新しい『音MAD×○○』の模索

この記事は音MAD Advent Calendar 2022
参加していると伝えられる伝説の記事です。


こんにちは。音MAD界隈のセクシー担当、大腸菌デリバリーサービスです。

最近の音MADの映像って静止画MADやクオリティの高い商業MV(っていう表現で合ってるのかな…?)などをリファレンスにした物が増えて来てますよね。
手描きアニメーションやLive2D、BlenderやMayaなどによる3Dも積極的に取り入れられクオリティのインフレが凄いなぁと感じています。

しかし、これに付いて行ける人間が多いとはなかなか言い難いとも感じており、なんなら自分もついて行けない側の人間なのでどうにか編集コストをかけずに音MADには余り無い映像体験を作って目新しく感じさせたいなと最近思うようになりました。何より趣味なので気軽な方が良いですよね。
その為には他の人が着目しない、まだあまり手が付けられていない物にリファレンス元を変えるのが手っ取り早いんじゃないかなぁと思い至りました。

音MADは映像ジャンルとしては比較的カオスな物が作れる土壌があるんじゃないかと考えております。
ということは、何も静止画MADや商業MVだけがリファレンスである必要は無いのでは?
と言う訳でこの記事では『音MAD×音MADではあまり見ない表現』を探していこうと思います!


音MAD×身の回りの風景

皆さんは身の回りの風景を写真や動画に納める事ってありますか?
自分はたまに出先で面白い建物や良い風景、デザインが良い看板とかをスマホで撮ったりするのですが、自身で撮影した写真や動画を挿入するのは下車MADではよく見かけますがその他大多数の音MADではまだ少ない表現なんじゃないでしょうか?
と言う訳で用例を見ていきましょう。

スタイリッシュな表現だとこの動画の18:01~が良いですね。

モノクロトーンな電車の車窓からの景色に中央にテキストボックスと言ったシンプルな構成でありながらラグトレインの雰囲気とマッチしており、かつラグトレインMADのテンプレートから外れた構成で新鮮です。あと自主撮影素材での表現とは関係無いのですが、その後に手描きノルマを達成しつつZ軸を取り入れた表現をしているのも「ただテンプレの構成をなぞるだけにはしないぞ」という気概を感じられて良いですね。
自分はテンプレとかノルマがあまり好きではないのでこういった素直にテンプレをなぞらない動画が好きです。

牧歌的な雰囲気だとこの動画が良いですね。

画面の中を所狭しと音MAD素材達がわちゃわちゃ動き回ってて愉快ですね。
こんなにバラバラの素材なのに、まるで一つの世界で暮らしているかの様な一体感。私的オールスターと言えばYTPMV的な構成をよく見かけますが、これは稀な構成ですね。

音MADタグ付いてないけどこれも紹介しちゃえ。

この動画はどういう順番でこの構成になったのかは分かりませんが、おそらく取り敢えず動画を撮影して、そこから発想を膨らませたんじゃないかなぁと思います。いや伊尻さんなら逆でも驚かないな……
それは一旦置いといて…取り敢えず「良い景色だったから」とか「面白い光景だったから」という理由で撮った写真や動画から逆に発想を膨らませて、それに合う素材や曲を選ぶ、という作り方も面白いかもしれませんね。

音MAD×身の回りの風景 まとめ

この表現の利点は自分で構図やアングルを考えられる点です。
もちろんネットに落ちてる適当な素材でも良いとは思いますが自分で「この風景だとあそこにあのキャラを立たせて~」とか「ここにテキスト表示するスペース欲しいから中心を若干ずらして~」とか考えながら撮影をするのは映像ソフトで作る映像とはまた違った楽しさがあるのではないでしょうか?

注意点としてはあんまり近所ばっかで撮影してると住んでる地域を特定されちゃう事ですね。自分も後々この構成は使いたいと思ってるので出先とか旅行先で撮りたい。


音MAD×電飾

煌びやかで美しい電飾。しかし、一口に電飾と言っても様々な種類が存在し、雰囲気も異なってきます。という事はリファレンスとしての幅も拡がるってぇモンよ!っしゃ観ていくぞ!

