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栃木の山奥で自給自足生活!「エコヴィレッジみより」の20年奮闘記
はじめまして!私たち七田ファミリーは、栃木県の北のはずれの山の中の「エコヴィレッジみより」に住む父と母と子ども4人の6人家族です。
山を切り開き、古材を使った家を建て、なるべく食料やエネルギーを自給してゴミも出さない、SDGsを先取りするような生活を20年間にわたって模索してきました。その経験ととりくみを紹介していきます。
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右の成人男性はお笑い芸人の竹田高利さん。
ロケーション
栃木県の日光市は日光東照宮で有名ですが、それよりも鬼怒川温泉に近いエリア、ほぼ福島県との県境にあります。冬には雪が1メートル積もることもあるエリアです。
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最寄駅は野岩鉄道の中三依温泉駅。駅から2キロほどあります。意外にも交通の便はよく、東京都の北千住駅より東武鉄道の「特急リバティ会津」に乗れば、直通で2.5時間ほどで来れます。
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無人駅の中三依温泉駅を降りると、写真のような風景が広がっています。三依は人口が500人ほどの小さな村です。
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山にはクマやサルやシカがいて、豊かな自然環境です。渓流ではイワナやヤマメなどの、綺麗な川にしか住まない魚を釣ることができます。
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そしてそんな山の中に、「エコヴィレッジみより」はあります。樹齢100年以上の太いブナの木々に囲まれていくつかの建築物が建っています。
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家の前には畑が広がっています。写真に写っているのはソバの花。大きな木々に囲まれている家が見えるでしょう。
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しかし今から20年前には、何もないただの森と笹の生えた草はらが広がっていました。ここを自分たちの手で開拓をしながら、今の形に変えてきたのです。
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元々はバリバリの都市生活者。30代で一転してサバイバル生活。
父と母は元々は都会っ子で、このようなサバイバル生活には縁もゆかりもない生活をおくっていました。
父は横浜市出身で、20代のころにはデザイン雑誌の編集者をしていました。
母は千葉市出身。東京のエスモードジャポンでファッションの講師をしたり、フランス・ヴォーグの通訳コーディネーターや、インドのマザーテレサの元でボランティア活動をしたりしていました。
そんなバリバリ都市生活者でしたが、子どもが生まれたのを機に、安心・安全な食料を食べさせたいという想いで、一転してふたりはサバイバル生活を始めることにしたのです。
開拓と建築
2002年〜 購入した山の整備をはじめる
地域の古い一軒家に拠点をおきながら、2002年に購入した山の開拓をはじめます。父はユンボを自分で操縦し、生えている木々の伐採と整地を行いました。
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小さな家を練習で建てる
そして、最初の家の建設をはじめます。設計は自分でおこない、友人に手伝ってもらいながら建てました。写真に写っているマッチョの男性は父の友人です。奥には切り倒した丸太が積んであるのが見えます。これらの木々を家に使っていきます。
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積んでいる石は大谷石。栃木県の大谷というエリアで取れる石で、元々は蔵に使っていたものをもらってきました。空気を多く含んでいるので断熱効果があります。
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1年ほどで家はできました。中には薪ストーブがおかれていて、屋根の右側から煙がでているのが見えます。
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2008年〜 本宅の建設を開始
2008年には、いよいよ本宅の建設をはじめます。これも設計は父が行いましたが、近所で解体された宿で使われていた長く立派な古材をもらったことによって、計画は何度も変更されます。あまりに大きな家の設計になったので、骨組みの建設は大工にお願いすることにしました。
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このハリは長さが4間半(約8メートル)あります。なるべく釘を使わないように、凹凸の継ぎ手をハメ合わせる構造になっています。
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基礎工事も近所の人々に手伝ってもらって行いました。
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構造ができたあとは父の手で内部を製作していきました。
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外国人ボランティアの受け入れ
エコヴィレッジみよりでは、WWOOF(ウーフ)というプラットフォームを通して、海外からのホームステイも受け入れています。WWOOFは農場で無給で働き、「労働力」を提供する代わりに、農家は「食事・宿泊場所」「知識・経験」を提供するボランティアシステムことです。
WWOOFに登録してお手伝いする人のことはWWOOFer(ウーファー)と呼んでいます。
フランスやアメリカなど多様な国から家に訪れ、子どもたちは共に手伝いをしながら、語学を学びました。
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WWOOFerにはその国の伝統料理を作ってもらって、みんなで食べるのが恒例です。
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完成した家の様子
完成には10年以上かかりました。夏には家の前でキャンプファイヤーもできます。
