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イギリスの修士課程振り返り
この時期はイギリスで修士課程をスタートする方もいると思うので、少し自分の経験を振り返りたい。私は2021年9月にロンドンにある大学の修士課程に入学し、Political Economy of Development(開発における政治経済学)を専門に学んだ。新卒で入った会社には10年ちょっといたが、仕事を通じて政治経済学に関心を持ち、体系的に勉強したいと考えたことがきっかけだ。
授業の様子
イギリスの修士課程は1年で終わるところが多い。1年で学位を取れるのは魅力的である一方、8ヶ月で授業を終え、残りの4ヶ月で修論を完成させるという忙しいスケジュールになる。私のいた大学は、Term1(9月から12月)で4コマの授業を取る。1コマにつき大教室でのseminarとtutorialがあり、1週間に8コマある計算になる。Term2(1月から4月)も同様だ。
入学する前の情報収集で聞いてはいたが、seminar前に読まなければならないreadingとして1コマにつき数本の論文があり、合計でたっぷり100ページ分はある。またtutorial前にも課題がある。それが4コマ分あるので、準備にかけなければならない時間は膨大だ。また並行してessayの課題もあり、毎週授業の準備に加えて課題をこなさなければならなかった。
seminarはreadingを読んだ上で、内容を要約し、自分の考えをまとめておく必要がある。私は最初、大教室の授業で当てられてreadingの内容を要約するよう言われたのだがうまく答えられず、とても悔しい思いをした。それ以降は論文の内容をノートにまとめ、想定質問と回答を準備するという方法で準備した。
tutorialは博士課程の学生がついて、1クラス10人ほどで討論する。tutorにもよるが、毎回決められたテーマに関してディベートをする方式もあれば、学生がプレゼンする方式もある。こちらも準備は大変だったが、英語話者が8割いるクラスで発表の仕方を学ぶ良い練習となった。また同じtutorialの学生たちとは仲良くなって、ランチや飲み会に行ったこともいい思い出になった。
修論
term1からsupervisorの選定や修論計画の提出など修論の準備を進める。4月から5月にかけてessayとtestが終わった後、本格的に修論執筆の時期になる。私たちのコースでは、5月から7月にかけて毎週1回、教授とのミーティングを設定し、指導を受ける。
私の教授はコースの中でも最も厳しいと有名な教授で、毎回のミーティングで「次までにこの本とこの本とこの本を読んでおいてね」と言われ、悲鳴を上げながら図書館に走る感じだった。修論計画も相当ダメ出しを食らった上に3回提出しなおしたのだが、見直した後の計画を説明した後、教授が「それは良い視点だ。きっと良い論文になるから期待している」と言ってくれた。やっている間は必死だったけれど、この修論を書くプロセスは修士課程の中で最も楽しい時期だったと思う。
やっておいて良かったこと
①有志の勉強会への参加
term1、term2で取っていた選択科目では、有志で勉強会をやっていた。seminarの前に図書館に集まり、readingの内容を共有して授業の準備をするのがメインだ。特にreadingが多い場合は一人で全部読みきれないので、事前に分担して内容を教え合っていた。またessayの前にはwhatsappのグループで質問し、わかる人が回答するということをやっていた。
最初は英語力に不安を抱えていたので、勉強会に入ってもついていけるのかわからなかったのだけど、思い切って加わったらなんとかなるものだと思った。また日本経済や金融については私に質問が来ることもあって、つたないながらも答えることで、ちょっとは貢献できたのではないかと思う。
②supervisorとの早めの連絡
修論のテーマは入学前から決まっていたので、そのテーマに最も詳しいsupervisorにはterm1からメールを送り、修論を見てほしいと伝えていた。それが功を奏したのかはわからないけど、希望通りその教授がsupervisorになってくれた。
やっておけば良かったこと
①運動や散歩など健康管理
授業準備や課題で忙しくなり、運動する時間があまり取れなかったのは良くなかった。12月になって改心し、puregymという比較的安めのジムに通うようになった。また週に1回は1時間から2時間ほどの散歩をするように心がけた。よく歩いたのは、セントポールからテムズ川を歩き、ビッグベンとウェストミンスターを見て、寮まで帰るというコース。時によってはEast LondonやKensintonの方まで歩き、バスに乗って帰ってくることもしていた。ロンドンは街ごとに歴史と新しさがあり、どれだけ歩いても飽きなかった。
②暮らしやすい寮を選ぶこと
最初に入った寮は、学部生と大学院生が両方暮らすタイプだったのだが、20歳前後の若い学部生は夜遅くまでお酒を飲むし、マリファナを吸う子もいるし、それで深夜に管理人に怒られる騒ぎが発生するしで、なかなかにぎやかな寮生活となってしまった。途中で大学院生専用の寮に移ったところ、食事スペースでのんびり会話しながらごはんを食べるということができるし、夜遅くまで静かに勉強できるし、ずっと快適だった。もし寮を選ぶ場合は、よく口コミなどを確認して選ぶことをお勧めする。
費用について
2021年時点で、学費は約20,000ポンド(当時のレートで320万円くらい)。寮費が9,600ポンド(150万円くらい)。学費についてはそれまでの資産運用でカバーすることができた。ただイギリスの大学の学費は年々上がっているし、また近年の円安もあり、これから行く場合はもっと負担が大きくなる可能性がある。