品質管理検定 #26-09-001

【問9】

次の文章において、$${\boxed{\space}}$$内に入るもっとも適切なものを下欄の選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。

① 工程などから得られる計量値データは、ある値を中心に、そのまわりにばらつくものである。その代表的な分布が$${\boxed{(50)}}$$である。そのため、平均値とばらつきに着目し、$${\boxed{(51)}}$$の要求を満たすように基準値を設ける。これを$${\boxed{(52)}}$$という。このばらつきは二つに分けられる。一つは$${\boxed{(53)}}$$で、これは避けられない原因によりばらつくものであり、このばらつきはやむを得ないばらつきと考える。もう一つは$${\boxed{(54)}}$$で、工程の状態が見逃せないほど変化することが多く、この原因を突き止めて取り除く必要がある。

② ヒストグラムを描くことによって、中心の位置、ばらつきの大きさなどを視覚的に見ることができる。また、データから平均値と標準偏差を求めて、統計的に工程の状態を評価する$${\boxed{(55)}}$$がある。この指標から、工程の良い悪いを評価することができる。

【選択肢】

ア. 規格値   イ. 顧客   ウ. 標準値
エ. 工程能力指数   オ. 管理限界   
カ. 二項分布   キ. 正規分布
ク. 異常原因によるばらつき   ケ. 偶然原因によるばらつき
コ. 国際標準




【正解】

(50) キ. 正規分布
(51) イ. 顧客
(52) ア. 規格値
(53) ケ. 偶然原因によるばらつき
(54) ク. 異常原因によるばらつき
(55) エ. 工程能力指数

製品の管理方法の問題です。といっても、具体的な方法を考えるというよりも、国語の問題。試験問題の後半は国語問題が多いので、語句の意味を理解しておきます。

(50)
工程などから得られる計量値データが、ある値を中心に。そのまわりにばらつくものである。
「計量値」と「計数値」があります。
「計量値」は重量や長さなどの切れ目の無いデータです。デジタル(数値)表示なので、1.10, 1.11, 1.12… のように切れてしまいますが、精度を上げていけばその区切りは無くなります。
「計数値」は、1個、2個、などとして整数で数えるデータです。不適合品2個などです。
「ある値」は、「平均値」二なります。ただし、測定結果の中心値であって、真の値ではありません。測定装置の調整や、測定者のくせなどで、真の値から偏る可能性があるからです。
その代表的な分布が、「正規分布」です。

標準正規分布

こちらのグラフは標準正規分布。平均が0、分散が1です。試験問題の最後に正規分布表が載っていて、問題に応じて使用します。
ばらつきの大きさによってグラフの形は変わりますが、平均値(ここでは0)を中心に前後にばらつきます。

(51) (52)
平均値とばらつきに着目し「顧客」の要求を満たすように基準値を設ける。
かといって、ばらつきが大きいから基準値も広くとるか、というとそれは別。例えば充填量があまりにも多ければ容器からあふれるし、少なければ顧客は不満に思います。「顧客」の要求を満足できるように工程を調整しなければなりません。
これ(基準値)を「規格値」という。最初から「規格値」と言えば良いと思いますが、こういうクセの問題文です。慣れましょう。

(53) (54)
ばらつきの種類で避けられないものが「偶然原因によるばらつき」です。ある程度、工程で調整できるものもあります。テキトーに設定しておいて、ばらつき出ますねー!って言うわけじゃないです。液体を充填すれば、100mLと設定しても5mL程度の差が出るかもしれません(機械の性能による)。重量を測定すれば、0.1g程度の誤差が出るかもしれません。そっちの方です。
工程の状態が見逃せないほど変化するようなばらつきの原因で取り除く必要があるものが「異常原因によるばらつき」です。機械の設定値、取り付け、摩耗による不具合など、いろいろあります。工程は問題ないのに測定機器が異常であってもばらつきが生じますので、測定機器の点検も大事です。

(55)
「ヒストグラム」が出てきました。

ヒストグラム(未完成)

中途半端ですが、ヒストグラム。数字なども入れます。数字だけだと全体の傾向が分かりにくいため、視覚的に表してデータの偏りなどを確認します。

データから平均値と標準偏差を求めて、統計的に工程の状態を評価する「工程能力指数」がある。
工程能力指数(Cpで表す)といいますが、測定結果から製品全体が規格に入る程度を見ています。CPI(Process Capability Index)とも呼ばれます。
平均値が規格値の中心で、前後に規格がある場合($${100\pm10}$$など)

$${工程能力指数=\cfrac{規格上限-規格下限}{標準偏差{\times}6}}$$

これ、試験で使うこともあります。式は明示されないので覚えておきましょう。
分子は規格値の幅。幅が広いほどCpは高くなります。
分母は標準偏差の6倍。平均値から標準偏差の3倍でほぼ全てのデータが入ります。それの両側で6倍。平均値が無いので、平均値が規格値の中心にあることが前提です。
平均値と規格値の中心がずれているときは、

$${Cpk=\cfrac{|平均値に近い方の規格-平均値|}{標準偏差{\times}3}}$$

Cpkは規格から外れそうな側をイメージしています。

工程能力指数はどれくらいならいいの?というと、1.33あれば良いと言われています。誰が言ったか知りませんが。。。
実際のデータを見たときに「工程能力指数低いわー。。。」となりました。
「工程能力指数が低いなら、規格幅を広げればいいじゃない!」と。
でも、規格を広げたら品質上の問題が発生するかもしれません。または法律上の規制に合致しなくなるかもしれません。
工程を見直す場合も注意が必要です。作業方法の変更自体が、製造者判断で行ってはいけないものもあります。医薬品製造はそれです。不良発生の原因を取り除く、工程改善を行う、というのは単純に良い行為のように見えますが、作業によっては申請が必要だったり、変更が認められない場合があります。だから、最初の作業方法、規格値の設定はとても大事なのです。

ではー。

いいなと思ったら応援しよう!