合同会社型DAO(トークン式会社)とは?従来のDAOや合同会社との違いを解説
こんにちは、Daishoです。
今回は、今話題の「合同会社型DAO(トークン式会社)」ついて解説していきます。
この記事を読んで解決できること
合同会社型DAO(トークン式会社)とは何か?がわかる
従来のDAOとの違いがわかる
従来の合同会社との違いがわかる
合同会社型DAO(トークン式会社)で何ができるようになるかがわかる
合同会社型DAOの概要
合同会社型DAOは、日本の会社法に基づく合同会社の枠組みを利用しつつ、DAO(分散自治組織)的な運営を行う新しい組織形態です。具体的には、合同会社の社員権をトークン化(NFT化)することで、DAO特有の分散的な意思決定や自律的な運営を実現しようとするものです。実体がなかったこれまでのDAOに法人格を付与することで信頼性を担保し、活動の幅を広げることができるようになった新しい形のDAOです。
従来のDAOと合同会社型DAOの主な違い
1.法的位置づけ
従来のDAO: 法人格を持たない非中央集権的な組織で、法的な位置づけが曖昧でした。
合同会社型DAO: 日本の会社法に基づく合同会社の枠組みを活用することで、法人格としての実体が明確になりました。
2.意思決定の方式
従来のDAO: トークン保有者による分散的な意思決定が中心
合同会社型DAO: 業務執行社員が最終的な意思決定をする権利を持ちます。但し、基本的には社員による投票を尊重し、違法行為などを行おうとしたときの拒否権を行使する意味で使われます。
3.責任の範囲
従来のDAO: 無限責任
合同会社型DAO:有限責任で、出資金額に限定されています。
4.出資
従来のDAO: 厳密なルールはありません。
合同会社型DAO: 499人までの募集なら開示規制はありません。
つまり、社員権トークンや別トークンを勧誘するにあたっては有価証券届出書、目論見書、有価証券報告書がいらない
条件によって開示規制があります。
出資総額が1億円以上で、50%超を有価証券に投資する場合
また、出資総額が1,000万円以上の場合は有価証券通知書の提出が必要になります。
5.配当
従来のDAO: 原則配当は不可能でした。但し、体験価値(宿泊など)を対価とすることの還元は可能です。
合同会社型DAO: 業務執行社員は出資額を超える収益分配ができます。その他社員については出資額までの収益分配ができます。(100万円出資した場合は100万円までの配当がもらえる)
合同会社型DAOと通常の合同会社の主な違い
1.意思決定
通常の合同会社では、社員全員の一致による決議が必要となります。但し、定款の定めがあれば、社員の過半数の同意での意思決定、業務執行社員として限定された社員のみで決議することもあります。
合同会社型DAOでは、トークン保有者による分散型の意思決定が行われます。
2.社員権の扱い
通常の合同会社では、出資したすべての社員が社員(=出資者、投資家)となります。
合同会社型DAOでは、社員権がトークン(NFT)化されており、トークン保有者が社員(=出資者、投資家)となります。
つまり、合同会社型DAOは、合同会社の枠組みを活用しつつ、ブロックチェーンやトークン化などの技術を取り入れた新しい組織形態といえます。これにより、分散的な意思決定や自動的な運営が可能になると期待されています。しかしながら従来のDAOと比較すると完全な分散を実現しているとは言い難いとの見解もあります。
合同会社型DAOの特徴
合同会社型DAOでは、社員を「業務執行社員」と「その他の社員」の2つに分類しています。
「業務執行社員」は、DAO の日常的な業務を執行する役割を担います。
「その他の社員」は、DAO の意思決定に参加したり、収益分配を受け取ったりする権利を持っています。
また社員以外に別トークンを持つ人は「DAOメンバー」としてDAOの意思決定に参加できる権利を持っています。
業務執行社員
合同会社の会社法上の責任を負う
登記で氏名が記載される
意思決定への参画、業務の全部または一部に従事する
業務執行社員トークンを保有する
業務執行社員トークン:DAOの業務執行を行う社員が持つトークン
業務執行社員トークンを業務執行社員以外に譲渡できない
その他の社員
登記で氏名が記載されない
定款には非業務執行社員として氏名が載る
合同会社社員としての有限責任を負う
社員権トークンを持つ
社員権トークン:DAOの業務執行を行わない社員が持つトークン
出資額を超える収益分配はない
DAOメンバー
ガバナンストークンの役割を持つ別トークンを持つ
ガバナンストークン:分散型アプリケーションやブロックチェーンプラットフォームにおいて、トークンにまつわるプロジェクト(DAO)の運営に関わる意思決定に関与するためのトークン
