帰属家賃(GDP統計)
GDP統計の概念として、帰属計算というものがあります。家を借りるのではなく、所有している場合、家賃を支払う必要はないのですが、GDP統計上は持ち家の家賃もGDPに含めることになっています。そう言われてもよくわからないと思うので、ここでは具体例を用いて帰属家賃の理解を深めていきましょう。
ここでは2つの家について考えます。
2021年に大工さんが同じ場所に同一の家を2つ建てたとしましょう。
家①:2021年12月に大家さんが大工さんから2000万円で家①を購入しました。
2022年1月から大家さんは近くの大学に通う村上君に月額10万円で家を貸すことにしました。
家②:2021年12月に大家さんは大工さんから家②を購入し、その後、すぐに、社会人5年目の加藤さんに家②を2000万円で販売しました。2022年も引き続きこの家に住んでいます。
このケースにおいて、2021年と2022年のGDPを考えていきましょう。
2021年に大工さんは家①家②をそれぞれ2000万円で販売したので、2021年のGDPは4000万円となります。ここまでは容易に理解できるでしょう。
ただ、問題は2022年のGDPです。
家①を借りている村上君は2022年に合わせて、120万円(=10万円 x 12ヶ月)を大家さんに支払います。家②は加藤さんの持ち家なので、加藤さんは家賃を払う必要はありません。つまり、2022年のGDPは120万円になるというのが、普通の発想だと思います。ただ、これは間違いで、GDP統計上は加藤さんが自分自身に家賃を支払っていると考え、家②からもGDPは120万円発生していることになります。したがって、2022年のGDPは240万円となります。
このようにGDP統計においては、家を持っている人も自分自身に家賃を払っていると考え、その分の金額もGDPに含めることになります。