スタートアップ市場調査:ペットテック編
いつもイークラウドのnoteをご覧いただきありがとうございます。
イークラウドではサービス開始以来、株式投資型クラウドファンディングを通して20案件以上をご紹介してまいりました。ご紹介した企業の事業領域も幅広く、オンラインのカタログギフトからはじまり、D2C、SaaS、Femtech、培養肉、クラフトビール、ドローン、VR、AIなど幅広い事業領域のスタートアップ企業のサポートをしてまいりました。これからも、多種多様なスタートアップ企業をサポートしていきたいと思っております。
今回も弊社のインターンの前田が、今後イークラウドでご紹介したい特定の業界に関する市場の動向や注目のスタートアップ、その業界で株式投資型クラウドファンディングを実施したスタートアップなどを調査しました。
本記事では、ペットの飼育数が増え、ペットの家族化が進んでいることにより注目される「ペットテック」をテーマとして取り上げます。
・「ペットテックの市場は、現在どのような状況?」
・「ペットテック市場に、どのような企業が取り組んでいる?」
・「ペットテック市場は、今後どう成長していくの?」
などの疑問に少しでもお答えするような記事になれば幸いです。
■ペットテックとは?
ペットの飼育やケア技術ソリューション
ペットテックは、ペット(Pet)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。IoT技術、人工知能、データ分析などのテクノロジーを応用して、飼い主の負担の軽減や、ペットの健康や安全性を向上させるのことを指します。例えば、遠隔からペットに食事を供給できるスマートフィーダーや、ワイヤレスカメラを使った遠隔監視システム、健康モニタリングデバイスなどがあります。これらのテクノロジーは、飼い主と愛するペットにより良い環境を提供し、双方の関係の深まりを提供しています。
■ペットテック関連の市場規模?
年次成長率が14.3%の急成長の世界市場
世界のペットテック市場は、2021年に$8.4Bであり、2023年から2030年までの年平均成長率は24.7%、2030年には$61.2Bに達すると予測されています。
現在のペットテック市場は、ペットの健康や安全性に関する飼い主の意識の世界的な高まりから、ここ数年で多くの資金が集まっているものの、いまだ発展の初期段階と言われています。
市場をデバイス別に見ると、2022年でペット用デバイスの内、識別・追跡デバイスは全体の61.65%を占めています。特に、ペットの心拍数や体温などを記録できる無線デバイス市場は、30%以上のシェアを占めています。成長市場としては、GPSによるペットの行動管理デバイスで年次平均成長率15%と高い需要が予測されています。また、医療診断や治療などの健康管理を目的としたデバイス市場も、年次平均成長率16.8%と高い需要が予測されています。
市場を地域別に見ると、全体の38.38%を北米地域が占め、最大のシェアを持っています。今後、最も高い成長率が予測されているのはアジア・オセアニア地域であり、その中でもインドや中国が多くのシェアを持っていくと考えられています。
(参考:Grand view research)
■ペットテックの現在
ペットテック領域のスタートアップ数が急増中
世界中の大企業やスタートアップが、多様な事業領域においてペットテック領域に参入しています。ペット領域は、欧米諸国が先駆的に伸びていますが、比較すると日本の市場は小さく、参入企業も少ない状況です。しかし、近年のペットとの生活様式の変化や、新しいライフスタイルの定着と共に、市場規模は大きくなっており、企業やサービスの数は増え続けています。
テクノロジーの進化とともに、便利性を高めるものだけでなく、新しい価値を創るユニークなサービスが登場しています。
例えば、日本発のS‘more社では、鼻をスマホでスキャンするだけで犬を特定し、飼い主に連絡ができるようになります。災害時や迷子時等愛犬家と犬の予期せぬ別れを防ぐツールとして期待され、リリース後3週間弱で5,000頭が登録されています。韓国のPetnow社やPireco社においても、類似の認証サービスを提供しています。
アメリカ発のPetcube社が提供するデバイスでは、デバイスを通じた遠隔からのモニタリング、さらにインタラクティブな会話も可能です。また、韓国発のPetPeoTalk社が提供する"dogibogi"では、モニターを通して行動や表情をAIで解析し、健康状態を自動で管理することができます。
