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がんとの闘いはファイザーにとって最優先課題 +独自検証 (25年2月10日)
【動画】
【概要】
この動画では、ファイザーががん治療を最優先課題と位置づけ、従来の化学療法に代わる新しい抗体医薬やAI(人工知能)による精密医療の研究開発に取り組む姿勢を示しています。医療関係者や専門家へのインタビューを通じて、がん治療の将来像や予測される成果を共有し、企業としての戦略的投資がどのように患者の利益とビジネス機会の両面において重要になるかを解説しています。
【話者のプロフィール】
アルバート・ブーラ(Albert Bourla)は、ファイザーの会長兼CEO。ギリシャ出身で、獣医師としての専門知識を持ち、2019年から現職に就任。COVID-19ワクチンの開発を成功に導き、世界的な評価を得た人物。
ロイド・マイナー(Lloyd Minor)は、スタンフォード大学医学部の学部長。精密医療(Precision Health)に焦点を当て、個々の患者に最適化された治療を推進。
マーティ・チャベス(Marty Chavez)は、かつてゴールドマン・サックスで要職を歴任し、現在はアルファベット(Alphabet)の取締役を務める。学生時代に生化学分野の研究に携わった経験を持ち、DeepMindのAlphaFold関連での技術に強い関心を示す。
【動画の結論・要点】(詳細は後述)
ファイザーはがん治療に対する投資を大幅に増やし、抗体薬物複合体(ADC)の研究を加速させている。
AI(人工知能)はがん研究や治療計画の最適化に寄与し、医薬品開発や個別化医療を大きく進展させると期待されている。
将来的には多くのがんが慢性疾患化するか、あるいは完全に治癒できる可能性が示唆されている。
ファイザーはCOVID-19で得た資金を再投資し、新薬開発や技術獲得によってビジネスチャンスを拡大しようとしている。
【動画の詳細】
ファイザーの会長兼CEOであるアルバート・ブーラ氏(Albert Bourla)は、COVID-19ワクチンで成功を収めた経験をがん治療分野に応用できると考えています。動画冒頭では、アメリカにおけるがんの新規診断件数が今後さらに増加し、2050年までに世界で年間3,000万人以上ががんを発症する可能性があると示されます。寿命が延びたことや環境要因、喫煙や飲酒などのリスク要因、そして診断技術の進歩がこの増加の背景にあるといいます。
ブーラ氏によれば、COVID-19ワクチン開発のように「不可能を可能にする」という意識改革が、がん治療の研究にも有効だと強調されています。実際、ファイザーは2023年に約430億ドルでセジェン(Seagen)を買収し、ADC(抗体薬物複合体)の開発に注力する姿勢を示しました。ADCは、がん細胞に特異的に結合する抗体と抗がん剤(化学療法薬)を結合させたものです。これにより、副作用を最小限にしつつ、がん細胞への効果を最大化する治療アプローチが期待されています。
動画の中で触れられている米国のがんの死亡率は、過去30年で34%減少しており、今後も下がり続ける可能性があります。NIH(米国国立衛生研究所)の推計によると、2040年にはがんの生存者が現在より44%増えて2,600万人を超えるとの予測です。ファイザーはADC技術をはじめ、多数の有望な治療法を開発中で、それらが順調に進めば慢性疾患化や完治が見込まれるがんが増える可能性があります。
また、AI(人工知能)との結び付きにも焦点が当てられています。AIが個々の患者の症状や腫瘍の性質を分析することで、より最適化された治療計画の立案が可能になり、従来の一律的な治療から精密医療への移行を加速できるといいます。スタンフォード大学医学部のロイド・マイナー学部長は、AIが巨大なデータから従来の人間の分析では見つけられない相関関係を発見し、がん治療をさらに進化させる可能性があると語っています。
ディープマインド(DeepMind)のAlphaFold(アルファフォールド)のようなタンパク質構造予測モデルは、その計算能力によってタンパク質の立体構造を従来より飛躍的に早く予測できるようになりました。これにより、医薬品開発の大幅なスピードアップが期待されています。マーティ・チャベス氏は、このモデルが非常に正確なタンパク質の構造推定を可能にし、創薬の基盤研究に革命をもたらしていると評価しています。
ファイザーの株価はCOVID-19ワクチンの成功で大きく上昇した後、パンデミックの収束や業績見通しの変化などを背景に近年下落傾向にあります。しかし同社は、がん治療の分野にCOVID-19関連で得た利益の2倍を投じているとされ、さらなる医薬品パイプライン(研究段階の新薬群)の充実を図っています。投資家の間では、買収したセジェンの技術力を核に、革新的ながん治療薬がどれほどの付加価値を生むかが注目されています。もしファイザーの研究開発が大きく実を結べば、患者にとっては寿命延伸と生活の質向上が期待でき、同時に株主にも大きなリターンをもたらす可能性があると動画では示唆されています。
さらにブーラ氏は、がんは家族や友人など周囲にも大きな影響を与える疾患であり、世界的に解決すべき課題だと強調します。高齢化や生活習慣の変化によって増加するがんをどう克服していくかは、企業や研究機関だけでなく社会全体の挑戦でもあるとの見解が示されています。ファイザーをはじめ、世界各国の企業・大学・研究機関が新技術を駆使して協力し合うことで、がんに対する理解と治療がさらに進むと期待されます。
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