【朗読】紫式部日記53 歳末の感慨⑶

【朗読】紫式部日記53 歳末の感慨⑶

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【歳末の感慨】の続きです。
宮中で追い剥ぎ事件が発生。

「つごもりの夜、追儺はいと疾く果てぬれば、歯黒めつけなど、はかなきつくろひどもすとて、うちとけゐたるに、弁の内侍来て、物語りして臥したまへり。内匠の蔵人は長押の下にゐて、あてきが縫ふ物の、重ねひねり教へなど、つくづくとしゐたるに、御前のかたにいみじくののしる。内侍起こせど、とみにも起きず。人の泣き騒ぐ音の聞こゆるに、いとゆゆしくものもおぼえず。火かと思へど、さにはあらず。
「内匠の君、いざいざ。」
と先におし立てて、
「ともかうも、宮下におはします。まづ参りて見たてまつらむ。」
と、内侍をあららかにつきおどろかして、三人ふるふふるふ、足も空にて参りたれば、裸なる人ぞ二人ゐたる。靫負、小兵部なりけり。かくなりけりと見るに、いよいよむくつけし。」

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