DAOって結局何ができるの?DAOを使うメリット・デメリットを解説!
こんにちは、だいしょうです。
今回は「 DAOを使う意味」について解説します!
DAOを勉強している身として、度々聞かれるのが
「 DAOって意味あるの?今までの組織形態で良くない?」
これに対するアンサーnoteになればと思い書いています。
DAOについて知りたい方はまずこちら↓
参考にした記事はこちら↓
このnoteで解決できる課題
DAOを使う意味がわかる
DAOのメリット、デメリットがわかる
DAOのメリット、デメリットを理解する上での前提
DAOの強みと弱みを理解する上で、めちゃくちゃ大事な考え方があります。
「凸型の意思決定」と「凹型の意思決定」です。
凸型の意思決定とは、はっきりした意思決定です。
例えば、コイン投げの意思決定。0か100かで決めるような白黒はっきりした意思決定といえるでしょう。
これを凸型の意思決定と呼びます。
凹型の意思決定とは、バランスの取れた意思決定です。
例えば、選挙のように0か100かではなく、賛成や反対の意見のバランスを取るような意思決定です。
これを凹型の意思決定と呼びます。
凸型の意思決定が合っている場合は、
のような0か100かで決めたほうがいい場合です。
逆に、凹型の意思決定が合っているのは、
のようなたくさんの意見によっていいとこ取りができる場合です。
DAOのメリット
凹型の意思決定の質が向上する場合がある
DAOは、たくさんの人の意見を取り入れることに長けているため、意思決定にバランスがある凹型の意思決定と非常に相性が良いです。
たくさんの意見が反映されることで、よりバランスの取れた意思決定ができるからです。
司法判断の場合、独立して選ばれた2つの判断の平均は、2つの判断のうち1つをランダムに選ぶよりも極端な選択になる可能性は低くなります。
例えば、ある裁判で、被告が原告に対して損害賠償を支払うべきかどうか、そしてその金額がどれくらいになるべきかを判断する例を考えてみましょう。
どちらか1つを選ぶ場合、10万円か1億円のいずれかが選ばれます。どちらの金額も極端なため、いずれかを選んだ場合、どちらか一方の判事の偏った意見だけが反映されてしまいます。
2つの平均的な意見を採用する場合、10万円と1億円の平均なので5005万円になります。この方法では、どちらの判事の意見も部分的に反映されるため、極端な金額や意見の偏りを避けることができます。
この例からわかるように、独立して選ばれた2つの判断の平均を取ることで、両方の意見をバランスよく取り入れ、極端な結果を避けることができるのです。
そのため、平均を取る方法は、1つの判断をランダムに選ぶよりも極端な結果になる可能性が低くなります。
このようにDAOは、多くの人々や意見を反映する仕組みのため、凹型の意思決定のようなバランスを取る場合において効果的です。
検閲抵抗に強い
DAOは、外部からの強力な攻撃に対する耐性が高く、国家や大企業の技術的ではない何らかの意思によって差別的に制限されずに機能し続けることができます。
例えば、国家や大企業が特定の金融システムやアプリケーションを制限しようとした場合を考えてみましょう。
今までの中央集権的なシステムでは、政府がサーバーを押収したり、大企業がサービスを停止することで、そのシステムを簡単に停止させることができました。
しかし、DAOは、その運営がブロックチェーン上に分散されているため、一つの中央サーバーや企業に依存していません。
例えば、ある国が特定の暗号通貨の取引を禁止しようとしても、DAOは世界中の参加者によって運営されているため、特定の国が関与しない他の場所で取引を続けることができます。
この分散化により、システム全体を停止させることがすごく難しくなります。
具体的には、仮にある国がBitcoinの取引を禁止しても、Bitcoinのネットワークは世界中の無数のノードによって維持されているため、その国で禁止してもネットワーク全体が停止することはありません。
このように、DAOは国家や大企業の干渉を避けながら、システムを安定して運営し続けることができるため、外部からの強力な攻撃に対する耐性が高いとみなされているのです。
信頼できる公平性がある
DAOは国家に対抗するものだと思われがちですが、むしろ国家の一部を助けることもあります。
国家において基本的なインフラを提供する場合、
が重要視されます。つまり、効率性よりも信頼性が優先されるのです。
例えば、DAOが分散型の電力供給システムを運営しているとしましょう。
このシステムは、地域社会に安定した電力を提供することを目的としています。
電力供給の信頼性が最優先されるため、効率性よりも予測可能性、堅牢性、中立性を重視します。
例えば、分散型のシステムは外部からの攻撃や自然災害に対しても壊れにくい特徴があります。
各家庭に設置されたソーラーパネルや風力発電装置からのエネルギーがネットワークに分散されているため、一部の地域で大きな地震があり、装置が故障しても、別の地域のソーラーパネルが補えるため、全体の電力供給に大きな影響を与えません。
また電力供給は地域全体に対して公平に行われ、DAOのガバナンスに参加する全ての住民が平等に投票権を持つことで、特定の個人やグループが他の住民よりも優先されることが少なくなることも考えられます。
これにより、住民は安心してシステムに依存でき、公正で透明なガバナンスが可能になります。
このように、DAOによる分散型電力供給システムでは、
が重視されることで、参加者にとって信頼性の高いインフラが提供され、公正で透明なガバナンスが実現されるのです。
ポッドによって分散化と自律性を両立させることができる
長寿研究を行っているVitaDAOのように、独立して機能するポッドに分割することで、分散化と自律性を両立させています。
各ポッドは高いレベルの自律性を持ち、中央からの命令に依存しないため、柔軟で迅速な対応が可能なためです。
ポッドとは、DAO内で特定のタスクやテーマに集中して活動する独立した小さなグループを言います。
