おやすみプンプンの黒点について
久しぶりに、おやすみプンプンを全巻読み通しました。
その中で印象に残った黒点について、
自分なりの解釈を書き記していこうと思います。
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まず黒点とは、
作中で度々登場する宗教的団体ペガサス団のリーダー、星川としきの発言にしばしば現れる単語です。
一言で表すと、
「世界の安寧を乱す存在」だと考えられます。
※ここでの世界とは、
主人公であるプンプンの人生を指すと思われます。
また星川としきは、黒点を除去し、
世界を救おうとする存在=プンプンの守護者と思われます。
そして、
星川としきが取り除こうと躍起になる、
世界の安寧を乱す存在である黒点の正体は、
「田中愛子」だと考えられます。
その理由を下記します。
理由①田中愛子との出会いがプンプンに与えた負の影響
まず物語の流れを整理します。
小学生時代、転校してきた田中愛子にプンプンは一目惚れします。
田中愛子も一途で純粋なプンプンが好きでしたが、
二人で夏休みに鹿児島へ行く約束をプンプンが反故にしたことで二人は疎遠になっていきました。
しかし愛子から距離が離れてもなお、プンプンの心の中には常に愛子が存在していました。
続くプンプンの中学時代には、田中愛子と先輩の交際を目撃し、プンプンは激しく葛藤します。
しかしその先輩の試合に見学に来ていた愛子から、プンプンは再度、鹿児島行きを言い寄られます。
しかし、またも断ります。
愛子のことがまだ好きだったプンプンとしては、ある意味渡りに船だったかもしれませんが、
愛子の彼氏である先輩が試合中怪我した出来事の最中だったこと、また当日の出発をせがまれたことから、
プンプンの判断は至極真っ当でした。
ただ愛子にはそれが理解できず、再び疎遠になっていきました。
プンプンの精神衛生も悪化していきます。
高校は田中愛子と別の学校でしたが、
陰鬱としたダークな心理状態は引き続き内包しており、
その延長線上で、大学生の時に再び二人は出会い、悲しい結末へ辿っていきます。
作中で呪いと表現されていたように、
田中愛子との切っても切れない関係性が、プンプンに対し負の精神的影響を与え続けた様がみてとれます。
理由②黒点への言及
主題の黒点に関して、作中でその正体と思わしき人物に言及したシーンがありました。
星川としきは、黒点と見定めたその女性を急襲しますが、違和感を感じ、
違う、そうじゃない、といって撤退します。
星川としきはその後、黒点の正体について再考し、黒点は定位しない、との仮説を挙げるに至ります。
このことから、作中で黒点として明示される女性キャラクターはミスリードであり、
正体は別の誰かであることがわかります。
理由③田中愛子とプンプンのエピソードにおける星川としきの振る舞い
田中愛子とプンプンのエピソードにおいて、
星川としきが、田中愛子=黒点のメタファーになっていると感じる点が、以下のシーンです。
1.
大学時代、プンプンよりも先に同級生と再開する田中愛子の登場回において、
田中愛子の親が信奉するクチビル神が星川としきをビームで打ち抜くシーン
2.
その後プンプンが田中愛子と再会し、
情事未遂を経て、プンプンが愛子へ感謝の気持ちを伝えた直後、星川としきのメガネが割れるシーン
3.
田中愛子自死後の、星川としきの勝利宣言
1は田中愛子と星川としき=プンプンの守護者との敵対関係、
2はプンプンと田中愛子の近接による危険性、
3は田中愛子の命が絶たれプンプンの世界から排除されたこと=世界の安寧の実現を象徴するものと思います。
また3では、星川としきが黒髭危機一髪に見立てクチビル神を樽から飛ばすシーンが描かれています。
そして実際、田中愛子の死後プンプンは職に就き、仲間とともに平和に暮らしています。
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これらのことから、
黒点=田中愛子ではないか、と推察します。
ただ、ここまで書いておいて何ですが、
田中愛子は魅力的なヒロインであることは間違いありません。
故にこの推察は外れていてほしい、とも感じる次第です。
以上、自分なりの意見を書き連ねてみました。
お読み下さりありがとうございました。