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玄関はステンドグラスであしらわれています。朝日が差し込むと、色のついた光が床に映りこみます。
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リビングの真ん中には大谷石で組まれた手作りの暖炉があります。この暖炉は3つの機能が合わさっており、裏側にはパン焼き窯と調理用のストーブがあります。
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ロケットストーブ
リビングには暖炉のほかにロケットストーブという暖房設備をつくっています。暖房効率がとても高いので、暖炉を作った後につくり足しました。
手前の筒から下に向けて薪をくべていきます。奥のドラム缶の中で効率よく燃焼し、ドラム缶の上では調理ができます。ストーブからでる排熱はソファの内部にうめられた煙突をとおして、外にでていきます。
火が消えてもソファは朝までポカポカと暖かさがつづきます。
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我が家のロケットストーブについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。
建築群は竹山実建築賞を受賞
竹山実氏は、SHIBUYA 109や晴海客船ターミナルを手がけた建築家です。
これまでに建てた家々とライフスタイルを「Eco Village MIYORI 持続可能な生活の拠点としての建築群」として、父の母校である武蔵野美術大学の建築学科を退官された恩師の名を冠した建築賞に応募したところ、2016年に賞をいただきました。
食のライフスタイル
薪を使った調理
暖炉の裏側にあるパン焼き窯です。この窯で冬は暖房をかねてパンを焼きます。ピザも焼けます。
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この窯で焼いたピザは絶品です。
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こちらは天然酵母のパン。捏ねないパン、サワードウ・ブレッドを研究してよく作っています。自家製の大麦を発酵させた天然酵母を育てて使っています。欲しい人にはゆずることもあります。
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こちらはパエリア。畑でとれたトマトやインゲンを使っています。
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塊肉は燻製にしてベーコンにしています。サクラなどの木の香りと肉汁が口の中に広がります。
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コーヒーの焙煎
薪の火をつかってコーヒー豆の焙煎もしています。フェアトレードの豆を仕入れていますが、多めに仕入れて余った分は近くのカフェで使ってもらったり人にゆずったりしています。
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有機栽培の野菜
畑では30種類ほどの穀物や野菜を育てています。野菜の育て方にもこだわりがあり、農薬や化学肥料は使わない有機栽培で育てています。種子は昔から育てられている在来種を大切に引き継いでいます。
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ニワトリと卵
敷地内には鶏舎もあり、ロードアイランドレッドやプリマスロックなどの品種を育てています。収穫した卵はふだんの食事に使うほか販売もしています。
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ジビエ
最近になって母がハマっているのはジビエです。
シカやイノシシは畑を荒らすので、日本では年間120万頭が殺処分されていますが、食用に流通させるには許可の降りた解体所に持ち込む必要があります。しかし、解体所の数が少ないために殺処分されたものの、持ち込まれずに100万頭以上が埋めて捨てられてしまっている現状があります。
命はありがたくいただきたいという想いがあり、地元の猟師が殺処分した獣は受け入れてさばき食べるようにしています。多く採れる時には週に3頭ほど持ち込まれています。
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こちらの連載シリーズもぜひご覧ください。
オフグリッドのとりくみ
オフグリッドとは、電気、ガス、水道など生活に必要なライフラインを公共の設備に依存せず、独立して自給自足することです。メンテナンスは必要ですが、公共料金を払い続けなくてすむ、災害時には影響を受けないというメリットもあります。
エコヴィレッジみよりでは、公共の電気とインターネットは利用していますが、自前のソーラーパネルを備えて自給もしています。
水は湧き水をタンクにためて、ポンプでくみあげて活用しています。ガスはプロパンガスも利用していますが、大部分は薪を利用しています。
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アクアポニックス
最近はじめたおもしろい取り組みはアクアポニクスです。アクアポニクスはお魚畑といわれることもあるように、魚と野菜を同時に育てる農業です。
魚にエサを与えるとフンをします。微生物の力でフンは害のない肥料に変わります。肥料を含んだ水で水耕栽培のように野菜を育てます。
農薬や化学肥料を使わないので良質な有機野菜がとれ、同時に魚も収穫できるので一石二鳥です。
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魚はコイを利用しています。コイは生命力が強いので、アクアポニクスに向いています。沼に住むコイはクサイイメージがありますが、水が綺麗であればニオイなく美味しく食べられます。今後はほかの魚も試していく予定です。
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エコヴィレッジみよりは人を受け入れています!
エコヴィレッジみよりでは、農業体験や施設見学を受け入れています。今後、プロジェクトも立ち上げていく予定です。
ご興味のある方はFacebookページよりメッセージをお待ちしております。Facebookページ:https://www.facebook.com/ecoMIYORI/
なお冬季は雪が降るため、おすすめの季節は新緑がはじまる5月から紅葉シーズンの11月です。
今後もプロジェクトなど発信を強化していくので、ぜひnoteのフォローもお願いします!