天使になった我が子。
第二子を妊娠する前、一度妊娠していた。
しかし、すぐに空へ旅立ってしまった。
公の場で話すことではないのかもしれないが、わたしの人生にとってはとてもとても大切な経験であり、一瞬でも宿った命がちゃんと生きていたという証を残しておこうと思う。
2019年6月。
想定外の妊娠をした。
この時、娘はまだ1歳2ヶ月。
もちろん二人目は欲しいと思っていたが、こんなにも早くできるとは思わなかった。
妊娠が発覚した時は、戸惑いの方が大きく、素直に喜べない自分がいた。
まだまだ娘も手がかかるのに、2人も育てられるのだろうか。ましてや年子なんて..
まだ授乳もしているこんなに小さい娘を、お姉ちゃんにしてしまって良いのだろうか。
もう少し、娘の一人っ子時間を楽しみたかった。
とにかく不安しかなかった。
幼い娘を連れて、キッズルームがあるレディースクリニックへ。
受診したのは、5週のとき。
先生から「妊娠してるね。おめでとう!」と、明るく言われた。
あんなに不安しかなかったのに、喜びが込み上げてきた。
あれ、わたし喜んでる。
妊娠したことがとても嬉しい。
想定外でも、命を宿したことは嬉しかった。
しかし、そんな嬉しい気持ちは2回目の診察で一転した。
「心拍は動いてるけど、ちょっと卵が小さいから心配だね」と、明るい先生が暗い表情で言った。
その時はまだ、意味がよく分からなかった。
"妊娠初期 胎嚢 小さい"と検索すると、良くない事ばかり書いてあった。
調べるんじゃなかった...
授乳しているから上手く育たないのかもしれないと勝手に考え、娘の断乳を決意した。
なんとか断乳はできたが、不安で不安で仕方ないまま、3回目の診察。
「うーん、やっぱり赤ちゃん動いてないね」
「どういうことですか?死んじゃったって事ですか?」
「そうだね。前回の時から胎嚢が全く大きくなっていなくて、赤ちゃん苦しくて息ができなくなってしまったのよ」
「.....」
「自然に流れるのを待っても良いけれど、手術して取り除いた方が安全だから、手術する日を決めましょう」
「....分かりました」
娘の手をぎゅっと握りしめて別部屋へ。
夫に電話をして、状況を説明した。
一緒に悲しんでくれた。
こんな事が自分の身に起きるなんて、全く想像もしていなかった。
こんな時、娘がいてくれて良かった。
悲しくて悲しくて泣き崩れたいところだったが、何も分からない娘の前ではしっかりしなくてはいけない。手術の日を決めて、お金を払って、家に帰らなければならない。
娘のおかげで、冷静さを保つ事ができた。
先生から「流産は赤ちゃん側に原因があって、お母さんのせいじゃないからね。それに、繰り返すことはほとんどないから、次の妊娠に向けて頑張りましょう」と言われ、少し救われた。
それでも、自分をたくさん責めた。妊娠が発覚した時に素直に喜ばなかったから、バチが当たったんだと。
お腹の赤ちゃん、ごめんなさい。
そして、手術の日。
心にぽっかり穴が空いたような、ふわふわした気持ちでクリニックへ。
この日まで一滴も涙は出なかったのに、ベットに上がり、いよいよお腹の赤ちゃんとさよならをするんだと思った瞬間に、ドバッと涙が。
涙が溢れて溢れて止まらなかった。
看護師さんが「大丈夫?」と心配してくれて、ティッシュを持ってきてくれた。
それでもずっと泣き続けていた。
先生が「次の妊娠に向けて、気持ちを切り替えていきましょうね」と、明るく声をかけてくれた。その後、麻酔で一気に意識がなくなった。
意識が戻ったときには、あんなに泣いていたのが嘘みたいに、すっきりとしたようなリセットされたような不思議な気持ちだった。
短くて儚い二度目の妊娠が終わった。
辛かったけれど、
悲しかったけれど、
一瞬でも宿った命。
一生忘れない。
とても大切な経験をさせてもらった。