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チップ戦争 + 解説 + 投資アイデア (25年2月17日)

【動画】

【概要】
この動画では、半導体大手のエヌビディアをめぐってインテルやAMDなどの競合が相次いで新製品を発表し、市場シェア争い(チップ戦争)が激化している様子を取り上げています。加えて、アプライドマテリアルズなどの製造装置メーカーが輸出規制などで収益見通しに影響を受けること、米国と中国の技術摩擦が各社の戦略にどう影響しているかも解説されています。

【動画の結論・要点】(詳細は後述)

  • エヌビディアは依然としてAIやデータセンター向け半導体市場のリーダーだが、インテルやAMDなどの競合も高性能チップを打ち出してシェア拡大を狙っている。

  • アプライドマテリアルズは輸出規制の影響で収益見通しを下方修正し、株価が一時的に下落。

  • 米国と中国の貿易摩擦や輸出規制が業界全体に不透明感をもたらしている。

  • ARM(アーム)による独自CPU開発やクラウド事業者の自社製チップ設計など、カスタムチップの動向が今後の焦点となる。

【動画の詳細】
本動画では、半導体業界における「チップ戦争」が一層激しさを増している状況について詳しく解説しています。まず、エヌビディアがAIやデータセンター向け半導体で依然として支配的な立場にあり、新しいGPU(画像処理用半導体)や専用のAIチップを投入することで高い演算性能を実現していると紹介されています。一方、インテル(Intel)は「Lunar Lake」という低電力消費を売りにした新アーキテクチャを開発し、40%もの省電力化を目指すと述べています。また、AMDは「MI 350」という製品で大幅な性能向上(従来比35倍)を謳っており、各社が競争的に新技術を打ち出している様子がうかがえます。

しかし、アナリストたちは「エヌビディアと競合各社の差が本当に縮まるかは不透明」としており、実際にはソフトウェアやエコシステムを含めた総合力でエヌビディアが優位に立っていると指摘しています。さらに、インテルのファウンドリ(半導体受託生産)事業や、TSMC(ティーエスエムシー)・Samsungなどの製造能力への依存関係も複雑化しており、企業同士の提携や生産戦略が市場を左右する要因になっています。

次に、アプライドマテリアルズ(Applied Materials)などの製造装置メーカーは、米国政府が実施した対中輸出規制の影響で業績予測を下方修正せざるを得ない状況にあると解説されました。2025会計年度には、輸出制限による売上減が4億ドル規模に達すると見られ、これが株価下落につながっています。製造装置分野はTSMCやSamsungなど多くの世界的半導体企業にとって不可欠なため、米中間の緊張や関税問題が業界全体へ波及し、株価が変動しやすいと指摘されています。

また、ARMが独自のCPU(中央演算処理装置)開発に乗り出し、メタがデータセンター用チップとして導入を検討しているとの報道に触れ、これによってインテルやAMDの市場シェアが脅かされる可能性があると分析されています。ARMはこれまでチップ設計のライセンス提供を主な事業としてきたものの、クラウドサービス大手などからの需要が大きくなれば、コンピューティング分野の新たな主役となる潜在力を持つと期待されています。

ただし、ARMがフル機能のCPUを自社で提供することは、既存の顧客企業との競合を招くリスクでもあると指摘されています。特に、AppleやQualcommなどARMのアーキテクチャを活用してきた企業との利害関係が複雑化する可能性があり、その動向が長期的な半導体市場の勢力図を左右する要因になるという見解が示されました。

さらに、台湾半導体大手TSMCは1月に発生した地震によるウエハー(半導体を作る薄い円盤)廃棄で1億6000万ドル超の損失を被ったと述べていますが、総合的な生産設備へのダメージは軽微であり、2025年通年の売上高目標や高額な投資計画(約420億ドル規模)は維持される見通しと説明されました。これに関連して、米国企業が新たな自社チップを生産する際、TSMCへの製造委託(ファブレス+ファウンドリのモデル)が引き続き中心になるとのコメントも挙げられています。

一方、スーパー・マイクロ・コンピュータ(Super Micro Computer)はAI向けデータセンターサーバーや液冷システムの開発で注目され、エヌビディア製の最先端GPUを活用したソリューションの提供を強化しています。ただし、監査や会計報告の遅延、あるいは報道機関からの調査で指摘された会計上の不透明性が市場に不信感を与え、株価の乱高下を引き起こしていると解説されています。今後の会計監査の結果次第で、エヌビディアの主要パートナー企業としての地位をより安定させられるかどうかが焦点となりそうです。

最後に、米中摩擦や輸出規制の強化は、エヌビディアやインテルといった米国メーカーの市場チャンスを拡大する一方で、中国市場を失うリスクや関税・規制強化による調達コスト増加などの悪影響も無視できません。ただ、現時点では世界的なAI需要が非常に強いため、各社とも引き続き積極的な投資やR&D(研究開発)を行い、メタ、マイクロソフト、アルファベットなどのクラウド・SNS大手も新たなチップ開発や大規模設備投資を進めています。こうした動向が今後数年にわたる半導体需要を下支えし、株式市場では半導体関連銘柄が高い注目を集めるとされています。

【解説】

  • GPU(画像処理用半導体)
    もともとは画像処理に特化したチップだが、AIの大量計算にも向いているため、近年はAIのトレーニング(学習処理)用途で特に需要が増えている。

  • ファウンドリ
    半導体を受託製造する企業や工場のこと。自社で設計だけを行い、製造はファウンドリに委託するスタイルを「ファブレス」と呼ぶ。

  • CPU
    コンピュータやサーバーの中核的な演算装置。GPUや専用チップとの連携が必要で、全体の性能を支える重要な役割を担う。

  • カスタムチップ
    アマゾンやマイクロソフトなど、クラウド事業を営む大企業が自社専用に設計して製造させるチップ。コスト削減や演算効率向上を目的に急速に普及している。

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