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#025 自治体の観光部門のリーダーは顧客(観光客)の理解が必須要件

皆さん、こんにちは。
今回は、自治体からDMOに出向している立場の私が感じている自治体の観光部門のリーダーの必須要件について、掘り下げます。

自治体の管理職は、1年から3年のスパンで異動することになりますが、中には、まったく経験したことがない部門に着任することもあります。

課長ともなると、市民の代表の議員やマスコミの対応が、中心業務となり、異動当日に、全然、知らない分野について、マスコミから質問を受けることもあります。

マスコミから聞かれることも、観光分野の場合、自分達の観光事業のことから、統計データ、顧客ニーズまで幅広いことが特徴です。他の部門に比べて事業数も多く、覚えなければなことが多岐にわたります。

その中でも、私が、自治体の観光部門のリーダーに必要だと感じているは、顧客(観光客)の理解です。

なぜ、顧客理解が必要になるのでしょうか。

それは、観光は、あくまでも地域経済の活性化の手段であり、国内外からのプロモーションにしろ、体験型観光プログラムの開発支援にしろ、ターゲット市場の顧客が、世界中の観光地から、なぜ、その地域を選んでいるか、その地域に来て、どんな体験をしたいのかを知ることなしには、筋の良い観光事業をつくれないからです。

自治体の観光事業の方法等の意思決定は、ボトムアップ型であることが多いです。前年度の事業を参考に、担当者が、観光庁やJNTO(日本政府観光局)、観光統計等を参考に、組み立てた事業について、事業の内容ややり方等をリーダーが意思決定する流れになります。

観光部門のリーダーの大きな役割の1つが、自治体事業が、顧客から地域が選ばれる理由をつくる活動となっているか判断することです。当然、顧客を無視した事業では成果を出せないことになります。

リーダーは、担当者が考えた事業と顧客ニーズのギャップを埋める指示を担当者に出す必要があります。

顧客理解は、地域を訪れる観光客と話をした経験や宿泊の動向や観光客の興味関心を踏まえ、仮説を立て、プロモーションやコンテンツ造成を行い、仮説が当たっていたかどうかを含め効果検証・事業見直しを繰り返す経験の中で、培っていくものになります。

自治体の観光部門のリーダーも、観光客の理解は、まだまだでも、明らかに、担当者より、理解できている人がいます。自治体の議員です。自治体の場合、議会対応は、課長の業務となっていることが多いため、通常課長が議員の要望等を直接聞くことになります。

ですので、通常、課長のほうが担当者より顧客理解ができていることになります。
担当者と課長の打ち合わせについても、顧客理解ができている課長から、「議員さんのニュアンスは、こっちの方なんだよね。」っと、担当者に事業の内容について修正指示を出すことができます。

ただ、ここで問題が1つあります。

その議員が観光客のことを理解できていない場合は、また、市場から乖離した事業になってしまう可能性があります。

議員の主張が間違っている場合は、データ等の根拠を示しながら、なぜ、Aのやり方でなくBのやり方の方が効果が見込めるのか説明する必要がでてきます。

いずれにしても、自治体の観光部門のリーダーは、顧客理解ができている人が担うの理想です。

ここで、着任したてのリーダーが顧客理解ができるまでの間、どう観光事業の意思決定をすれば良いのかとの疑問が生まれます。

私の考えでは、観光事業を考えた担当者に、事業を組み立てたプロセスと根拠を丁寧に確認するしかないと考えています。インバウンド誘客のための事業であれば、次のような質問が想定されます。

・どこの市場のどういうターゲットを対象にした事業なのか?
・ターゲット顧客は、どういう理由で自分達の地域を選んでくれているか?
・ターゲット顧客は、どんな媒体を見て、自分達の地域を訪れることを決断したのか?
・そのターゲット顧客を選んで理由は?
・そう判断した根拠(データ)は何か?
・そもそも、ターゲット顧客を理解するために、どんなプロセスを踏んだか?

最終的には、観光プロモーション等の市場活動については、人事異動がない、DMOに担ってもらえるように、地域で調整を行うことが理想ですが、そうなっていない場合は、リーダーが顧客理解に努めるか、顧客のことを考えた事業になっているか確認をしていくしかありません。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
では、また!





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