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5日間の出産入院。

出産後、休む暇なく育児が始まった。正確には、産後2時間は分娩台で休ませてもらったが、その後すぐ病室に我が子がやってきた。

しかし、初日は出産ハイ状態で、出産疲れとか眠いとかではなく、ただただ隣にぐっすり眠っている我が子を見るだけで幸せだった。

そんな幸せだなんて悠長なことを言ってられたのは束の間。

すぐに、母子同室の過酷さを思い知らされた。
すぐに、育児の大変さを思い知らされた。

まず、母乳。母乳推進の病院だったため、基本的にはおっぱいが出るのであれば、ミルクは出してくれない。

産まれる前は、ミルクを持ち歩くのも面倒だしお金もかかるし、母乳で育てようかな〜なんて軽い気持ちで考えていたが、完全母乳はそんなに容易いものではなかった。

比較的、母乳の出は良い方だと言われたが、吸われることが痛くて痛くて仕方なかった。

助産師さんから授乳指導はしてもらっていたが、体の向きはこうだの授乳クッションやタオルの位置はこうだの細かいことを言われて、途中から面倒になった。

割と大きい総合病院だったのもあり、担当の看護師さんや助産師さんがコロコロ変わり、授乳のやり方がその担当の人によっても違っていたりして、困惑することもあった。

そんなこともあって、これはわたしの悪い癖だが、授乳指導を一切無視して自己流で授乳させてしまっていた。

これが原因で、2日目を過ぎたあたりから乳首が赤くただれて傷ができ、使い物にならなくなった。授乳の度に、オイルを塗ってラップで保湿していたが全然改善されず、直接飲ませるのはやめた方が良いと言われた。

そして、手や搾乳機で絞った母乳を飲ませることに。これが地獄の日々の始まり。

赤ちゃんが寝てる時にせっせと乳絞り、起きたらそれをあげて、また眠ってる間に絞り...

寝る時間が、全く取れなかった。

赤ちゃんが比較的寝てくれる日中は、誰かしら面会に来てくれるため、寝れない。夜、赤ちゃんが少し寝てくれたとしても、この時間に搾乳しなければならないため寝れない。

あんなに大変な出産を終えたばかりなのに、いきなり不眠不休の生活が始まった。

体力的にも精神的にも限界を感じて、夜中に涙が止まらなくなった。

赤ちゃんは可愛いはずなのに、母乳を上手くあげられないことや眠れないこと、なんだか思い描いていたものと違いすぎて、涙が溢れ出て止まらなかった。

泣き声が漏れていたようで、同室の人に「昨日泣いてたけど大丈夫?」と心配されるほどだった。

結局、母乳問題は何も解決されず、退院の日を迎えた。一体、いつまで搾乳した母乳を飲ませ続ければ良いのか、直接母乳をあげられる日は来るのか、不安だらけだった。退院するのが怖かった。

赤ちゃんを家に連れて帰るということは、本当の意味での育児が始まるということ。

不安な気持ちを抱えたまま、父の迎えの車で実家へ。

初めて我が子を抱いて外に出た。

この日は、パラパラと少し雨が降っていた。


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