ネオンサイン

ネオン管による文字や装飾。サイバーパンクな感じだったりシティポップ感を出したい時にもってこいな表現ですね。ぶっちゃけこれは音MADの映像などでもよく見かける気がするので適当に流します。

どの音MADで使われてるかをパッと思い浮かばなかったけど割と使われてる気がする

電球文字

電球を並べて文字や図形を表現するタイプの装飾。
音MADで使われてる例なのですが自分の拙過ぎ作で我慢して下さい。

ちなみにこのリファレンスは少女☆歌劇レヴュースタァライトのこのシーンです。

世界一カッコイイ主人公愛城華恋さん

電球の電飾はネオンサインに比べてインパクトが強くパターン点滅の表現にも幅があるので自由度の高い表現が出来ると思います。
ただ、この表現は電球としての図形オブジェクトを配置するのが大変なのが難点です。特に電球文字を作るのは淡々と作業するのが嫌いな人にはオススメしないですね。自分は楽しめましたが…
装飾としてパターン点滅させるだけなら点滅移動を駆使すればそんなに面倒くさくないし難しい技術も必要無いのでオススメです。

デコトラ

上2つのハイブリッドです。
それぞれはそんなに難しい動きをしてないのにこれだけ重なると圧巻されますね。これを真似するのはしんど過ぎるので自分は使われてる光の色使いの組み合わせとかを参考にしてます。
あと単純なパターンを組み合わせて魅せるは映像を作る上でも大事な考え方だと思うのでそういう所でも参考になると思います。

音MAD×電飾 まとめ

他にもパチンコの台なども紹介したかったのですが朕がその道に明るくないのでご紹介する事が出来ませんでした。
あと、ライブなどに用いられるドでかスクリーンっぽい表現もAviUtlだとドット化スクリプトとグローをかければ再現出来ます。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm40111172

皆さんも是非キラキラチカチカな映像を作ってみてはいかがでしょうか?


音MAD×コミック

ここで紹介するコミックは日本の漫画ではありません。
日本の漫画的表現を映像として落とし込むのは静止画MADからの流れでやりつくされてますからね。
ここで紹介させて頂きたいのはアメコミバンド・デシネといった海外のコミックです。

でも、国が変わろうがコミックはコミックだろ…
映像に落とし込んだ時に変わりなんて出るか…?

そう思っていませんか?

東映版スパイダーマンが制作されるキッカケを作ったマーベルの代理人、
ジーンペルク氏はアメコミと日本の漫画の違いをこう語っています。

アメリカのマンガは読む物、日本のマンガは見る物だ。
アメリカでは絵本の様に1つの絵に対して3つ4つの吹き出しがあるのが普通だ。
日本のマンガは動きで表現する。絵コンテみたいに流れていく。

マーベル616:第1話

こういったそれぞれの性質を理解しておく事によって、コミック的な表現をするにしても幅を広げられたり、より効果的に演出する事が出来る様になるのではないでしょうか?知らんけど。

アメコミ

上記の通り、アメコミは文字量がとても多いです。
そして大きな特徴としては日本の漫画で用いられる動きを表す効果線などがアメコミにはありません。多分。
自分は一時期アメコミを集めてたのですが自分が持ってるアメコミにはそういった表現がほぼ無くて、どのコマも写真で撮ったような止め絵ばかりです。
音MADで使用される素材には実写素材であったりアニメやソシャゲの立ち絵など、あまり動きの効果線が入ってない物があると思います。
そういう素材などはアメコミのコマ割りを参考にしてみるのも面白いかもしれません。何より日本の漫画的な表現をするとどうしてもコマ数を増やさなければ吹き出し数も増やせない、つまりセリフパートの尺を稼げないのでアメコミ的な表現だと少ないカット数で長尺を稼げる事が見込めます。

