大学院入学前の準備(経済数学編)

 みなさん,あけましておめでとうございます.

 ぼくは卒論もほとんど終了し,大学院進学前の準備と思っていろいろ勉強しているのですが,数学の勉強がある程度終了しました.そこで自分が使用した経済数学の教科書を2冊ほど紹介したいと思います.

 みなさんの助けになれば幸いです.

・基礎から学ぶ 動学マクロ経済学に必要な数学
・現在経済学の数学基礎(下)

基礎から学ぶ 動学マクロ経済学に必要な数学

 まず,1冊目ですが,こちらは学部生レベルから大学院レベルへの橋渡しを目的とした教科書です.

 アマゾンのリンクを張ったのですが,どうやら中古書しかないようでネットで購入となると,新品の価格の5倍ほどの値段がついています.そのため,できることなら大学の図書館などを利用して読むことをオススメします.

  こちらの教科書は学部生を対象としているだけあって,前提知識が少ない状態から読めるような内容になっています.
 学部中級レベルの教科書の知識と線形代数の簡単な理解があれば読めるかと思います.

 内容はタイトルの通り,動学マクロを学習できる内容となっており,丁寧な記述がなされています.

 ネイピア数(e)の定義をはじめ,途中式なども飛ばさずに記述されています.そのため,丁寧に読んでいけばどのような理論から式が導出されたのか分からなくなってしまって躓くことなどはないと思います.

 また,巻末の問題なども解答例付きで載っていますので,実際に数値を扱って確認することができます.

 一方で,経済モデルの中で実際に動学方程式をどのように扱うかの説明は薄いように感じました.
 最後の章で標準的なRamseyモデルを理解する際に,動学方程式を導入しています.しかし,もっと経済モデルを使ってくれれば直感的な理解の助けになるのかなとも思いますが,教科書の分量をあまり多くしすぎずに,とっつきやすさを持たせるということなのかなと思いましたが…

 以上のような点を踏まえると後述のような教科書や上級マクロを学ぶ前に本書を読むと動学マクロの数学についてかなりついていきやすくなるのかなと思います.練習問題に解答例などがついているのもうれしいですね.個人的には数式の流れがわからなくなったときは式を書き写しながら考えるだけでも,流れ追いやすくなると思います.


現代経済学の数学基礎(下)

こちらは過去の記事でも紹介した教科書の続きになります.

 内容的には動学方程式と数理計画法を扱っています.
 知識としては(上)で扱った数学の知識と中級マクロの知識,虚数平面の知識があれば十分かと思います.
 院試が終わったくらいならそのまま,もしくは上記の教科書を経由して取り掛かれば読むことができると思います.

 こちらの教科書は数学的な定義も既に習得済みのものとして進みますが,その分マクロ経済学のモデルに照らし合わせた数式的な意味などの記述が厚いです.そのため,中級マクロの内容の理解を深めることなどもできると思います.

 一例としては差分方程式を学習した後に,蜘蛛の巣モデルを差分方程式を用いて説明していたりします.
 自分が学んだ中級マクロの教科書では蜘蛛の巣モデルが安定均衡をとするかどうかを,供給曲線と需要曲線の傾きによって決定されるとしていましたがその理由までは説明されませんでした.
 本書の中ではその理由を差分方程式を用いて,理論的に説明されていたためにかなり理解が進みました.

 このように数式の説明だけをされている部分で理解が難しくても,例や経済モデルを用いた説明まで進めば理解しやすくなることもあると思います.根気よく学習することが求められるかと思います.


 ということで経済数学の教科書を2冊紹介しました.
 まだ大学院の授業を受けたわけでもないですし,教科書の内容をきちんとすべて理解できたわけでもないですが,この内容をしっかり理解できれば上級マクロや経済学の論文を読む際に助けになると思います.

 大学院入る前に上級マクロの教科書の1冊でも読めるかな…?


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Sugiyama
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