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社会的ジレンマ

共同作業で皆が頑張っているとき、自分一人くらいさぼっても問題はないから、手を抜いてしまおうという誘惑を感じたことはないでしょうか。もし全員がこの誘惑に負けると協力は失敗します。

そのような状況を「社会的ジレンマ」と呼びます。

社会的ジレンマとは、個人の合理的な選択が社会全体にとって望ましい結果にならない状況を指します。

社会的ジレンマの例としては、次のようなものがあります。

・税金:個人の選択としては払わないのが合理的ですが、社会全体からすると国の財政は成り立たない。
・環境問題:家庭でのごみ減量やリサイクルは、市民一人ひとりに効果は見えにくく、手間がかかる。また、各個人にとっては自動車に乗り、エアコンを使うことにより快適に生活できます。しかしその結果、温室効果ガスの増加による地球が温暖化するというコストを全員が払うことになります。
・路上駐車:「路上駐車はいけない」とわかっているけれども「自分だけ路上駐車をやめても道路には違法駐車の車で既にいっ ぱい」である場合、ついつい「まあ、いいだろう」ということ で自分も路上駐車をしてしまう。
・資源の枯渇問題:公海における乱獲の結果、漁業資源が枯渇状態になる。各漁業者は多くの魚を捕るほうが利益になるが、全員が無制限に取ると漁業資源は枯渇してしまう。

このような状況は表1の利得表で表すことができます。

表1.社会的ジレンマの利得表

(協力、協力)と(非協力、非協力)を比べると(協力、協力)のほうが個人A、個人B双方にとって利得が高い。ただし、相手が協力を選ぶとき、自分は非協力を選ぶほうが利得が高く、相手が非協力を選ぶときも、自分は非協力を選ぶほうが利得が高い。つまり、相手が何を選ぶかに関係なく自分は非協力を選ぶほうが利得が高い。そして双方ともが非協力を選ぶと望ましくない(非協力、非協力)が実現する。

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