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ヘッジファンドはテクニカル分析をどう考えているのか?+独自検証

【動画】

【概要】
この動画では、4名の元ヘッジファンドマネージャーや機関投資家などの発言を通じて、ヘッジファンドがテクニカル分析をどのように活用しているのか、あるいはどのように否定しているのかを探っています。

【話者のプロフィール】

  • Corvin Codurla:元ヘッジファンドマネージャーで、JP Morgan(JPモルガン)のシステマティックトレーダーとしても活躍。ルールベースの手法を重視し、定量的な検証を経たトレードを好む。

  • David Paul:VectorVest(ベクトルベスト)のマネージングディレクター兼トレーダー。個人投資家がストップロスを置く位置を狙うように見える“大口の動き”を解説しつつ、正しいエントリーポイントと損切り設定の重要性を主張。

  • Mark:複数の小規模ヘッジファンドと協働経験を持つアルゴリズムトレーダー。大手ファンドは大口資金ゆえにテクニカル分析の細部を気にしづらいが、小規模ファンドではサポートやレジスタンスを一部考慮する場合があると語る。

  • Andre:Citizens Business Bank(シティズンズ・ビジネス・バンク)のシニアポートフォリオマネージャー。長期的視点のトレードを行うため、狭いストップロス設定が個人投資家の利益を削っていると考え、ある程度幅を持たせる戦略を推奨。

【動画の結論・要点】(詳細は後述)

  • ヘッジファンドによってテクニカル分析に対するスタンスは大きく異なる。

  • 流動性が高い大手ファンドは、サポートやレジスタンスを細かくは意識しないことが多い。

  • 小規模ファンドや裁量トレーダーは、テクニカル指標やストップの位置を取引タイミングに組み込む場合がある。

  • ストップロスを狭く設定すると、意図的か否かを問わず“大口”に刈り取られやすいという指摘がある。

  • 自分の手法が収益を上げられているなら、それはそれで正解と考える風潮も根強い。

【動画の詳細】
動画では、まずヘッジファンド全体としてテクニカル分析を「好む派」と「好まない派」に大別できると説明しています。テクニカル分析を支持する派は、チャートパターン(例:ヘッドアンドショルダーやサポート・レジスタンスなど)が売買の重要なサインになると考えています。一方で、そうしたパターンを「再現性が検証しづらい曖昧な線や形に過ぎない」と見なし、あまり重視しない派もいるとのことです。

特に大手のヘッジファンドになるほど、扱う資金量が膨大であるため、テクニカル分析だけでは合理的な売買が難しくなると指摘されています。大手はマーケットの流動性を考慮しなければならず、チャート上の細かなラインがどう動こうとも、最終的には大規模な資金の出し入れで価格を動かすためです。そうしたファンドでは、別の情報源やファンダメンタルズ分析を重視している例が多いといいます。

一方、小規模のヘッジファンドや裁量トレーダーでは、サポートやレジスタンス、移動平均線といったテクニカル要素が実際のエントリーやエグジットの補助指標として使われる場合があると紹介されています。彼らは資金量がそれほど大きくないので、テクニカルのポイントを活用して少しでも有利な価格で約定しようとするのです。

また、ストップロスの考え方については、多くの個人投資家が「直近の安値や高値の直下・直上」に設定するため、そこを狙う動きが起きやすいという見方が示されました。機関投資家側も止むを得ず大口注文を入れる際、個人のストップロスが集中するレベルに注文が重なり、結果として多くの個人が刈り取られるケースがあります。これを一般に「ストップ狩り」と呼ぶことはあるものの、必ずしも陰謀的に狙われているわけではなく、機関の資金量の大きさゆえに必要な流動性をそこから得ざるを得ない状況が生じるとの説明でした。

さらに、長期志向の投資家から見ると、あまりに狭いストップロスを設けることが損失を繰り返す主原因になり得ると指摘されています。トレードの方向性が正しくても、一時的な価格の逆行であっさり弾き出されることが多いためです。自分の戦略やマーケット観に相応の自信があるのなら、多少の値幅のブレに耐えられるストップ設定を行ったほうが、利益を得やすい可能性があると動画内では示唆されています。

最終的に、ヘッジファンドがテクニカル分析を全面的に否定するわけでもなく、全面的に礼賛するわけでもなく、「使い方次第」「ルールベースで検証可能かどうか」「ファンドの規模や投資手法に合うかどうか」で判断するとの結論が動画全体を通して語られています。機関投資家と個人投資家との間には資金量と流動性の面で大きなギャップがあり、そのギャップをどう埋めるかがテクニカル分析活用のポイントだという教訓を示しているといえます。

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