品質管理検定 #26-012-001

[問12]

次の文章において、$${\boxed{\space}}$$内に入るもっとも適切なものを下欄のそれぞれの選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。

① 一般消費者などが使用する製品で安全性の確保が求められる製品については、国がその製品を指定し、危害の発生を防止するために必要な技術水準を定めている。
日本における製品安全規制・制度は大別すると、それらは製品が市場に流通する前に安全確保を図ることをねらいとした$${\boxed{(69)}}$$、市場に流通した製品の事故情報を収集するための$${\boxed{(70)}}$$、消費者の手に渡った製品の経年劣化による事故を防ぐための$${\boxed{(71)}}$$である。

【$${\boxed{(69)}}$$~$${\boxed{(71)}}$$の選択肢】
ア. 長期使用製品安全点検・表示制度   イ. 重大製品事故情報報告・公表制度
ウ. PSマーク制度

② 企業は安全目標を明確にして取り組まなくてはならないことから、製品の各ライフステージにおいて、製品の安全性に関与し、これを合理的に実現していく技術が製品安全技術である。製品安全技術は、安全を阻害する要因を作らない、またはそれを取り除く製品事故の$${\boxed{(72)}}$$技術、使用時の安全性を確認・立証するための$${\boxed{(73)}}$$技術、この両者の技術開発に結びつく製品事故究明技術という三つの技術から考えることができる。製品に事故が起こった場合、一般原則によれば、要件の一つとして加害者に故意・過失があったことにつき被害者側が証明責任を負うが、多くは、過失の証明が困難であるために損害賠償を起こすことが不可能になる場合があるため、企業は起きてしまった事故についての責任をPL法と略称される$${\boxed{(74)}}$$法によって問われることがある。この法律は1994年に制定され、これによって製品使用に伴う消費者側の被害に関して、製造者$${\boxed{(75)}}$$が明確化された。

【$${\boxed{(72)}}$$~$${\boxed{(75)}}$$の選択肢】
ア. 評価   イ. 表現   ウ. 未然防止   エ. 是正処置
オ. 製造物責任   カ. 報告責任   キ. 注意喚起   ク. 賠償責任

③ 現在の製品安全技術の重点は、使用者責任の注意喚起などに頼る考え方から、技術により安全を確保する方向に変遷している。一方で、例えば機械が故障しても安全である$${\boxed{(76)}}$$という技術から、安全を阻害する根本原因をなくす人間指向の技術を確立する方向に進んでいる。このため製品設計においては機能だけでなく、ヒューマンエラーについても着目する必要がある。

【$${\boxed{(76)}}$$の選択肢】
ア. フェールセーフ   イ. フールプルーフ

【正解】
(69) ウ. PSマーク制度
(70) イ. 重大製品事故情報報告・公表制度
(71) ア. 長期使用製品安全点検・表示制度
(72) ウ. 未然防止
(73) ア. 評価
(74) オ. 製造物責任
(75) ク. 賠償責任
(76) ア. フェールセーフ

製品が市場に流通する前に安全確保を図ることをねらいとした「(69) PSマーク」
https://www.meti.go.jp/product_safety/producer/system/07.html

Product SafetyのPS。

PSマーク

他にもいろいろあります。
PS Cは消費生活用製品。
PS LPGは特定液化石油ガス関係製品
PS TGは特定ガス関係製品。
PS Eは電気用品。

市場に流通した製品の事故情報を収集するための「(70) 重大製品事故情報報告・公表制度」

消費者の手に渡った製品の経年劣化による事故を防ぐための「(71) 長期使用製品安全点検・表示制度」

製品安全技術は、安全を阻害する要因を作らない、またはそれを取り除く製品事故の「(72) 未然防止」技術
使用時の安全性を確認・立証するための「(73) 評価」技術
・「(72) 未然防止」と「(73) 評価」は国語問題。ある意味、正解が難しいです😅

製品に事故が起こった場合、一般原則によれば、要件の一つとして加害者に故意・過失があったことにつき被害者側が証明責任を負うが、多くは、過失の証明が困難であるために損害賠償を起こすことが不可能になる場合があるため、企業は起きてしまった事故についての責任をPL法と略称される「(74) 製造物責任」法によって問われることがある。この法律は1994年に制定され、これによって製品使用に伴う消費者側の被害に関して、製造者「(75) 損害賠償」責任が明確化された。

Product LiabilityでPL。導入時、アメリカンな法律のイメージがありました。事故が起こったのは製品に欠陥があるからだ!証明できないけど。みたいなものです。メーカーが「使い方が悪いんじゃないの?」と言って逃げられなくなりました。消費者は製品の欠陥を証明する必要はなくなりました。なんでも適用されるわけじゃないですけど、いろんな製品に注意書きが増えました。でも現実に、そういうふうに考えることって簡単じゃないみたいです。製品じゃないけど、勉強や仕事を教えるとき、できないヤツが悪い、やり方が悪いんじゃないの?オレはちゃんと教えたよ!ということありますよね。その考えが欠陥だと思っています。

例えば機械が故障しても安全である「(76) フェールセーフ」という技術から、安全を阻害する根本原因をなくす人間指向の技術を確立する方向に進んでいる。

2つの選択肢が用意されています。
国語辞典のデジタル大辞泉によれば、
・フェールセーフ 機械などで、一部に故障や誤操作があっても、安全なほうに作動する仕組み。
・フールプルーフ 《「愚者向け試験」の意》工学分野における設計手法の一。使用者が操作を誤ることを前提として、あらかじめ重大な事故や問題が生じないように設計段階で対策を施すこと。また、知識がなくても誰でも簡単に操作できるようにすること。フールセーフティー。

フェールセーフは何かトラブルがあったら安全な方向に動きます。最近、モバイルバッテリーが動かなくなったのですが、内部で何らかのトラブルが発生したみたいで、充電を続けると危険なため動作を停止しました。連絡して新しいものに交換してもらいました😊

フールプルーフは人が失敗するということを前提にした対策。
機械の操作ボタンが左右2ヶ所にあって、両手で押させることで手を挟まないようにしているものです。ちょっと面倒な操作だな、と感じるものはフールプルーフになっているかもしれません。

じゃあ、いろんな設備、機械はフェールセーフ、フールプルーフの設計で!と言っても、どうやって実現するのか?はさまざまです。やりすぎれば使いにくいし、弱くすれば効果が少なく危険です。パクリ、というと聞こえが悪いですが、いろんな方法をたくさん見て、良い方法を見つけたり、オリジナルの優れた方法を編み出したりして、良い製品を作っていきたいものです。

ではー。


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