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【無料】ディズニーCEOのボブ・アイガー氏対談 +解説 (24年11月27日)


【動画】

【概要】
この動画では、ウォルト・ディズニー・カンパニーを世界的なエンターテインメント企業へと導いたボブ・アイガー氏が、リーダーシップやクリエイティビティ、テクノロジーとの向き合い方、そして企業文化を存続・発展させる秘訣について語っています。

【話者のプロフィール】
ボブ・アイガーは1951年、アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。大学卒業後、ABCに入社し、放送業界で数々の要職を歴任した。1996年にABCがディズニー傘下に入ったのを機にディズニーへ移籍し、2005年にCEOに就任。ピクサーやマーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックスなどの大型買収を主導し、ディズニーを世界有数のエンターテインメント企業へと成長させた。2020年にいったんCEOを退任したが、2022年末に再びCEOとして復帰したことで注目を集めている。

【動画の結論・要点】(詳細は後述)

  • 企業を永続させるには「コアの価値」を守りつつ時代に合わせたイノベーションが不可欠。

  • クリエイターを尊重し、失敗を恐れず新しい挑戦を続ける姿勢が重要。

  • リーダーに必要な資質は「好奇心」「楽観主義」「決断力」「エンパシー(共感力)」。

  • テクノロジーは脅威ではなく、あくまで人間の創造性をサポートするツールと捉える。

  • AIをはじめとした最新技術の活用は必要だが、人間らしさを損なわないバランスが重要。

【動画の詳細】
この動画のインタビューでは、ボブ・アイガー氏が自身のキャリアや経営哲学について丁寧に語っています。ディズニーが100年以上にわたり世界中の人々を魅了し続ける理由を、大きく3つにまとめると「物語の力」「テクノロジーへの積極的な取り組み」「世代を越えて楽しめる普遍的な価値観」の存在です。

まず、ウォルト・ディズニー・カンパニーが持つ独自性として「ストーリーによる共感の創出」が挙げられます。ディズニーの作品は多くの場合、“ヒーローの旅”や“家族・友情の大切さ”といった共通体験を描くことで、人々の心を打つ構成になっています。さらに、映画やテーマパークなどでは複数世代の家族が同時に楽しめる点がディズニーならではの大きな強みです。祖父母から孫まで一緒になって楽しめるテーマパークの様子を例に、幅広い年齢層が一体となる空間を生み出す工夫が語られています。

次にディズニーの企業文化について、アイガー氏はウォルト・ディズニー創業者の精神が色濃く残っていると強調しています。ウォルト自身が技術革新(アニメーション手法やテーマパーク運営など)を積極的に取り入れてきたように、ディズニーは最先端のテクノロジーを活かしてエンターテインメントを進化させ続けています。具体的には、コンピューター・グラフィックスを駆使したピクサー作品や、ストリーミング配信を通じた新しい視聴体験などが挙げられます。古い作品を新しいプラットフォームで見せることで、過去の名作に現代の技術を付加し、新たな世代にも訴求力を持たせることが可能になるといいます。

ただし、テクノロジーを取り入れるときには、「あくまで人間の創造性を補うツール」として扱う姿勢が重要だと述べています。AIに関しては、ストーリーを作るうえでのサポートや効率化に活かせる一方で、クリエイターの個性や芸術性を侵食してはならないと強調します。ディズニーは物語を通じて“人間にしかない創造性”を発揮する企業であり続けたいと考えているからです。ウォルト・ディズニーの残した「好奇心を失わない」「テクノロジーは脅威でなくチャンス」という精神を、ボブ・アイガー氏は継承しようとしています。

また、クリエイターのモチベーションとイノベーションを両立させるために「エンパシー(共感力)」が不可欠だといいます。創作物はクリエイターの内面そのものであり、その価値を最大化するには失敗を許容し、成功したときに正当な評価を与える組織づくりが求められます。一度の失敗で責め立てると、次のブレイクスルーを生む芽を摘む恐れがありますし、社内にリスクを取らない風土が広がってしまいます。一方で、イノベーションを生む人材にはチャンスを与え続けるべきだと強調しています。

経営者として必要な素質も具体的に語られます。本人は「恐怖心が少ない」と述べ、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する姿勢が大事だと強調します。同時に「現実を直視したうえでの楽観主義」も重要で、人々は悲観的なリーダーにはついてこないといいます。また「好奇心」を絶やさないこと、「決断力」を磨き、素早く行動に移すことなどが、組織を率いるうえでの鍵になると説明されています。スタッフが安心して仕事に取り組めるよう経営者自身が「規則正しいルーティン」を保つことも、意外なほど大切だとも語っています。具体的には、朝4時過ぎに起床し、まずコーヒーを飲んでから1時間の運動をして思考を整理しているとのことです。

さらに「ディズニーが100年以上存続する理由」として、創業以来の“コアバリュー”を常にアップデートしながら守ってきたことが挙げられます。変化の激しい時代に生き残るため、企業が時代に合わせて新規事業や新技術を取り入れようとするとき、コアの価値まで捨ててしまう例が少なくありません。しかし、その軸を見失うとブランドが形骸化し、長期的な衰退を招くと指摘しています。ディズニーの場合は「高品質の物語性」「複数世代が楽しめる価値観」「優れたテクノロジー活用」を根幹に据え、そこを守りつつ新しい手法を積極的に取り入れてきたと説明されます。

ボブ・アイガー氏が2020年にCEOを退任した後、2022年末に復帰した際には、まず組織内の動揺を鎮めつつ「クリエイティビティを再び中心に据える」「経営構造を見直す」などの改革を断行しました。一度の解任と復帰で生まれた混乱を鎮めるには、短期決断と長期視野の両立が必要だったといいます。大切なのは「結果に対して完璧主義的に急ぐ気持ち」と「不可避のプロセスには忍耐強く待つ姿勢」のバランスです。現時点でディズニーは回復基調にあるものの、企業文化を守り抜くためには引き続き組織改革に取り組む必要があるとも述べられています。

最後に若い世代へのアドバイスとしては「好奇心を育てること」「本当に情熱を持てるものを見つけること」「キャリアのタイミングには焦らずに準備を続けること」が挙げられます。就いたポジションにおける目の前の課題をやりきることで、大きなチャンスが巡ってきたときに自然と飛躍できると語っています。「自分で機会を生み出そうとするより、訪れた機会に備えておく方が現実的」というメッセージが印象的です。こうした内容を通じて、ディズニーやボブ・アイガー氏がどのように企業とブランドの価値を守りながら変革してきたのか、そしてリーダー像とはどうあるべきかが語られたインタビューといえます。

【解説】
動画では、リーダーシップ論やクリエイティブな組織文化の築き方を具体例とともに分かりやすく解説しています。初心者にも理解しやすいポイントとして、以下の点を押さえておくとよいです。

  • コアバリュー(Core Value)
    企業やブランドが創業から大切にしてきた精神的支柱のことで、たとえば「ディズニーならば夢と魔法」「高品質のエンターテインメント」などが該当します。これを捨てると企業らしさが失われます。

  • イノベーション(Innovation)
    新しい技術や手法を取り入れて常に進化すること。ディズニーの場合はコンピューター・グラフィックスやストリーミング配信を活用して、古い作品も現代にマッチする形で届けています。

  • エンパシー(Empathy)
    相手の立場を理解し、気持ちを想像する力。とくにクリエイターの仕事を把握し、それが失敗した場合でも次につなげる文化をつくることが重要だとされています。


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