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中国の贅沢品ブーム終焉の理由(25年2月7日)

【動画】

【概要】
この動画では、過去20年間に急成長を遂げてきた中国の高級ブランド市場が、なぜ現在失速しているのかを解説しています。不動産市場の低迷による経済の減速、若年層の高い失業率、消費者の価値観の変化などが要因として挙げられ、LVMHをはじめとする欧州の高級ブランドが苦戦を強いられている状況を詳しく分析しています。

【話者のプロフィール】
陳珠琳(チェン・ジュリン)氏。35歳。元JPモルガン勤務。10年前からファッションとライフスタイルに関する情報を中国のSNSで発信し、影響力のあるブロガーとなる。2019年に独立し、当初はEコマースとライブコマース事業を展開。その後、若者の価値観の変化を察知し、現在はウェルネス関連のワークショップやイベント、リトリート事業を手がける。

【動画の結論・要点】(詳細は有料部分)

  • 中国の不動産危機により中間層の資産が目減りし、贅沢品消費が減退

  • 若年層の高失業率が高級ブランド消費を直撃

  • 消費者の価値観が「所有」から「体験」重視へシフト

  • 高品質な模倣品(デュープ)市場が急成長

  • 習近平主席の「共同富裕」政策により富裕層の消費も抑制的


【当サイト独自考察:日本市場への影響】(詳細は有料部分)

  • 中国人観光客の「爆買い」需要の更なる低下が予想され、百貨店・免税店への打撃

  • アジア地域でのマーケットシェア獲得競争が激化し、日本企業も巻き込まれる可能性

  • インド・中東・東南アジアへの注力により、日本市場の相対的な重要性が低下

  • スポーツ・アウトドアブランドへの需要シフトは、国内アパレルメーカーにもチャンス

【動画の詳細】
世界の高級ブランド市場は、この20年間で目覚ましい成長を遂げ、その市場規模はほぼ3倍に拡大しました。この成長を支えてきた最大の要因が中国市場の存在です。2023年の世界の高級品売上において、アジア地域は北米や西欧を上回る最大のシェアを占めていました。

とりわけ注目すべきは、2019年時点での中国人消費者の購買行動です。当時、中国人による高級ブランド商品の購入の約3分の2が、ロンドンやパリといった海外の都市で行われていました。これは、海外旅行時のショッピングが中国人消費者にとって重要な消費活動であったことを示しています。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって状況は劇的に変化します。国境封鎖により海外での購買が不可能となった結果、消費は中国国内に向かうことになりました。2020年から2023年にかけて、中国国内での高級品消費は急増し、高級ブランド業界の中国経済への依存度は一層深まりました。この時期、世界の高級ブランドメーカーは中国市場での展開を加速し、北京などの主要都市に次々と大型の旗艦店をオープンさせました。

ところが現在、中国の高級品市場は深刻な逆風に直面しています。その最大の要因が不動産市場の低迷です。中国では伝統的に不動産が資産形成の中心的な手段とされてきましたが、不動産価格の下落により多くの中間層の資産が大幅に目減りしています。これにより、かつて高級品の主要な購買層であった中間層の消費意欲が著しく低下しているのです。

さらに深刻な問題が、若年層の高い失業率です。動画で示されたデータによると、若年層の失業率(白線)は全体の失業率(金色の線)をはるかに上回っています。1990年以降に生まれた若い世代は、これまで高級ブランドの成長を支える重要な顧客層でしたが、現在、彼らの多くが就職難に直面し、高額商品への支出を控えざるを得ない状況に追い込まれています。

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