世間よりちょっとだけ時間軸のレンジを伸ばして勝負する
カードゲームには面白い法則が存在する。
デッキにはそれぞれ短期決戦、中期戦、長期戦と得意なレンジがあるのだが、「自分より少しだけ長期戦指向のデッキの方が有利」なのだ。
つまり、こんな感じで、ジャンケンの法則が成り立っている。
「参加者たちはどこの時間レンジに焦点を当ててデッキを組んでくるんだろう?」という環境を読み切ることが、大会の入賞には重要な要素だ。
で、同じような話はキャリアにも言えると思う。転職市場がバブルになり、タイパが叫ばれている環境では、長期的目線で積み上げてゆくスキルの市場がポッカリ空いているのだ。
「世の中の多数派よりも少しだけ長期の目線」というのが他との差別化に繋がると思う。
私自身は転職の予定はないが、このチャンネルを時々見ている。
何に惹かれているかというと、このチャンネルをやっている小林さんの仕事への取り組み方である。
転職支援を生業としているのだが、「許可が出れば面接の場に自分も同席して、自分のクライアントが面接を受けている様子を横で聞く」とか、「転職して1ヶ月後にランチをするようにしている」など、一般のエージェントがやらないような取り組みまでやっている。
自分が担当している間に転職が決まったら終わりではなく、その人の人生全体としてキャリア形成が上手くいくことを意識しているから、転職後のフォローという発想が出てくるのだろう。
大抵の人間は転職して1ヶ月もしたら現実にぶち当たり、こんなはずじゃなかったと悩む。そこで本当に転職先の職場がダメなのか、自分の頑張りが足りてないだけなのかを客観的な立場から意見をくれる人間は貴重な存在だ。
また、面接への同席も、やり取りを横で聞いていれば、どの受け答えが良くて何がダメだったのかが正確に把握できる。
同席が許されない時は、面接直後にすぐ反応を聞けるように待機しているらしい。待機時間が長ければ長くなるほど「企業側も採用に前向きなんだろうなぁ」と思って嬉しくなるそうだ。
面接における生の声を集めるのは、他の転職者支援の時にも生きる。一つ一つの案件を味わい尽くして、一つでも多くのものを得ようとする姿勢には頭が下がる。
転職エージェント界隈で、短期的な成約手数料を追いかける人間が増えれば増えるほどその良さが際立ち、信頼して人が流れ込んでくるだろう。
ビジネス本の世界でも、最初はライトな内容のものが好まれていたのが、徐々に人々の学習が進んできて、より専門的で重い内容のものが好まれるようになってきているという。
日本人全体だと分からないが、本を読むようなリテラシー高めの層は、時間の経過とともに成熟が進む。そこで書き手としては「成熟のその先」へポジションを取っておくのが有効ということだろう。
ただし、このポジショニングは自分自身が成長を続けていないとできない。思考の射程範囲が伸びないと、「よりライトな層」にリーチするしか選択肢がなくなってしまう。こちらは参入障壁が低いので過当競争になりやすい。
社会全体を巻き込んだポジション争い、あなたはどのように向き合うだろうか。