あとこれは映像のアイデアとかではないんですがアメコミMADもっと増えて欲しい。デッドプールとかコミカルなのでちょくちょく見かけますがもっと観てぇ~~~~~

バンド・デシネ

フランスやベルギーの地域のコミックをバンド・デシネと呼ぶそうです。
アメコミ同様文字数が多いタイプのコミックです。
アーティスティックな雰囲気な作品が多く、一コマ一コマ美しい絵画の様なイラストが描かれている作品も見られます。

『ムチャチョ―ある少年の革命』 エマニュエル・ルパージュ作

素材にあまりポップさやコミカルさが無いシリアスな素材にセリフ合わせのテキストを入れたい場合は従来だとシネスコ比にして黒くなってる所にしねきゃぷしょんなどのフォントでテキストを置くのとかが主流でしたがバンド・デシネの雰囲気を取り入れると新鮮かつお洒落かもしれません。

音MAD×コミック まとめ

大雑把にアメコミやバンド・デシネと括りましたがこれらのコミックは日本の漫画と違い基本的に全ページカラーなので作者によって写実的だったりポップだったりと作風に大きな幅があるので色々自分の好きな作風の物を探してみると面白い思います。
ちなみに自分のオススメのアメコミはグウェンプールです。

日本人のコンビ作家グリヒル氏が描いてるポップでキュートな作品です

あと逆に日本の漫画っぽさを強調したいなら動きの効果線や衝撃のエフェクトなどの漫画らしい物を追加すればより日本の漫画っぽくなると思います。


音MAD×アート

広義だと色々アートに含まれちゃいそうなんですが一応ニュアンスとしてふんわりとした括りとしてアートで括ってます。

グラフィティアート

治安の悪い地域の壁とかシャッターにされてる落書きを思い浮かべて頂けると想像しやすいですかね。もちろんちゃんと他人の権利を侵害しない形でアートとして昇華してるライターの方々もいるのですが。
ちなみに自分はグラフィティアート、すごく好きです。
色の組み合わせや文字の詰め方、厚みの演出など凄く参考になります。

https://artsupplyguide.co.uk/graffiti-vs-street-art
https://www.wabe.org/an-examination-of-the-cultural-and-historic-phenomenon-of-graffiti-artwork-in-emory-exhibit/

ロシア構成主義

こちらは四角さんに教えて頂いたアートジャンルのロシア構成主義です。

アレクサンドル・ロドチェンコ「Books (The Advertisement Poster for the Lengiz Publishing House) 」(1924)
エル・リシツキー「Beat the Whites with the Red Wedge」(1920年)

抽象的で幾何学的な構成が目を引きますね。
映像に図形オブジェクトを用いたい時によくどんな形でどんなレイアウトにすれば良いのか迷うのですが、参考になりそうです。
ロシア構成主義を取り入れたYTPMVとかぜひ観てみたい。

音MAD×アート まとめ

やはりアートと名乗るだけあり、デザイン性が凄く参考になりますね。
もっと自分が芸術に明るければ良かったのですが…
これを機に美術館とか行ってみようかな…


音MAD×海外時事ニュース

おそらく普段観る事は無いと思うんですが海外の国際情勢や時事のニュースって中々良いデザインしてますね。こちらKaikityouさんから教えて頂きました。

https://edition.cnn.com/

上のと同じで申し訳ないんですがこの動画の16分49秒~がとても再現度が高いかつ音MADとしても上手く落とし込まれていますね。

この合作、クソ内輪合作のクセに参考になる所多いな。

音MAD×海外時事ニュース まとめ

政歴MADとか作る時に役立っている事が多いのですが下記の動画の様に強引に政歴MADの雰囲気を持たせる際にも使えます。

あと純粋にオブジェクトの配置の仕方とかバランスも政歴MADとか関係無しに参考になります。


終わりに

色々見てみましたがいかがだったでしょうか。

これで皆さんも楽して新鮮な音MADの映像を作れるようになったでしょうか?

音MADに限らずアイデアは意外な所に潜んでいるのかもしれませんね。







もしかしたら、次にリファレンスにされるのは…







あなたかもしれません。












~Fin~








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