【和声】全ての和音!構成音の組み合わせの可能性
和声初学者は、標準配置(本シリーズでは基礎配置)などと言われる配置を主に用いて実習を進めていくことが多いかと思うが、標準外配置(応用配置)もうまく用いると、より柔軟で美しい実施が可能になる。
応用配置について考えるためには、まず構成音の組み合わせの可能性を把握しておく必要があるため、本記事にてそれを紹介していく。
構成音の重複と省略
ある構成音を2声以上で重ねて用いることを、構成音の重複と言う。
また、ある構成音を省略することを、構成音の省略と言う。
構成音には、重複が禁止されている音、省略が禁止されている音がある。
重複が禁止されているのは、全ての限定進行音である(例外は後述する)。
限定進行音には、導音(Ⅴの三和音、属七、属九の和音※の第3音)、第7音、第9音、付加第6音、付加第4音、全ての変位音(下方変位第5音、上方変位第5音、上方変位付加第6音)がある。
※ Ⅴ7、Ⅴ9だけでなく、属七、属九の響きになる(根音から長3度と短7度の音を含む)全ての和音、例えばドッペルドミナント(vV)をはじめとする全ての副Ⅴ7、副Ⅴ9の和音、+Ⅳ7、+Ⅳ9の第3音もこれに該当する。
省略が禁止されているのは、第5音以外の全ての構成音である(変位第5音は省略不可)。※
※ 根音省略形態が存在する和音もあるが、これは通常の構成音の省略とは異なり、根音ありの状態とはそもそも別種の和音だと考えるべきである。
よって、全ての限定進行音は重複も省略も禁止されていることになる。
構成音の組み合わせの考え方
Ⅴ以外の三和音の場合
まずはⅤ以外の三和音を例に取ってみよう。ここで、まず構成音の重複と省略に関して、次のような表を作って把握してみる。
ここで、…
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