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アマゾン下落は買いの好機、成長に向けた長期的余地あり+日本市場への影響 (25年2月8日)
【動画】
YouTube動画タイトル:AMZN Dip "Good Buying Opportunity," Has "Long Runway" for Growth
【概要】
この動画ではAmazonの最新決算を受けた株価下落を買い機会とみなし、クラウド事業や広告事業などの主要セグメントにおける成長性が注目されています。さらにAI関連投資や衛星事業「Project Kuiper」など、多角的な将来の柱が議論されており、利便性を武器にした小売事業の優位性や長期的視野での成長余地が強調されています。
【話者のプロフィール】
Arun SundaramはCFRA(CF ResearchやCFRAと表記される場合がある)の株式リサーチアナリスト。主にテクノロジー企業や小売関連企業の業績分析を担当し、AmazonやWalmartなどの大手銘柄に関するレポートを発表している。
Nick JonesはCitizens JMPの株式リサーチアナリスト。インターネット小売やEコマース、デジタル広告領域に詳しく、Amazonをはじめとする大手テック企業のリサーチや投資判断を提供している。
【動画の結論・要点】(詳細は有料部分)
Amazonの株価下落は一時的要因が強く、むしろ買いの好機との見方
Q1の見通しは保守的であるが、クラウドや広告など主要事業の成長余地は大きい
Capex(設備投資)の増加はAIや衛星事業などの長期戦略への布石
Walmartなど他社との競争は激化するが、圧倒的な利便性が優位性を支える
小売全体に占めるAmazonのシェアはまだ低く、伸びしろが大きい
【当サイト独自考察:日本市場への影響】(詳細は有料部分)
クラウド事業(AWS)の需要拡大は、日本のIT関連銘柄(データセンター運営企業、ソフトウェア開発会社など)にもプラス影響
AI関連投資の拡大により、国内の半導体製造装置やクラウド基盤企業などに資金が向かう可能性
通信衛星事業「Project Kuiper」が本格化すれば、日本の衛星関連部品メーカーや通信サービス提供会社にも刺激が及ぶ
今回の決算自体が円高・円安へ直接的に大きく作用するわけではないが、米国の金利動向や投資資金の流入次第で為替に間接的影響が出る可能性
小売・流通セクターへの影響は限定的だが、Amazonへの委託販売や物流関連サービスを提供する企業には注目余地あり
【動画の詳細】
この動画ではまず、Amazonの最新決算をめぐる議論から始まります。株価が約4%下落した直後の状況を「むしろ買いの好機ではないか」という視点でパネリストたちが話し合っています。Amazonの主力であるクラウド事業(企業向けに提供するサーバーやデータベースなどのサービス)は一時的に需要の上下(=lumpy)が見られ、短期的には売上や利益が想定を下回る瞬間があるものの、長期的に成長する市場だと強調されています。また、四半期利益が市場予想をわずかに下回ったことや、為替(FX)の逆風が響いたことも株価の下落要因とされていますが、投資家の中にはAIに関する積極的な取り組みを評価し、今回の下落を大きな問題ではないと考える見方があるとのことです。
次に、アナリストが示すAmazonの目標株価は高い水準に引き上げられています。具体的には、あるアナリストが従来の251ドルから276ドルに、別のアナリストが285ドルに目標を上方修正した点が紹介されます。これは、四半期見通しがやや保守的だったことや、関税や為替の影響を考慮しても、長期的な企業価値の伸びに自信を持っているためです。AmazonはAI分野やインフラ投資などを含む大規模な設備投資(Capex)を行う予定で、年間で1000億ドルを超えると見込まれています。市場予想は850億~900億ドル程度だったため、大きな上振れですが、他の大手テクノロジー企業も同様の投資拡大を表明しており、特別に驚くほどの数字ではないと説明されています。
長期成長の柱として言及されたのが、人工衛星を使ったインターネット通信サービス「Project Kuiper」です。このプロジェクトは地球低軌道衛星の展開によって、世界中の地域へインターネット接続を提供することを狙いとしたもので、まだ具体的な収益予想が織り込まれていない段階です。さらに、音声アシスタントサービスであるAlexaや、オンライン薬局、食料品事業などの分野も将来的に大きく成長する可能性があるとされていますが、現時点ではeコマースやクラウド事業、広告などが主な収益源です。
また、Walmartとの競争については、Walmartが低価格路線や会員サービス「Walmart+」を推進する一方で、Amazonは長年にわたるPrime会員サービスによって顧客囲い込みに成功している点が指摘されます。Amazonは配送スピードの向上を図ることで、購入率や1回の注文での購入量(バスケットサイズ)をさらに拡大できると説明しています。Walmartと比較して、Amazonはより多様な価格帯の商品を扱うことができ、利便性を重視する消費者を取り込む強みがあると評価されています。
最後に、関税や中国との貿易摩擦が話題に上がり、TimuやShein(いずれも中国を拠点としたオンラインファッションや生活雑貨サイト)が使っていた“De Minimis”という少額輸入の関税免除枠を閉じる動きは、Amazonにとって相対的にプラス要因になるとの見解が示されています。関税によるコスト増は小売業全体に共通する問題ですが、大手企業ほどサプライチェーンの最適化や代替仕入先の確保がしやすいため、Amazonの競争力はむしろ維持されると分析されています。さらには、多少の価格上昇があっても、圧倒的な利便性からAmazonを利用する消費者は一定数存在し続けるという意見で締めくくられています。
以上の議論を総合すると、目先の業績指標や投資額の増大を理由にした株価の下落はあるものの、Amazonの長期的な成長力に対する強い期待感は依然として高く、むしろ割安に買える好機として捉える専門家が多いことがわかります。クラウド、広告、物流、さらにはAIや衛星事業などの新分野への積極的な投資により、将来的に収益基盤がさらに多角化する見通しだと考えられています。
【当サイト独自考察:日本市場への影響】
以下では、Amazonの決算内容や成長戦略が日本の各市場にどの程度影響を与えるかを、1~5の段階(数値が大きいほど強い影響)で評価し、その理由を詳しく説明いたします。
まず、クラウド事業(AWS)の拡大がもたらす日本のITセクターへの影響度は4/5と考えます。理由として、国内でもクラウドサービスの需要は高まり続けており、AWSが世界的に投資を拡大すれば、日本でもデータセンターやサーバー関連の設備投資が増える可能性があるためです。NTTや富士通など国内大手のクラウド・データセンター関連企業は競合でもありますが、最先端のクラウド技術普及が進めば周辺機器やサービスを提供する企業の業績も刺激されることが期待できます。ただし、AWSが市場を独占してしまうと国内勢には厳しい側面もあるため、国内企業が積極的にAWSのパートナーとなるか、あるいは独自のサービス強化を進められるかが鍵となります。
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