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50代のベテラン社員が異動した途端に大活躍している話
私の隣の席で仕事をしていた50代の大ベテランの先輩が異動した。
私の部署の仕事内容はシステム企画。SEの人たちに「こんなシステムを作ってほしい」と方針を示す仕事である。
ユーザー部門とシステム部門の間に立つので、ユーザーからの要望を断ったり、システム担当者に設計変更の無理なお願いをすることもある。要するに板挟みになることが多い役回りなのである。
ベテランの先輩の異動先はユーザー部門。なので、私とベテラン先輩は今度は相対する担当者として引き続き仕事をすることになった。
そこからのベテラン先輩の獅子奮迅ぶりがすごかった。
システムの仕組みが分かっているので、ユーザー部門の実態と照らし合わせ、ボトルネックになっている部分を即座に見抜き、私に対してバンバン提案してくる。
裏も表も知り尽くしているので、前提を喋る必要もなく、いきなり本題から話が始まる。提案内容も事務品質を上げることにつながる本質を捉えたものばかりだ。
イメージ的には5行ぐらいのメールを2,3通やりとりしただけで、改善策と実行手順が決まる感じだ。
私もこの仕事はそれなりの年数やっているので、実現にあたっての予算捻出方法などは心得ている。
ちょっとだけ具体的な話を書くと、外部委託の一種に「ここまでのサービス範囲内なら追加料金はいただきません」という包括委託契約というものがある。
ここの範囲内に収まるように工夫してちょっと変更してもらうなど、さまざまな手法を駆使しながら、ベテラン先輩の構想を次々に実現していった。
このベテラン先輩は私のいる部署に15年も在籍していたのだが、異動が発表された際には「いなくなるのは困る!」という声が多かった。(ノウハウは私を含めた数人で分割して引き継いだので、ようやく今回の異動に踏み切れた)
しかし、鋭い提案を形にしていくうちに「うちの部署に縛りつけることで、ベテラン先輩のポテンシャルを抑え込んでしまっていたのかもしれない」と思うようになった。
異動発表直後のベテラン先輩は本当に嬉しそうな顔をしていたが、きっとこのような未来が見えて使命感に燃えていたのだろう。
どうやら大企業は人材調達に便利な新卒一括採用を辞めるつもりはなくて、代わりに早期退職をガンガン進めていく方針のようだ。60歳以降の再雇用はゆくゆくはお飾り制度になる可能性が高い。
50代のベテラン社員はまさに早期退職のターゲットになる層だが、異動一つでこれだけ活躍できるポテンシャルがある人もいる。
自分の晩年もこうでありたいなぁ、と思う一場面だった。