、私は空想の世界から戻ってアイスを食べるのを再開した。パリパリ。
洗濯機がものすごい音で回ってる。ペットのうさぎの呼吸音がする。パリッ。
私はやっぱり、ラジオもしたいし、1回くらいはYouTubeに動画をアップしたいし、人生の折り返しの年にはお店を開きたい。
それでも、やっぱり。
書くことは、なんだかんだ続けるんやろな。
私が私である以上。
それは悟りというか、確信だった。
なんだか、忘れ難い。
アイスが終盤にさしかかり、棒の横のアイスを必死で食べる。モニュッとしたバニラの食感。
なんだかこの雰囲気を文章にしておきたかった。いつものテイストとは違うけど、noteに載せようか。
タイトルは私の大好きな、いきものがかりの「月とあたしと冷蔵庫」になぞらえよう。あの曲も、冷蔵庫の近くでアイス食べてるな。
…棒だけが残った。
やっぱり、洗濯機の音はうるさい。
だけどたまには、こんな夜もいい。
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