品質管理検定2級 #26-05-001
【問 26-05-001】
相関分析に関する次の文章において、$${\boxed \space}$$内に入るもっとも適切なものを下欄のそれぞれの選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。なお、回答にあたって必要であれば付表を用いよ。
含有炭素添加率が電気抵抗値に関係するかどうかを調べるために8組のデータを収集した。
①表5.1から相関係数$${r}$$を求めると、$${r=\boxed{(26)}}$$となる。
$${\boxed{(26)}$$の選択肢
ア. 0.818 イ. 0.827 ウ. 0.835
②次に、相関係数から相関があるかないかについて、t分布に基づく無相関の検定を行った。
帰無仮説 : $${{\rho}=0}$$
対立仮説 : $${\boxed{(27)}}$$
有意水準 : $${{\alpha}=0.05}$$
検定統計量 : $${|t_0|=\boxed{(28)}}$$
棄却域$${R}$$ : $${|t_0|{\ge}t({\phi},{\alpha})=\boxed{(29)}}$$
判定 : $${|t_0|\boxed{(30)}t({\phi},{\alpha})}$$
$${\boxed{(27)}}$$の選択肢
ア. $${{\rho}\not=0}$$ イ. $${{\rho}>0}$$ ウ. $${{\rho}<0}$$
$${\boxed{(28)}}$$の選択肢
ア. 2.446 イ. 3.603 ウ. 4.010
$${\boxed{(29)}}$$の選択肢
ア. 2.306 イ. 2.365 ウ. 2.447
$${\boxed{(30)}}$$の選択肢
ア. $${\ge}$$ イ. $${\le}$$
結論 : 有意水準5%で$${\boxed{(31)}}$$。
検定結果より、含有炭素添加率$${x}$$と電気抵抗値$${y}$$には$${\boxed{(32)}}$$と判断することができる。
$${\boxed{(31)}{\space}\boxed{(32)}}$$の選択肢
ア. 相関がある イ. 相関がない
ウ. 有意である エ. 有意でない
正解
(26) イ. 0.827
(27) ア. $${{\rho}\not=0}$$
(28) イ. 3.603
(29) ウ. 2.447
(30) ア. $${\ge}$$
(31) ウ. 有意である
(32) ア. 相関がある
スマホでちょこっと見ると思うと問題たくさんあります😅
$${\boxed{(26)}}$$
相関係数の出し方。きっと出題されます。実務ではエクセルとか表計算ソフトや関数電卓で計算しますので、そちらのやり方も覚えておきましょう。今回は試験用に計算します。
相関係数r(Correlation coefficient)は2つのデータの比例関係がどれくらいあるか?を表します。
-1に近いほど負の相関があります。+1に近いほど正の相関があります。
0に近いほど、相関がありません(無相関)。
分析装置などで検量線を作成したときに$${r^2}$$として表示されるものがあります。あれは相関係数じゃなくて決定係数と呼ばれます(ほかにも言い方があったと思います)。ちょっと概念は違いますが、相関係数rを2乗したものと値は同じです。必ず正の値か0になりますが、絶対値はいくらか小さくなります(-1、1、0のときは$${|r|=r^2}$$)。
さてさて、肝心の計算方法。
$${S_{xx}}$$ : $${x}$$の平方和
$${S_{yy}}$$ : $${y}$$の平方和
$${S_{xy}}$$ : $${x}$$と$${y}$$の偏差積和
$${S_{xx}=\displaystyle\sum_{i=1}^n(x_i-\overline{x})^2=\sum_{i=1}^nx_i^2-\cfrac{\left(\displaystyle\sum_{i=1}^nx_i\right)^2}{n}}$$
$${S_{yy}=\displaystyle\sum_{i=1}^n(y_i-\overline{y})^2=\sum_{i=1}^ny_i^2-\cfrac{\left(\displaystyle\sum_{i=1}^ny_i\right)^2}{n}}$$