別トークン:社員権トークンとは明確に区別されて発行、職務執行の対価として発行、社員以外の者にも同じ条件で発行。これらのいずれか1つでも当てはまるトークン。
合同会社の社員ではない
DAOでの意思決定に参加できる
合同会社型DAOの課題と展望
合同会社型DAOには、いくつかの課題も存在します。法的な位置づけや規制の整備、トークンの価値変動リスクへの対応、ガバナンスの設計など、様々な課題に取り組む必要があります。
一方で、合同会社型DAOは、新しいデジタル資本主義の実現に向けた重要な取り組みとして期待されています。ブロックチェーンやスマートコントラクトなどの技術を活用することで、より自律的で透明性の高い組織運営が可能になります。
今後、合同会社型DAOの実践例が蓄積され、課題への対応策が明らかになっていくことで、新しい組織形態としての地位を確立していくことが期待されます。
免責事項
本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な法律問題については、専門の弁護士等の法的アドバイスを受けることを強くお勧めします。本記事の情報は執筆時点のものであり、その後の法改正や判例の変更等により内容が変更される可能性があります。著者および本記事の発行者は、本記事の内容に基づいて行われた行動に対して一切の責任を負いません。
参考文献
[1] unyte.team - 合同会社型DAOとは?web3時代の新しい組織形態を徹底解説 (https://unyte.team/news/llcdao)
[2] note - 合同会社型DAO解禁へ。世界も注目する新たなweb3ビジネス ... (https://note.com/akihisa_shiozaki/n/n69fbfd11796a)
[3] 自由民主党 - 「合同会社型DAO」の実現へweb3PTが提言 | 政策 | ニュース (https://www.jimin.jp/news/policy/207470.html)
[4] PR TIMES - 「合同会社型DAO」に関するプレスリリース一覧 (https://prtimes.jp/topics/keywords/合同会社型DAO)
[5] gaiax.co.jp - 合同会社型DAOとは?従来のDAOとの違いや注意点をDAO ... (https://www.gaiax.co.jp/blog/llc-dao/)
[6] unyte.team - 合同会社型DAOとは?web3時代の新しい組織形態を徹底解説 (https://unyte.team/news/llcdao)
[7] gaiax.co.jp - DAOと株式会社の違いを4つ紹介【どちらで組織運営すべきか ... (https://www.gaiax.co.jp/blog/dao-company/)
[8] クラウド会計ソフト freee - 合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリットについて解説 (https://www.freee.co.jp/kb/kb-launch/what-is-llc/)
[9] 弥生株式会社 - 株式会社と合同会社の違いは?特徴とメリット・デメリットを解説 (https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/oyakudachi/kabushikigaisha/)
[10] 辻・本郷 税理士法人 - 合同会社のメリット7つを徹底深掘り!株式会社と比べた ... (https://www.ht-tax.or.jp/kigyou-guide/llc-merit)
[11] クラウド会計ソフト freee - 株式会社と合同会社の違いとは?それぞれのメリットとデメリット ... (https://www.freee.co.jp/kb/kb-launch/gohdogaisha-merit-demerit/)
[12] note - 合同会社型DAOの魅力と可能性:農業web3プロジェクトの ... (https://note.com/noujoujin/n/n9141be714dde)
[13] aihub.co.jp - 【最新】合同会社型DAOとは?web3を活用した新世代の組織 ... (https://media.aihub.co.jp/dao-web3/)
[14]金光碧 - 日本の「DAO法」で何ができるの?(https://note.com/midolix/n/n672d580af22f)