一番市場の大きいペットフード領域においても、さまざまなフードが開発されています。アメリカ発のI and love and you社では、天然成分100%の高級ペットフードを開発しています。ほかには、環境を考慮した、非動物由来のフードを生産しているアメリカ発のWild Earth社やドイツ発のTeneTrio社があります。
ユニークな領域としては、ペットの葬儀サービスが近年増えつつあります。ヒューマンクオリティーのペット葬儀を提供するSoraneやPetforestがあります。また、SNS型のオンラインペット霊園のmemoriRを提供する企業もあります。
ほかにも、あらゆるデバイス様式の開発が進められています。ご興味ある方は、下記のペットテックの事例まとめをご覧ください。
国内のペットにおける支出は微増傾向にある
アニコム損害保険株式会社が毎年発表している「ペットにかける年間支出調査 2021」によると、年間支出額は犬が357,353円(前年比103.4%)、猫が160,766円(前年比95.0%)でした。2020年から2021年にかけては、犬猫合わせて前年比約102%増でした。飼う動物種や大きさによっても支出額が大きくことなるもの、全体的に少しずつ増えている傾向にあります。
最大の支出は「治療費」と「フード・おやつ」であり、両方合わせて約50%を占めます。同様に、世界のペットマーケット市場でも両方で約60%を占めています。
全体としては、「飼育に伴う光熱費」や「外出に伴う支出」が増加しています。
ペットを飼いやすい環境が国内で整いつつある
欧州では、ペットと一緒に生活できる物件が多くあり、ペットと共に暮らすことを家主が不当に拒否できない法律や、ペットを長時間留守番させることに罰金が科される地域が存在します。アレルギー問題等もあり、その社会の認識にもよりますが、公共交通機関においても、ゲージ無しで当たり前に乗車可能な環境があります。
海外諸国に比べると日本では、賃貸物件、交通機関、飲食店など、ペット不可とされている環境が多くあります。しかし近年、ペットツーリズムの拡大など、少しずつペットと飼い主が共に生活しやすい環境が整いつつあります。
■ペットテックを開発する上場企業
すでに上場している企業においても、様々なペットテック事業が行われています。ここでは、3社取り挙げていきたいと思います。
①シャープ株式会社
②株式会社日本動物高度医療センター
③ペットゴー株式会社
■ペットテックスタートアップ *非上場
スタートアップ(非上場企業)においても、多様なペットテック事業が行われています。ここでは、4社取り挙げていきたいと思います。
①株式会社ラングレス
②株式会社VEQTA
③株式会社PETOKOTO
④株式会社トレッタキャッツ
■創業まもないペットテックスタートアップ(創業5年以内)
①株式会社RABO
②株式会社アニポス
③株式会社stepdays
④ポケットペット株式会社
■海外のペットテックスタートアップ
①BabelBark(アメリカ)
②Wilder Harrier(カナダ)
③Wagmo(アメリカ)
④PETABLE(ポルトガル)
■株式投資型クラウドファンディングで調達したペットテック関連スタートアップ
①OneMindDogs(フィンランド)
②Pitpet(イギリス)
③SCOOCH(イギリス)
■まとめ
ペットテックに参入するベンチャー企業の数は、欧米を中心として、2010年以降から増加傾向にあります。近年、ペットとのライフスタイルの変化の中で、欧米以外の東南アジア諸国においても、テクノロジーを用いた多くのサービスが提供され始めています。
現在のペットテックでは、センサーを用いたペットの生体データからの日常の健康管理や、取得したデータを活用した最適な運動や食事の提示、医療機関との接続、診療に関る保険の最適化などといったことが可能になっています。これらのテクノロジーは、飼い主とペットの両方の利便性や快適性を向上させています。
また、日本国内においては、不動産や観光などの面で、ペットと過ごしやすい環境の整備もはじまりつつあります。この環境整備と、ペットテックによる飼い主やペット自身の快適性の向上と掛け合わせることで、より一層ペットと共に生活するライフスタイルが一般社会へ浸透していき、ペットテック市場が拡大していく可能性があります。
これから成長していくであろうペットテック領域の成長には、目が離せません!
イークラウドでペットテックに関連する業界のスタートアップも積極的に資金調達のサポートをしています。
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