$${S_{xy}=\displaystyle\sum_{i=1}^n(x_i-\overline{x})(y_i-\overline{y})=\sum_{i=1}^nx_iy_i-\cfrac{\left(\displaystyle\sum_{i=1}^nx_i\right)\left(\displaystyle\sum_{i=1}^ny_i\right)}{n}}$$
この平方和、偏差積和の計算の一番右の計算。これが試験に出ます。もちろん提示されたデータから平均値を出して計算することもできますが、そんなに時間はありません。$${x,y,x^2,y^2,xy}$$の合計は提示されていますので、それ使って計算します。
$${S_{xx}=9.20-\cfrac{8.4^2}{8}=0.38}$$
$${S_{yy}=3993.55-\cfrac{178.1^2}{8}=28.599}$$
$${S_{xy}=189.73-\cfrac{8.4{\times}178.1}{8}=2.725}$$
相関係数$${r=\cfrac{2.725}{\sqrt{0.38{\times}28.599}}=0.827}$$
0.8くらいあれば、正の相関がある、と言えます。
$${\boxed{(27)}〜\boxed{(30)}}$$
帰無仮説 : $${{\rho}=0}$$
対立仮説 : $${\boxed{(27)}}$$
有意水準 : $${{\alpha}=0.05}$$
帰無仮説とは、そもそも棄却されるためにあるようなものです。これを否定することで、対立仮説が成り立つと言うわけです。今回のお題は、「含有炭素添加率が電気抵抗値に関係するかどうか」です。帰無仮説では「無相関」$${{\rho}=0}$$と仮説を立てています。これに対抗する仮説は、「相関あり」で「無相関の否定」です。したがって、$${{\rho}\not=0}$$となります。
検定統計量 : $${|t_0|=\boxed{(28)}}$$
検定統計量$${|t_0|}$$を計算しなければなりません。残念ながら問題文中に計算方法は載っていませんでした。2データ間に相関があるか?の検定統計量は、
$${|t_0|={\biggr|}\cfrac{r\sqrt{n-2}}{\sqrt{1-r^2}}{\biggr|}}$$
で求めます。これ、大事なので覚えます。ここで求めた相関係数$${r=0.827}$$を使います。今回は$${r{\gt}0}$$なので絶対値は不要です。
$${|t_0|=\cfrac{0.827{\times}{\sqrt{8-2}}{\sqrt{1-0.827^2}=3.603
棄却域$${R}$$ : $${|t_0|{\ge}t({\phi},{\alpha})=\boxed{(29)}}$$
棄却域は計算じゃなくて、表から数字を拾います。2データ間の相関あるなしのときの自由度は、$${{\phi}=n-2}=8-2=6$$です。有意水準が0.05なので、t表の$${{\phi}=6, P=0.05}$$のところを探して、
$${t({\phi},{\alpha})=2.447}$$です。
判定 : $${|t_0|\boxed{(30)}t({\phi},{\alpha})}$$
ここまで順に計算ができていれば、検定統計量$${|t_0| {\ge} t({\phi}, {\alpha})}$$であることはわかります。この問題に限っては、相関係数$${\boxed{(26)}}$$の選択肢がすべて0.8以上になっています。だから「相関あり」と決めつけるのもアリ。そこから検定統計量の方が棄却域より上に違いない!としても良いと思います。計算がわからなかったら、そういうのもアリ、という程度なので、計算はしっかり理解しておくべきです。また、計算機の使い方も覚えておきましょう。
$${\boxed{(31)}{\space}{\boxed{(32)}}}$$は国語の問題。
結論 : 有意水準5%で$${\boxed{(31)}}$$。
検定結果より、含有炭素添加率$${x}$$と電気抵抗値$${y}$$には$${\boxed{(32)}}$$と判断することができる。
相関がある・ない、有意である・ない。
相関がある、と、有意である、を選びます。どっちに入れるかです。
$${\boxed{(32)}}$$の方は、正しい文章として「相関がある」を入れるしかないので、$${\boxed{(31)}}$$に「有意である」を入れます。
計算と計算機の練習をしておきましょう。
ではー。