例えば、DAOの中で、
・化学物質で長寿にしたい研究グループ
・運動によって長寿にしたい研究グループ
などの研究グループがポッドにあたります。
これらが、それぞれ自律的に運営され、人類の長寿を実現するという特定の目標に向かって活動します。
コアDAOから資源やお金を受け取り、その後の資金の使い方や具体的な活動内容についてはポッドごとに、自主的に決定されます。あくまでコア DAOから命令されることはありません。
このとき、ポッド内には研究リーダーがいて、中央集権的に管理されることもありますが、個々のメンバーの自主性を尊重する運営を前提としています。
つまり、ポッドとは、DAO全体の目的を達成するための手段として機能し、特定のプロジェクトやタスクに集中することで、効率的に目標を達成することを目指す小さなグループです。
このポッド構造を導入することで、DAOは大規模な組織でありながらも、細かく分けられた自律的なグループを持つことで、柔軟かつ効率的な運営を実現できるとされています。
これを「凸型と凹型」の意思決定に当てはめるとざっくり次のようになります。
・上位レベル(コアDAO)は凹型
・下位レベル(ポッド)は凸型
です。
例えば、2つのポッドに100円を与えることは、それぞれのポッドに0円と200円という偏った配分よりも一般的に優れているとされています。
しかし、各ポッドでは、明確で意見のある視点が意思決定を導き、スピード感を持って互いにシナジーのある多くの選択できることがとても大切になってきます。
そのため、上位は分散的な決定と相性の良い凹型。下位は中央集権的な決定と相性の良い凸型を採用することが良いのです。
DAOのデメリット
非効率的で意思決定に時間がかかる
分散化されたガバナンスは効率が悪く、意思決定に時間がかかります。
今までの中央集権的な企業ガバナンス構造の方が、変化が早い環境で素早く決定できるので、株主価値を最適化することには長けています。
例えば、100人で大きな庭を一緒に管理しているとしましょう。
・何の野菜を植えるか?
・害虫をどうするか?
を決めるたびに、全員が集まって意見を出し合い、投票します。みんなの意見を聞くので、決定までに時間がかかります。
これに対して、家族経営の小さな農場を考えてみましょう。ここではお父さんが全部の決定をします。害虫が発生した場合、お父さんはすぐに対策を決めて実行し、素早い決定ができるので、農場は問題にすぐに対応できます。
このように、分散化されたガバナンスは効率が悪く、意思決定に時間がかかるため、株主価値を最適化することとは相性が良くありません。
ガバナンスが複雑すぎて運営が難しくなる
分散化されたガバナンスを維持するには、たくさんの人の協力と複雑な仕組みが必要です。
公平で信頼できるガバナンスを維持するには、高度に分散化されたトークン供給や、トークン駆動型ではないガバナンスを使うことが求められてきます。
これが DAOの運用を複雑にし、難しくしています。
例えば、大規模なeスポーツイベントを企画するコミュニティを想像してみましょう。
100人のメンバー全員がそれぞれの意見やアイデアを出し合い、その意見を基にイベントの詳細を決めることになります。
また、公平に意見を反映するために、みんなの意見を集約し、投票システムを使う必要が出てきます。
さらに各メンバーが投票するためにはトークンを持っている必要があり、そのトークンの分配も公平に行う必要があります。
不正がないようにするために、監視システムや透明性を保つための複雑なルールも必要です。
このような仕組みを維持するためには、多くの人々の協力と複雑なシステムが必要です。
例えば、
・どの意見が重要か?
・どうやって公平にトークンを配るか?
・透明性をどう保つか?
など、決めなければならないことがたくさんあります。
その結果、運営自体が非常に難しくなります。
これに対して、小規模な会社のイベント企画を考えてみましょう。
ここでは社長や代表者が全ての決定を行います。
・イベントのテーマ
・日程
・予算
など、全ての詳細を社長が一人で決めるので、迅速に準備が進みます。複雑なシステムや多くの人の意見を調整する必要がないため、運営は簡単でスムーズです。
このように、分散化されたガバナンスは複雑で運営が難しくなる可能性が高くなります。
凸型の意思決定の質を下げてしまう
凸型の意思決定において、分散化は混乱や質の低い意思決定が生じる可能性があります。
特に、緊急時や一貫性が求められる状況では、集中化された意思決定の方が効果的です。
パンデミックが発生したとき、100人のメンバーで構成される委員会が渡航禁止措置をどうするか決めるとします。メンバー全員が意見を出し合い、それぞれの意見を取り入れようとします。
その結果、一部のメンバーは100%の渡航禁止を支持し、一部は全く渡航を禁止しないことを支持します。そして、妥協案として50%や90%の渡航禁止を決定します。
50%の渡航禁止では、依然として多くの人が移動し続け、ウイルスの拡散を防ぐことは難しくなります。一方で、90%の渡航禁止では、人々の生活や経済にも大きな負担がかかります。
このような半端な対策は、ウイルスの抑制も人々の不便も両方を引き起こし、最悪の結果をもたらします。
これに対して、パンデミックの初期段階で100%の渡航禁止を決定した場合、ウイルスの拡散を効果的に抑えることができます。このように、集中化された凸型の意思決定では、迅速かつ効果的な対応が可能です。
このようにDAOでは、凸型の意思決定において、分散化は混乱や質の低い意思決定が生じる可能性が高まります。
DAOの分析結果(X引用)
581以上のDAOプロジェクトを対象に、5年間で16,246件の提案を分析した結果をarndxt氏がまとめたポストです。
非常に興味深い内容なので、DAOについてもっと知りたい方はぜひ読んでください!
参考文献
免責事項
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